時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
上り坂では見えなかったものが見えてきた。
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自治体格差という憂鬱

2021年12月22日 | 時のつれづれ・師走 

多摩爺の「時のつれづれ(師走の24)」
自治体格差という憂鬱

今年も残すところ・・・ あと10日
補正予算案が成立し、議論となっていた10万円給付についても、
早い自治体では、年内に支給されるようである。

総理がクーポン支給への拘りを改め、「現金を一括給付することもあり。」としたことから、
無駄な事務費という批判が出来なくなると、
こんどは判断が遅れたことで、自治体は大混乱していると、
野党やメディアは、不満の捌け口を・・・ そこ(自治体の業務繁忙)に持ってきた。

確かに・・・ そのとおりだろう。
判断がもう少し早ければ、全国で年内に10万円給付ができていたかもしれない。
年をまたげば、年度末の諸業務などが始まり、ブースター接種が本格化するところに、
10万円給付の業務が加わるのだから・・・ 大変なことは良く分る。

とはいうものの・・・ ブースター接種の実施は、秋口には既に分っていたことだし、
10万円給付に至っては、総選挙の争点でもあったので、普通に考えれば選挙結果に拘わらず、
早かれ遅かれ、このような対応が求められることは、こちらも秋口には分っていたはずだ。

自治体のトップが文句の一つも言いたいのは・・・ 心情的にも分らん話ではない。
しかし、自治体の関係者は・・・ 国から指示が出るまで、なにも検討してなかったとしたら、
それはあまりにも企画力と想像力に欠けた、単なる作業員であったということになる。

住民サービスを受け持つ自治体に勤める・・・ 公務員であるならば、
目の前にある喫緊の課題に向けて、業務量と投下資源(人・物・金・情報)を予め検討し、
政策内容がどう転んでも良いようにAプラン、Bプラン、Cプランを作り、
関係先とのスケジュール調整など、詳細を詰めているはずだと思っていたが、
どうやら・・・ そうではないようだ。

一生懸命頑張ってくれている公務員の方々には、大変申し訳ないと思うが、
遅れを取ってしまった自治体に・・・ あえて厳しいことを言わせてもらうとすれば、
「なにをやってんだよ!」
「もっと知恵を出してくれ!」ではなかろうか?

にも拘わらず・・・ 「判断が遅い。」のひと言を言うが為に、
メディアに露出して、政府に対して嫌みを言ってる自治体のトップを見ていると、
もうバカ丸出しで、その自治体に住む住民たちが可哀想になってくる。

コロナ禍に陥って約2年・・・ 自治体の地域格差が目立つようになってきた。
先を読み、考えることを止め、指示を待つことに慣れてしまっている。

公務員ひとり一人に、大きな差があるとは思えないが、
日常業務に忙殺され、無駄になるような検討は・・・ したくないとの思いが先行していて、
住民サービスの効率化に目を向けることを疎かにして、検討を指示することから手を抜いてしまった、
これはもう・・・ 幹部職員の怠慢だったと言わざる得ない。

なにか拙いことが起こらない限り、現状を変えることに発想が向かわない、
公務員社会という、昔ながらの組織が・・・ いま停滞している。
世の中がデジタル化に進んでいるにも拘わらず、人海戦術というアナログ手法に頼り、
それが当然であるかのごとく・・・ 住民に負担を強いることが、当たり前になっている。

自治体の格差は、住民サービスにおいて、地力の差となって現われてきている。
なにも考えてないとは言わないものの、お上の指示を待ってから動き出す自治体があって、
先を読み、予めプランを練っておいて・・・ ゴーサインが出るのを待つ自治体がある。

その差はワクチンの接種率や、10万円の給付日など・・・ 身近な住民サービスに
ものの見事に反映されることになってしまった。

隣の自治体ではできてることが、自分の住む自治体ではできていない。
極論すれば・・・ 道路一つ隔てたお向かいの家と、我が家とでは住民サービスに差があるのだ。

私は以前、道州制とベーシックインカムの検討について触れたことがあるが、
まさにその・・・ 一丁目1番地こそが、
デジタル化の推進と併せて進めるべき、行政サービスに差が出ることのない、
広域ながら密度の濃い基礎自治体への再編成(統廃合)であり、公務員定数や配置の見直しであって、
かっこ良くいえば・・・ 令和の廃藩置県である。

自治体幹部の出来不出来や、自治体トップや議員の出来不出来が、
そこに住む住民にストレスを与えていることに・・・ 気づかねばならない。

住民サービスに格差が生じていることこそ、格差社会が作り出した負の極みであり、
このような格差を無くす努力に・・・ 躊躇することがあってはならない。

お上の指示がなくても、自治体トップの指示がなくても、自治体幹部の指示がなくても、
先を読み、一人称で企画立案や事前の準備が出来る・・・ 普通の公務員がいなきゃ、
自治体の格差という、そこに住む住民ではどうしようもできないストレスを、
解消することはできないと思うが・・・ 如何なものだろうか?

指揮命令系統の変革には、時間がかかるかもしれないが、
そこで働く人間の意識を変えることは・・・ そんなに時間がかかるとは思わない。
評価の仕組みと、それに見合った人事ができさえすれば、そんなに難しいとは思わない。

公務員なんて・・・ と言っちゃ、尊い仕事をされてる方々に大変申し訳ないが、
研修すれば育つような、単純なものじゃないが、
一般企業と同様に、育つ環境(公平に評価し、人事に反映する)があれば、
人の思考と行動は、自然体で前向きになり・・・ 育っているものだ。

幹部の方々は、目立たない職員から相談された小さな提案を、
いとも簡単に・・・ 「ボツ」にしてないだろうか?
まずは、目の前で仕事をしている職員に対し、視点を変えてフォーカスすることだろう。

ここにきて・・・ 毎朝、毎昼、毎夕のように、
都内で一番最初に、ブースター接種が始まるのは、どこどこの自治体だとか、
どこどこの自治体は、いつ10万円を一括支給するだとかといったニュースが溢れている。

確かにとっても大事な情報だと思いもするが、
一方でそれは、自治体のランク付けがされていることに他ならず、
その格差を見る度に、ストレスを溜め込む住民がいることを・・・ 忘れないでほしい。

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2 コメント

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Unknown (桂蓮アップルバウム)
2021-12-24 06:21:39
いかなる新聞のコラムより読むのに有益ですね。
Takejii様のブログが多くの人に読まれてほしいなーと思います。
今年ももう暮れますね。
記事から多くのことを学んできました。

来年もご活躍祈っております。
Unknown (多摩爺)
2021-12-24 09:36:17
桂蓮アップルバウムさん、恐縮です。

現場の方々は、ホントに一生懸命頑張ってると思いますが、
業務に忙殺されることなく、どんどん提案して改革を進めてほしいと思います。
改革はトップダウンだけじゃなく、ボトムアップでもできるはずです。
忙しいからこそ、腕の見せ所ではないでしょうか。

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