時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
上り坂では見えなかったものが見えてきた。
焦らず、慌てず、少し我儘に人生は後半戦が面白い。

侍がマイアミの宙を舞った。

2023年03月23日 | スポーツ観戦

多摩爺の「スポーツ観戦(その42)」
侍がマイアミの宙を舞った。 (2023WBC・決勝ラウンド)

2月17日(金)、宮崎サンマリンスタジアムから始動した「侍ジャパン2023」のメンバーたち、
あの日から1ヶ月と5日を経て・・・ 野球発祥の国で、野球発祥の国と対戦した頂上決戦
侍ジャパンを率いた栗山監督が、二度、三度、四度とマイアミの宙に舞い、
大会を通して負けなしで戦い抜いた、強い侍戦士たちが・・・ シャンパンファイトに酔いしれた。

圧倒的な勢いで、東京ラウンド(1次ラウンド・準々決勝)を勝ち抜けたが、
マイアミに移ってからの決勝ラウンドは、
がらりと変わって、胃が痛くなるような厳しい試合の連続だった。

土俵際のうっちゃりで、逆転サヨナラを決めた準決勝のメキシコ戦、
がっぷり四つの大接戦から、冴え渡る投手リレーで寄り切った決勝のアメリカ戦

準決勝は祝日の朝だったが、決勝戦は平日だったので、
ライブ中継が見れなかった方も、けっこう居たのではなかろうか?
そう思うと、こんなときだけは、だれかに気兼ねや、遠慮することなく観戦できる、
年金生活者であることに・・・ 万万歳であった。

スポーツには筋書きがない・・・ そういった話しを、聞くことがあるが、
いやいや、今大会に限ってはそんなことはなかったと思うが、如何なものだろうか?

努力した選手、苦労した選手には、必ずその努力と苦労に報いる舞台が用意されている。
そう思いながら、一緒に見ていた女房に「次はね・・・ 。」なんて、
試合の展開を推測しながら・・・ さも知ったげに話しながら楽しませてもらった。

準決勝で、逆転サヨナラのお膳立てが揃うと、不信に喘いでいた村上選手が期待に応え、
決勝でも勝利に貢献する同点アーチを放つんだから、
やっぱり、そういった筋書きはあるんだと思ったのは・・・ 私だけではあるまい。

また、9回のマウンドに大谷投手が立つと、最後のバッターがメジャーの同僚でもあり、
メジャー屈指の強打者でもある、アメリカチームの主将トラウト選手だったことを振り返ると、
あまりにも出来すぎたシナリオというか・・・ 直前の併殺を含めた展開の妙に、
野球の神様は、実に分かり易い筋書きを用意していたんだと思ってしまった。

栗山監督の采配も見事だったが、このチームを監督とともに支え、
若いチームを鼓舞し、成長と勝利に導いたのは、
メンバーのだれもが憧れて敬う・・・ 4人のメジャーリーガーだった。

3番打者に座り、高い打率と出塁率に加え、規格外のホームランを放ったのみならず、
3試合に登板して大会MVPに選ばれた大谷選手は・・・ 文句なしにチームの柱だった。

前例がない、野球選手はこうあるべきだと考え、彼をプロに導いた当時の監督者が、
一歩踏み出すことを止めていたら・・・ スーパースターは存在してなかっただろう。
あえて困難を選び、チャレンジしたからこそ、この日この時の歓喜があったのではなかろうか?
本人の努力は当然のことながら、当時の監督の先を見る目と、育成力に球界は注目すべきだろう。

さらに、キャンプインから参加して、若い投手たちとコミュニケーションを取りながら、
最高の投手陣を、最強の投手陣に変貌させたのは・・・ だれあろう、ダルビッシュ投手であり、
栗山監督からは「ダルビッシュジャパン」だったと、最高の賛辞を送られていた。

日系人として初めて選ばれたヌートバー選手も凄かった。
1次ラウンドの初回、初球をセンター前にはじき返し、チームを勢いづけると、
再三の好守でチームのピンチを救ったことに加え、ペッパーミルパフォーマンスなど、
ムードメーカーの域を超えて、チームを牽引していた。

そして、絶対に忘れてはならないのは、大会を通して最大の13打点を挙げ、
確実に、着実にチームを勝利に導いた、小柄なハードパンチャー吉田選手だろう。
一発のみならず、渋いヒットや、地味なゴロでも確実に得点に繋げ、
村上選手が不信に喘ぐなか、ポイントゲッターとしての貢献度は、MVPに匹敵していたと思う


さらに、14年ぶり3度目の優勝は・・・ アッパレに尽きるが、
シリーズをとおして感じたことが二つあったので、記しておきたい。

その一つは、小技と足とサインプレーを使ったスモールベースボールから、
ハードパンチャーを揃えながらも、チームプレーを選手が自らが考えて打撃に活かす、
強打と粘りの・・・ シンキングベースボールに変貌していたことだろう。

もう一つは、投手陣の投げるボールが、14年前と比べて格段に速く、強くなっていたことだろう。
従来はコーナーを巧みに使い、ボール気味の変化球を引っかけさせて、打たせて取っていたが、
今回はベースの上で勝負しており、
強いボールで詰まらせたり、縦の変化で空振りを取る場面が多かったように見えた。

速いストレートと、チェンジアップの緩急が主流のメジャーに対抗して、
速いストレートと、球速が落ちずに縦に鋭く落ちる変化球で空振りを取る侍ジャパンの対決だった。
結果はロースコアで1点差だから、どちらがどうとは言えないが、
メジャーと十二分に渡り合えたことは・・・ きっと自信になったのではなかろうか?

そしてもう一つ、クローザーでも良いのに、あえて中継ぎや、セットアッパーに回り、
黒子に徹してチームを支え続けた、ダルビッシュ投手の姿勢に、
若い投手陣が、技術もさることながら、強いメンタルを学んだことは途轍もなく大きい。
その結果が現われる、3年後のWBCが、いまから楽しみになってきた。

いやぁぁ、楽しかった。
約2週間の大会だったが、ホントに楽しませてもらった。
ありがとう、侍ジャパン・・・ シーズンでの活躍を、心より祈念する。

追伸
一つだけ残念なことがあったとすれば、
WBCの決勝戦と並行して行われていた、選抜高校野球大会で、
故郷の代表・山口県立光高等学校の初戦を見逃してしまったことだろう。

WBCが終わってから気がついて、
チャンネルを切り替えると・・・ 既に終わっていたが、勝っていてひと安心
次は見逃さないようにしたいと思う。

また、総理の電撃的なウクライナ訪問と被ってしまい、影が薄いなどと揶揄する声があったようだが、
スケジュールの妙というか、巡り合わせを捉えて、
そこまで自虐的に、批判のための批判をする必要があるのだろうか?

批判したい方々の気持ちも、分らんではないが、
ちょっと悲しいというか、情けない気がしないでもない。
老婆心ではあるが・・・ 心まで貧しくなって欲しくはないと思った。

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
2023年 3月15日(水)~22日(水) 東京ドーム、ローンデポ・パーク(マイアミ)
第5回 ワールドベースボールクラシック 決勝ラウンド

                       優勝

                   日本(侍ジャパン)
           ┏━━━━━━━━━━━┻━━━━━━━━━━━┓

           2          22日          
          アメリカ                     日本
     ┏━━━━━┻━━━━━┓           ┏━━━━━┻━━━━━┓
     2    20日    14                21日    5
    キューバ        アメリカ         日本         メキシコ
  ┏━━┻━━┓     ┏━━┻━━┓     ┏━━┻━━┓     ┏━━┻━━┓
  3 15日       19日 7     3 16日      4 18日 
オーストラリア  キューバ    アメリカ   ベネズエラ    イタリア      日本    プエルトリコ   メキシコ

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
準々決勝 3月16日(木)19時~ 東京ドーム
イタリア 000 020 010 = 3
日 本  004 030 20X = 9
[投 手]大谷(4.2/3)、伊藤(1/3)、今永(1)、ダルビッシュ(2)、大勢(1)
[本塁打]岡本、吉田    [三塁打]         [二塁打]村上2、岡本

・結果的にはワンサイドとなったが、この試合のターニングポイントは、
 5回表の二死13塁のピンチに、先発した大谷をリリーフして、
 見事に凌ぎきった伊藤のピッチングにあったといっても・・・ 良いのではなかろうか?

 ツーボールツーストライクから投じた6球目は、明らかにストライクだった。
 それをボールと判定され、フルカウントになってしまったが、
 顔色を変えることなく、強気のストレートでショートフライに打ち取ったメンタルは凄いと思う。
 表のMVPは5打点をあげた岡本選手だが、私は隠れたMVPとして伊藤投手を称えたい。

 メジャーリーガーの二人が、伊藤と今永を挟んで繋ぎ、最後は大勢が締める投手リレー
 さらに快音が聞かれなかった村上と岡本にもタイムリーが出た。
 その攻撃の口火を切ったのは、3回裏一死1塁から大谷のセーフティバンド、
 一死13塁から吉田が期待に応え、村上が歩いて、岡本がズドンだから溜飲が下がる。

 選手たちは、そのまま羽田に移動し、午前3時ごろのチャーター便で15時間のフライトだから、
 MLB主導のスケジュールだけに、時差ボケなど、調整するのは厳しいが、
 テッペンまであと二つ、泣き言なんぞ言ってる暇はない・・・  頑張れ! 栗山ジャパン

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
準決勝  日本時間・3月21日(火)08時~ マイアミ ローンデポ・パーク
メキシコ 000 300 020 = 5
日 本  000 000 312 = 6
[投 手]佐々木(4)、山本(3.1/3)、湯浅(2/3)、大勢(1)
[本塁打]吉田       [三塁打]         [二塁打]大谷、村上

・1点差で迎えた9回裏、本来ならハラハラドキドキなのに、なにぜか不思議と落ち着いて見ていた。
 彼らなら、きっとやってくれると思う気持ちもあったが、
 試合展開から、勝つとしたらきっとこうなるんだろうと思っていた。

 先発した佐々木がアンラッキーなヒット2本のあと、この試合で唯一の失投に見えたが、
 フォークボールが抜けてど真ん中に入ると、メキシコのスラッガーは見逃してくれなかった。
 失投だと思うが・・・ ここは相手のバッティングを褒めるしかないだろう。

 その後は残塁の山を積み重ねる、ちょっと重苦しい展開、
 しかし、7回二死から近藤のヒットと大谷の四球で二死12塁とし・・・ バッターは吉田
 佐々木は失投を打たれたが、吉田は相手投手のウイニングショットを打った。
 内角低めに落ちるチェンジアップ、右手1本で巧みに救った打球はライトポール際に入る同点本塁打

 ようやく試合を振り出しに戻したが、試合が動き出したということなんだろう。
 8回、ここまで踏ん張ってた山本が捕まりリードを許すと、一死13塁から湯浅がリリーフ、
 湯浅はメキシコの4番を三振に打ち取るが、二死23塁から5番にレフト前にはじき返された。
 1点追加されたが、2点目はレフト吉田の好返球でタッチアウト、この返球が土俵際の徳俵だった。

 8回裏に1点返し、1点差で迎えた9回表を大勢が抑えると、その裏は3番の大谷から始まった。
 初球の外に逃げていくツーシームを巧くミートして右中間に運ぶ二塁打
 打ったボールは、難しいコースの素晴らしいボールだったと思う。
 普通の打者なら引っかけて内野ゴロだが、大谷はそれをいとも簡単に打ち返すんだからアッパレ

 動揺したメキシコのクローザーは続く吉田にストライクが入らず・・・ 歩かせて無死12塁、
 続くバッターは侍ジャパンの若き三冠王・村上・・・ 役者も、見せ場も全てが揃った。

 初球をファール、2球目は低く外れ、ワンボールワンストライクからの3球目
 魅入られたように、ど真ん中に入ったストレートを・・・ 村上のバットが一閃

 左中間フェンスに当たったボールを、メキシコのセンターは、無駄のない完璧な守りで返球するが、
 ハーフウェイで見ていた大谷に続き、吉田の代走・侍ジャパンのスーパーカー周東が、
 大谷を追い越さんばかりのスピードで、あっという間にホームベースに滑り込んだ。

 劇的な、劇的な・・・ 逆転サヨナラ勝利
 いよいよ、いよいよ明日、侍ジャパンがラストゲーム(決勝戦)に挑む。

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
決勝   日本時間・3月22日(火)08時~ マイアミ ローンデポ・パーク
アメリカ 010 000 010 = 2
日 本  020 100 00X = 3
[投 手]今永(2)、戸郷(2)、高橋宏(1)、伊藤(1)、大勢(1)、ダルビッシュ(1)、
     大谷(1)
[本塁打]村上、岡本    [三塁打]         [二塁打]

・決勝戦は、侍ジャパンは大谷選手、が日の丸を掲げてレフト側から入場すると、
 チームUSAは主将のトラウト選手が星条旗を掲げてライト側から入場し、
 ホームベースを挟んで、1塁側と3塁側のライン上で対峙すると・・・ セレモニーが始まった。

 侍ジャパンの先発は今永、6番に一発を浴びて1点先制されたが、
 その裏に村上の一発で同点、さらに岡本、源田の連打に中村が歩いた一死満塁から、
 1番のヌートバーは、どん詰まりだったが内野ゴロを放ち・・・ もう1点
 さらに4回には岡本にも一発が出て2点差とし、予め想定されていた投手陣の継投に入った。

 先発の今永はボールに力はあったが、不運な当りや渋い当りがヒットになっており、
 ベンチがなにかしら感じたのだろう2回で降板すると、
 3回と4回は戸郷、5回は高橋宏、6回は伊藤、7回は大勢、8回はダルビッシュ、9回は大谷で
 7投手を惜しげもなく繋ぐと、ダルビッシュが一発浴びたものの、あとは危なげなし。

 ヒットは数本打たれたし、四球もあったが、
 要所では三振を奪い、強いボールで内野ゴロ併殺だから・・・ ホントに凄い投手陣だと思う。
 最後は大谷がチームメイトのトラウトと対戦し160キロのストレートで空振り二つのあと、
 渾身のスライダーで空振りの三振に打ち取り試合終了

 手に汗握る大接戦だったものの、まったく付け入る隙を与えず、
 がっぷり四つから安定の寄り切りという例えが適切かどうかはわからないが押し切って、
 14年ぶり3度目の優勝を成し遂げた。


コメント (2)    この記事についてブログを書く
« 正義が力か、力が正義か? | トップ | 花は越後の雪椿 津川絞り »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
世界一奪還 (りりん)
2023-03-23 18:49:04
またまた興味深く読ませていただきました。
とても野球に詳しくいらしゃいますね。
私も手に汗握る、そんな経験を久しぶりにしました。
ダルビッシュの宮崎からの参加、大谷選手の活躍、吉田選手の打点率
そしてヌートバー選手の決勝の1点もすごく大きかったですね。
若手投手陣の活躍などなど

今は、ちょっとロス気味です。
返信する
Unknown (多摩爺)
2023-03-23 20:02:02
りりんさん、こんばんは

私もロスです。
その穴埋めは高校野球と思ってたら雨天順延ですから、明日のお天気が気になっています。
野球は特に詳しいわけではありませんが、一応昭和40年代後半の高校球児なので、そこそこは分るつもりです。
女房からは「悪いけど静かにしてくれる?」と言われてますが、
能書きを垂れたい性格だけは如何ともし難く、うざいと言われています。
返信する

コメントを投稿

スポーツ観戦」カテゴリの最新記事