時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
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この国で電撃的はありえない。

2023年02月22日 | 時のつれづれ・如月 

多摩爺の「時のつれづれ(如月の29)」
この国で電撃的はありえない。

ロシアがウクライナへ侵略戦争をしかけてから・・・ まもなく1年が経つ。
いまもなお一進一退の闘いが続き、連日多くの死傷者がでている状況下、
週明け早々の20日、アメリカの現職大統領が、ウクライナを電撃訪問したとの一報が入ってきた。

思い起こすのは、イラク戦争の真っ只中に、
当時の大統領が、戦地のイラクを電撃訪問したことはあったが、
あのときは、現地で闘うアメリカ軍兵士を激励し、鼓舞することが主たる目的だった。

しかし、今回の訪問は、侵略されている現地に出向き、今後も強く支援するといった表明に加え、
ロシアの大統領が21日に行う予定の、年次教書演説の機先を制するとともに、
民主主義と権威主義のあり方について、その是非を世界に問うことが目的だったと思われる。

メディアの情報によれば、訪問することは・・・ 数時間前にロシアに通告していたらしい。
おそらく、通告することで「手出しすると、どうなるのか?」といった脅しをかけたのだと思うが、
まかり間違えれば、第三次世界大戦の引き金になっていたかもしれないにも拘わらず、
両大国の背景にある、核を含む武力の均衡があればこそ、強気の行動にでられたのではなかろうか?

メディアの情報では、20日にポーランド(ウクライナの隣国)へ訪問するとあったので、
ウクライナの首都キーウで、両国大統領が握手を交わし、マイクの前に立った映像は、
正規軍ではない、功を挙げようとするロシアの跳ね返り者たちの行動に、細心の注意を払って、
アメ
リカ大統領がキーウを後にしてからのものだと推察する。

個人的には、隣国ポーランドを訪問するタイミングで、
たぶん電撃的な訪問があるのではなんて・・・ なんとなく、そう思ってはいたが、
それにつけても、いとも簡単に、しかも鮮やかにやってのけるのだから、
さすが・・・ アメリカである。

これでG7(日本、アメリカ、イギリス、フランス、イタリア、ドイツ、カナダ)のなかで、
ウクライナを訪問してないのは・・・ この国だけになってしまった。
5月に広島で、議長国としてG7会議を行うというのに、
チャンスがなかったわけではないので・・・ これは少し、残念かもしれない。

とはいうものの・・・ この国のトップ(総理)が、
戦火のウクライナを電撃的に訪問することは、果たして可能なんだろうか?

けっして、ビビって訪問できないわけではないだろうが、
海外での護衛に、自衛隊を派遣することはできず、アメリカ軍に頼らざる得ないが、
その手続きを踏むためには、国会審議が避けられないことから、
訪問することは可能かもしれないが、電撃的にといった思惑は100%無理と言わざる得ない。

では、内々に検討を進め、非難されることを覚悟で事後報告したとしても、
昨今の官邸では議論がダダ漏れらしく、そこにいるのは為政者、官僚、メディアであり、
オフレコ発言を、記者自らの主観でオープンにするのが、この国のメディアだから、
暗黙の了解といった緩い約束事など・・・ いとも簡単に破られ、翌朝のスクープ記事になるだろう。

早い話が、この国のトップの行動に「電撃的に・・・ 」といった修飾語は、
もはや、あり得ないといっても・・・ けっして過言ではないと思うが、如何なものだろうか?

けっしてメディアを、スケープゴートに祀りあげるつもりはないが、
功を焦って、ポロッと喋ってしまった・・・ オフレコ破りや、フライングや、揚げ足取りが、
国会審議のプライオリティさえも変えてしまうんだから、
これではもう、なにもできなくなるといっても、過言ではないだろう。

閑話休題
話は変わるが、この国の政治において、
どんなに探っても、けっして表に出ることがない機密情報があるとすれば、
それはおそらく・・・ 官房機密費の使途ぐらいではなかろうか?

その他の事柄は、早かれ遅かれ表に出るし、
問題があれば、野党がスキャンダルとして取り上げるだろうが、
官房機密費の使途だけは、政権交代があってもオープンにはならなかった。

あくまでも個人的な思いで、推測の域を出るものではないが、
昔は国会対策費が、大半を占めていたと思うが、
いまは、諜報活動と云うと聞こえは悪いが、大陸や半島、北方領土、シーレーンの情報収集であり、
その大半をアメリカから買っているのではと推測するが・・・ 如何なものだろうか?

今国会の答弁で、かつてこの国の上空を飛んでいた気球について追求されると、
当時の防衛大臣は、木で鼻を括ったような答弁をしていたが、
それは情報を得たのち、諸事情を考慮して、喋らなかっただけであり、茶化すようなことではなく、
大臣の言質を取ってまで、溜飲を下げるようなことではないだろう。

いずれにしても、電撃的であろうとなかろうと、オフレコ発言を暴露しようがしまいが、
諜報活動にカネを使おうと使うまいと、平時が長く続くなら不問でも構わないが、
この国を取り巻く環境を、軽く捉えては拙いと思うし、
視点を変えれば、風雲急を告げていることを、けっして見落とさないでいただきたい。

いま、この国を取り巻く環境は・・・ 有事なのか、それとも平時なのか?
その解は、もちろん平時で間違いないが、
とはいえ、ミサイルは飛んでくるし、領海は好きなように侵犯され続けている。

こういったキナ臭い動きから目を背けないで、
その対応策について、もっともっと真摯に向き合って
欲しいし、
くれぐれも、議論のプライオリティを・・・ 間違えないでいただきたい。

さらに・・・ 国のトップは、もっと電撃的に動けるよう、
グローバル的な課題によっては、秘密裏に動けるようにすべく、
一部の公人のスケジュールについては、予めオープンにせず、後だしでも良いように、
ルールの見直しと、ペナルティの設定が必要なのかもしれない。

メディアを使った、国民の監視なのか、それとも管理なのか・・・ その視点はさまざまだが、
いかに国のトップであろうと、
私人としてのプライベートの自由と、公人としてのシークレットの自由に、
もう少しだけ、マチ幅があっても良いと思うが・・・ 如何なものだろうか?


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