多摩爺の「時のつれづれ(神無月の20)」
農協さんの・・・ お仕事
私の農協不信は・・・ 2年前の春、義妹夫婦と示し合わせて帰郷した際の、
義父のひと言から始まっていた。
「近所の人たちと共同で、最新型のトラクターを買おうと思う。」と突然切り出した義父に、
私と義妹の夫は、「えっ、それ幾らなの?」と問うと、
義父は、◯◯◯万円だと高級車が買える値段を、あっけらかんと言うではないか。
「共同といっても、1家当たりの負担は◯◯◯万円を超える、そんなお金はどこにあるの?」と、
再び問うと、農協の人が言うには補助金が出るので、かなりお得な買い物だと、
義父は平然と返してきた。
補助金を差し引けば、1家当たりは◯◯万円の負担だが、
限りなく◯◯◯万円に近い額を支払う必要がある。
「でもね、爺さんの年齢(当時89歳)では、ローンが組めないけどどうするの?」と聞くと、
「だから、お前ら(私と義妹の夫)に頼もうと思ってた。」と、真顔で言い出してきた。
すると・・・ 台所でその話を聞いていた女房と義妹が、鬼の形相でやってきて、
「とうちゃん、なに考えてんの?
明日の朝、目が覚めずに死んでるかも分らない歳なのに、いい加減にしなさい。」と一喝
その勢いに圧倒された義父は・・・ 「やっぱりダメか。」と寂しそうにポツリ言った。
米作りに情熱を燃やすがあまり、若い人たちに代替わりした農家にもいろいろ口を出したりして、
どうやら近所では、ご意見番的な存在になっていたらしく、
農協は義父を丸め込んで、買い換えを渋っている近隣農家へ、
最新型のトラクターを売り込もうとしていたらしい。
翌日、女房と義妹は、義父が口にだした近隣の農家に向かい、
「うちの父が言うことを、本気にしないでくれ。」と根回しをしたことから、この話は終息した。
この話が進展することはなかったので、悪くいうつもりはないが・・・ 農協が主導して、
国民年金と米作の収入しかない爺さんを丸め込んで、
借金(農協からの借入れ)を背負わせようとしていたことには、
正直言って・・・ 不信感が拭えないでいる。
近隣の農家も年齢は高いが、そういったことは子供たちに相談するので心配ないが、
うちの義父は・・・ 89歳になるまで一人で頑張ってきた自負があり、
新しもの好きで、なんでも自分で決めて、買ってしまうので、
義母が苦労していたという話は、以前に何度か聞いたことがあり、
実はこうなることを危惧していたのである。
農協も、騙すつもりはなかったと思うが、
義父は耳が遠く情報も少ないのに、日頃から私と義妹の夫の職業を話していたらしく、
もし農協が、そこんところにつけこみ、
年寄りをヨイショして持ち上げ、商談を進めようとしたのなら、
責任が義父にあることは承知してるが、けっして誉められた仕事ぶりだとは思えない。
そして、この秋・・・ 米作りが大好きだった義父が逝き、遺品を整理していたところ、
農協に出資金と、通帳のない口座があることが分かり、農協を訪ねると思いがけない事実が分った。
出資金は1口◯◯万円で、◯口あることが分るとともに、
通帳のない口座は、農協で肥料などを買ったり、米を卸したときに振り込まれる口座で
1ヶ月分を纏めて封書で取引内容をお知らせするので通帳はないらしく、
現在の残高は◯◯万円だといわれた。
おそらく、伝票ぐらいは切っているのだろうが、ネット取引があるとはいえ、いまどき通帳なしで、
年寄り相手に、口先だけで信用取引をしている金融機関があることに、
正直なところ驚きを隠せなかった。
とはいえ、けっして大金ではないものの、
纏まった額の遺産があったことは朗報だが・・・ ここから先がややこしくなる。
まず、義父と義母が亡くなっており、
相続対象となる者が女房と義妹と義弟の3人であることを証明するため、
義父と義母の生誕から死亡までを記した戸籍謄本と、
相続する3人の印鑑証明(3ヶ月以内のもの)と実印を用意して、
だれが相続するのか決めた、農協指定の同意書に署名(自署)捺印をせねばならないというのだ。
義父が亡くなって直ぐに、葬儀代や病院等への支払いのため、農協の通帳から引き出しており、
農協の通帳には数百円しか残っていないが、
通帳なし口座は、問い合わせた時点で必然的に凍結されていて、
農協がいう書類を持って、解約の手続きをするしかなくなったのである。
さらに驚いたのは出資金の方で、こちらは同じように手続きを済ませても、
3月末の決算を経て、6月の農協の総会で承認される必要があり、
来年の7月でないと返金できないというのである。
ようするに来年7月に出資金を返して貰いたかったら、
3月末の決算までに手続きをせよということで、
3月末までに手続きが出来ず、年度を跨ぎ4月になったら、1年延びるというのである。
そんなバカなと思い・・・ いささか、フラストレーションが溜まったが、
内規を盾にした農協の職員は、手続きしたらに直ぐ返金するとは絶対に言わない。
相手の土俵の上で、規則に忠実で真面目な職員を相手に、いくら戦っても勝てないのである。
と言うこともあって・・・ 当初、義父の四十九日は、大阪に住む義妹夫婦にお願いして、
来夏の義父と義母の1周忌に帰郷する予定だったが、
それを急遽変更して、四十九日に再度集まることになってしまった。
正直言って、お金に困っているわけでもないし、そんなに急ぐ必要もなく、来夏でも良かったと思う。
手間と時間はかかるが、郵送でやり取りして、
四十九日に帰郷する義妹夫婦に手続きをお願いしても良かったが、
田畑を含めて総てを義弟に委ねることに、女房も義妹も同意しており、
金銭面に関するトラブルはないものの、お金に関わることは早く処理するのが賢明だと考え、
四十九日に集まることになったのである。
よって、11月に1週間ほど、今年3度目のロングドライブをすることになってしまった。
もともと四十九日に帰郷することが、どうしても嫌だと思ってたわけじゃなく、
東京からだから遠いので、気を遣ってもらっていたことに、甘えていただけだから、
帰郷することに対しては・・・ 何ら不満があるわけではない。
ただ一つ、気になってるのは・・・ 山あいの農村ゆえに、この時季はホントに寒くなることだが
まだ雪が降るわけじゃないので、こればっかりは気にしても仕方がなく、
天気と気温だけは・・・ 運を天に任せるしかないだろう。3年前の夏、子供とその配偶者、孫とその配偶者、そしてひ孫が集まって、海が見えるホテルで開催した義父の米寿祝い
義父(左)と義母(右)は、二人仲良くソファに座って、海を眺めながら声をかけられるのを待っていた。
でも、田舎の高齢者、特に農家の方々、しっかり繋がっていますよね。
お金から、農具、肥料全てにおいて。
くちこも、もしもサメ氏が先に逝ったら、相続に頭が痛いです。
田舎の一人息子、田畑山家屋敷・・・
だから、再婚の入籍には5年迷いました。
財産目当てと思われても不快だし、
そもそも、何も欲しくないと言うか、迷惑。
国に寄付しようにも、断られそうです。
サメ氏の息子達も放棄に決意が固く、
義妹たちもどうなのかしら?
ただただ、巻き込まれたくないのですがね。
女房の実家も、くちこさんのお悩み通り、売りたくても売れるようなところではありません。
とはいえ、3人の姉弟の思い出が詰まったところであり、数年後は義弟が戻るといってくれているので、
固定資産税を3人で割り勘し、義弟に託すことにしました。
父が残してくれた遺産は、義弟がメンテナンス費用に使うことにも同意しています。
子供や孫のために、年に一度ぐらい、東京や大阪の喧噪から離れて、ぼんやりしながら充電する場所を残してやろうと思っています。