栃木県知事が・・・ 怒った？

多摩爺の「時のつれづれ（神無月の１３）」
栃木県知事が・・・　怒った？（都道府県の魅力度ランキング２０２０）

なんという調査をやってくれたんだ。
おそらく、栃木県知事の腸（はらわた）は、マグマの如く煮えくり返っていたに違いない。
民間の調査会社から発表された、毎年恒例の都道府県の魅力度ランキングで最下位となった栃木県は、
知事が自ら調査会社に乗り込み・・・　調査方法に、異例ともいえる注文を付けた。

そりゃ、そうだろう。
今月から「ＧｏＴｏトラベルキャンペーン」に東京都が加わり、
観光業界を中心に、地域経済が一気に盛り上がってきた、このタイミングで、
まさか、まさか、思いっきり冷や水を掛けられるとは・・・　思ってもいなかっただろう。

ここんとこ７年連続の最下位で、もはや茨城県の指定席かと思われていたところ
その茨城県は、一気に５ランクもアップして４２位になると、
茨城県に隣接する栃木県が、前年の４３位から４つ下げて最下位に沈んでしまった。

別に栃木県の肩を持つつもりはないが、いったい・・・　なぜなんだ？
この季節は多くの観光客が訪れる、
魅力満点の観光地（日光東照宮、いろは坂、華厳の滝、那須）を数多抱え、
山あいに佇む人気の温泉街（鬼怒川、日光、那須、湯西川）もあり、
リーズナブルで、人気のご当地グルメ（宇都宮餃子、佐野ラーメン、栃おとめ）も豊富な栃木県が、
まさか、まさか最下位に沈むとは、知事の頭の中は青天の霹靂だったのだろう。

調査会社を訪れた知事は、
「県民の関心が高い。知事として、声に応えて行動を起こすのは当たり前」と強調し、
「魅力度を高めることは地域活性化につながり、
　順位が低いと、県民の誇りや、愛着度がそがれてしまう。」と話し、
総合的な評価項目の創設や、調査方法の変更などを申し入れた。

思いもよらぬ突撃訪問を受けた、調査会社の社長は、取材に対して、
「魅力と実力は別だが、栃木県は魅力を伝えきっていない。
　ＰＲを見直す機会にしてほしい。」と返したという。

まさに正論の返答ではあるが、とはいえ・・・　いまは笑って切り返せるような平時ではない。
魅力と実力が違うというなら、発表に際して、
「こういったご時勢だから、あえて前置きせねば、ならないことがある。」と、
伝えるべきではなかっただろうか？

そういった配慮があれば・・・　
後に知事が「底からはい上がり、倍返ししていきたい。」と発することは、
なかったんじゃなかろうか。

ランク付けが、けっして悪いと言うのではない。
ただ、今年はコロナ禍ということもあって、ゴールデンウィークや夏休みを満喫することができず、
溜まりに溜まったストレスで、大人も子供も・・・　元気を封印していたなか、
「ＧｏＴｏキャンペーン」が、やっと軌道に乗り始め、
旅行や食事などで、地域ぐるみで元気を取り戻そうしていた矢先に、
こういったランク付けが、努力に水を差すことにならないかと、考えるべきではなかっただろうか？

平時だったら、笑い飛ばしながら、自虐的なネタとして扱い、
大人の対応で切り返せるようなことであっても、
コロナ禍で、日本の津々浦々に疲弊が蔓延しているなかで、そんな余力すらなかったのだろう。

それぐらい深刻だったということを、調査会社が踏まえていれば
今年に限って・・・　「ベスト１０」だけを発表するという案もあったのではなかろうか。
また、「ワースト１０」については、「ガンバレグループ」として、
キャッチコピーを変えて順位を付けず発表すれば、
含みを持たせつつ、想像力が膨らむ・・・　妙案になっていたと思う。

「ＧｏＴｏキャンペーン」をフックにして、日本各地が元気を取り戻そうともがくなか、
正論で「ＰＲ不足だ。」と、真っ向からバッサリ切って捨てるのは、如何なものかと思ってしまう。

多くの国民が、ここんとこ蔑（さげす）み嫌う言葉の一つではあるが、
こういった時だからこそ、
人の心を慮（おもんばか）った「忖度」があっても良いと思うが・・・　どうだろう？