パチャパチャ トト…トン
ザアザア バチャビチャ バラ‥バラバラバラ・・・・
トタン屋根の上に落ちる雨音が、お風呂場の中からでもよく聞こえました。ヨシオが天井を見上げると、黒や茶色の模様のようなシミだかカビが、気味悪くまだらに天井にはりついています。
ヨシオはお母さんに連れられて、田舎のおじいさんの家に遊びに来ていました。おじいさんの家は古く、お風呂場もタイルや板で囲まれた給湯もない、昔の古~いお風呂でした。
ヨシオはひとりで入っていると心細くなってきて、おじいさんと入ればよかったと後悔しました。
天井からポタンとしずくが落ちてヨシオの顔に当たりました。
「ひぇ~気味ワリ~~」
ヨシオは頭からザブンとお湯をかぶり、勢いよく湯船の中に入りました。
ザアザア バチャビチャ バラ‥バラバラバラ・・・・
ジョロジョロ ポツポツピタピタ ザアーザアーザアー
それにしてもよく降る雨です。雨音があちらこちらから聞こえてきます。
屋根に当たる音。窓ガラスに当たる音。雨どいに水があふれている音。木々の葉っぱから落ちる音・・・。普段聞くことのないさまざまな雨音が、騒がしくお風呂場の周りを包んでいました。
「うるさい!! うるさい雨だな!うちのマンションだったら台風だって聞こえないぞ!!」
ヨシオは怖くなってきた自分に言い聞かせるように、大きな声で天井に向かって言いました。
ポチャン・・・
ヨシオの目の前にしずくが落ちて、小さな波紋が広がりました。
そして・・・、次々としずくが落ちてきて、湯船いっぱいに波紋が広がりました。
「エッ?雨漏り!」
天井を見上げると、湯気がもうもうと厚く立ち込めていて天井が見えません。その湯気の中から雨のようにしずくが降ってくるのです。
「雨漏り?・・・それとも屋根が抜けちゃったの!?」
ゴロゴロゴロ・・・
天井の湯気の中から雷の音がします。湯気はいくつも重なって、なんだかどんよりと黒くなってきました。そして・・・ピカピカと光ったのです!
ガラガラ!ドッシャーン!!
ヨシオは慌てて湯船から飛び出し間一髪間に合いました。そのとき、はっきりと見ました。すごい稲妻が湯気から湯船の中に落ちるのを!!
ウルサイウルサイ マンションコゾウ
カミナリクライデ ションベンタラスナ・・・
天井から・・・雨音から・・・、クスクスと笑うような声がしました。キヨロキョロと声の主を探していると、いつのまにしずくの雨がやんで、お風呂場に虹がかかっていました。
いったい何がなんだか、・・・さっぱりわかりません。
ヨシオは怖くてお風呂場の隅で泣きべそをかいて、あの声のとおりオシッコも少し漏らしていました。
ヨシオはお風呂から出ると、汗も拭かず飛び出し、お母さんとおじいさんに今起こったことを話しました。
「・・・あまだれこたろう まだいたのね」
お母さんがヨシオをバスタオルでゴシゴシ拭きながら、おじいさんと顔を見合わせて微笑みました。
「お前、何か生意気なことを言ったのだろう?」
おじいさんがヨシオの頭をポンポンとたたきました。ヨシオは誰も驚かないのでポカンとしてしまいました。
あまだれこたろう は、おじいさんの家のような長く住んだ古い木造の家のお風呂に、雨足が強すぎもせず弱すぎもせず降るときに現れるそうです。黙って雨だれの音を聞いている分には何もしませんが、あまだれこたろうが気持ちよく雨音をたてているのを邪魔すると、イタズラするそうです。でも、それはずいぶん前の話で、今は現れることはないそうですが・・・。
「でもね・・・、お母さんは子供の頃よくお風呂で あまだれこたろうと楽しく歌っていたのよ」
お母さんが子供の頃の話を楽しげにヨシオに話しました。
「・・・怖い思いをしたけど、そうか・・・ヨシオも こたろうに会ったのね・・・」
お母さんが天井を見上げ何だか、うれしそうにつぶやきました。
ザアザア バチャビチャ バラ‥バラバラバラ・・・・
ジョロジョロ ポツポツピタピタ ザアーザアーザアー
雨はしきりに降り続け、さまざまな雨音がします。
ヨシオは雨音なんて気にしたことはありませんでした。もし、今度 あまだれこたろうと会えることがあったなら・・・。
お母さんみたく一緒に歌ってくれるかな~と、怖いけど雨音を聞きながら思いました。
おしまい
久しぶりに更新できました。このお話は雨の日にお風呂に入っていて、雨音を聞いていたら「あまだれこたろう」と、先にタイトルが浮かび、そこから作りました。
今回はとにかく、またお話が作れたことが嬉しかったです。
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ザアザア バチャビチャ バラ‥バラバラバラ・・・・
トタン屋根の上に落ちる雨音が、お風呂場の中からでもよく聞こえました。ヨシオが天井を見上げると、黒や茶色の模様のようなシミだかカビが、気味悪くまだらに天井にはりついています。
ヨシオはお母さんに連れられて、田舎のおじいさんの家に遊びに来ていました。おじいさんの家は古く、お風呂場もタイルや板で囲まれた給湯もない、昔の古~いお風呂でした。
ヨシオはひとりで入っていると心細くなってきて、おじいさんと入ればよかったと後悔しました。
天井からポタンとしずくが落ちてヨシオの顔に当たりました。
「ひぇ~気味ワリ~~」
ヨシオは頭からザブンとお湯をかぶり、勢いよく湯船の中に入りました。
ザアザア バチャビチャ バラ‥バラバラバラ・・・・
ジョロジョロ ポツポツピタピタ ザアーザアーザアー
それにしてもよく降る雨です。雨音があちらこちらから聞こえてきます。
屋根に当たる音。窓ガラスに当たる音。雨どいに水があふれている音。木々の葉っぱから落ちる音・・・。普段聞くことのないさまざまな雨音が、騒がしくお風呂場の周りを包んでいました。
「うるさい!! うるさい雨だな!うちのマンションだったら台風だって聞こえないぞ!!」
ヨシオは怖くなってきた自分に言い聞かせるように、大きな声で天井に向かって言いました。
ポチャン・・・
ヨシオの目の前にしずくが落ちて、小さな波紋が広がりました。
そして・・・、次々としずくが落ちてきて、湯船いっぱいに波紋が広がりました。
「エッ?雨漏り!」
天井を見上げると、湯気がもうもうと厚く立ち込めていて天井が見えません。その湯気の中から雨のようにしずくが降ってくるのです。
「雨漏り?・・・それとも屋根が抜けちゃったの!?」
ゴロゴロゴロ・・・
天井の湯気の中から雷の音がします。湯気はいくつも重なって、なんだかどんよりと黒くなってきました。そして・・・ピカピカと光ったのです!
ガラガラ!ドッシャーン!!
ヨシオは慌てて湯船から飛び出し間一髪間に合いました。そのとき、はっきりと見ました。すごい稲妻が湯気から湯船の中に落ちるのを!!
ウルサイウルサイ マンションコゾウ
カミナリクライデ ションベンタラスナ・・・
天井から・・・雨音から・・・、クスクスと笑うような声がしました。キヨロキョロと声の主を探していると、いつのまにしずくの雨がやんで、お風呂場に虹がかかっていました。
いったい何がなんだか、・・・さっぱりわかりません。
ヨシオは怖くてお風呂場の隅で泣きべそをかいて、あの声のとおりオシッコも少し漏らしていました。
ヨシオはお風呂から出ると、汗も拭かず飛び出し、お母さんとおじいさんに今起こったことを話しました。
「・・・あまだれこたろう まだいたのね」
お母さんがヨシオをバスタオルでゴシゴシ拭きながら、おじいさんと顔を見合わせて微笑みました。
「お前、何か生意気なことを言ったのだろう?」
おじいさんがヨシオの頭をポンポンとたたきました。ヨシオは誰も驚かないのでポカンとしてしまいました。
あまだれこたろう は、おじいさんの家のような長く住んだ古い木造の家のお風呂に、雨足が強すぎもせず弱すぎもせず降るときに現れるそうです。黙って雨だれの音を聞いている分には何もしませんが、あまだれこたろうが気持ちよく雨音をたてているのを邪魔すると、イタズラするそうです。でも、それはずいぶん前の話で、今は現れることはないそうですが・・・。
「でもね・・・、お母さんは子供の頃よくお風呂で あまだれこたろうと楽しく歌っていたのよ」
お母さんが子供の頃の話を楽しげにヨシオに話しました。
「・・・怖い思いをしたけど、そうか・・・ヨシオも こたろうに会ったのね・・・」
お母さんが天井を見上げ何だか、うれしそうにつぶやきました。
ザアザア バチャビチャ バラ‥バラバラバラ・・・・
ジョロジョロ ポツポツピタピタ ザアーザアーザアー
雨はしきりに降り続け、さまざまな雨音がします。
ヨシオは雨音なんて気にしたことはありませんでした。もし、今度 あまだれこたろうと会えることがあったなら・・・。
お母さんみたく一緒に歌ってくれるかな~と、怖いけど雨音を聞きながら思いました。
おしまい
久しぶりに更新できました。このお話は雨の日にお風呂に入っていて、雨音を聞いていたら「あまだれこたろう」と、先にタイトルが浮かび、そこから作りました。
今回はとにかく、またお話が作れたことが嬉しかったです。
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