税務署は三密だった。

多摩爺の「時のつれづれ（睦月の１４）」
税務署は三密だった。

たぶん、三密なんだろうな・・・　と思ってはいたものの、
どうしても行かねばならぬ状況にあったので、思い切って行ってみたら、やっぱり三密だった。

確定申告である。
昨春に完全リタイアし、年金生活に入ったもんだから、
サラリーマン時代のような年末調整をする機会がなく、
退職後に支払った健康保険料や、さらには生命保険や損害保険の申請に加えて、
女房が体調を崩した関係で医療費がかさんだこと、さらには株を売って小銭を稼いだこともあって、
どうしても・・・　税務署に行かねばならなかった。

というか・・・　私の場合、医療費などで還付を受ける額よりも、
株取引で得た利益に係る額の方が大きくて、
確定申告しなきゃ・・・　御用の筋から、お呼びがかかることが必至なだけに、
行かねばならないなどと、のん気なことを言える立場ではないのだ。

１月半ばに、年金などの源泉徴収票などが送られてきて、必要書類が全て揃ったので、
医療費や株取引などを、チェックし易く一覧表に整理して、準備が整ったことから、
まずは申請項目とその内容についての確認などについて、
ご教授いただこうと思い所轄の税務署へ向かうことにした。

１０時１５分、あまり大きくない税務署の中には、既に多くの人が居たが受付番号は５１番
当初案内された待ち時間は３０分だったが、そんなにあまくはないだろう。

約１時間後、順番が来て呼ばれると、
まずは持ってきた書類を担当官に全部見せて様々なことを問いかける。

担当官は慣れたもので、丁寧に応えてくれるとともに、テキパキと仕分けをしてくれた。
ここまで待ち時間は１時間、相談時間は２０分だから既にお昼時前、いやはや大変な仕事だと思う。

担当の人たちは、おそらく交代で食事をされるのだろうが、待ってる人は途切れることがない。
税金を徴収する因果な立場の仕事ゆえに・・・　嫌な顔を見せるわけも行かず、
気の毒なと思うぐらいに低姿勢だから、本当に頭が下がる。

その後は約１５分、窓際に並べられた約１０席のパソコンが空くの待って、
「ｅ－Ｔａｘ」による申請開始
担当官が横に付き、一つひとつの項目を説明をしながら、関係資料を指さし、
ここにチェックを入れ、金額を入力し、保険会社や証券会社など入力してと、
手取り足取り教えてくれ完了すると、
いきなり目の前に、ちょっと大きな額の数字が・・・　ドッカーンと飛び込んできた。

「これは・・・　？」と、私が問いかけると、
担当官は、間髪入れずに「不足額です。」と、ごく普通の声で返して来た。

「え゛ぇぇ・・・　？」と、私が返すと、
担当官は、顔色一つ変えず「これが納めていただく金額です。」と、毅然とした声で返して来た。

「いやぁぁ・・・　良かった。」と、私が言うと、
担当官は、「えっ？」と、ビックリしたような声で反応した。

「思ってたより安くて、ちょっと安心しました。」と言った私の言葉に・・・　担当官は驚きの表情
株取引の利益に係る所得税率は、１５％だと思っていたので、
思っていた以上に、医療控除や保険控除などが大きくて、それが影響したのかもしれない。

内心ラッキーなんて思いもしたが・・・　株取引には５％の住民税もかかるので、
半年先には、自治体の方から住民税を求められるので、ホッとするのはまだまだ早過ぎる。
まっ、それでも、得した気分になるんだから・・・　おめでたいのか、人が良すぎるかもしれない。
その場で、請求書を発行してもらい、
帰宅後直ぐに自宅近所の郵便局で納付し、確定申告は無事終了した。

とはいうものの・・・　税務署に居た２時間３０分ぐらいは、かなりの三密のなかで過ごしている。
最初の担当官とはやりとりは、ビニールのカーテン越しで向き合い、
「ｅ－Ｔａｘ」を教えてくれた担当官は、マスクとフェイスガードをしてるものの真横で応対
その他の人とは、しゃべることも、向き合うこともなかったので大丈夫だと思うがそれでも気になる。

一緒に行った女房は、扉が頻繁に開閉する、玄関前の椅子に座って待ってたぐらいだから、
相談が本格化してくる来月からは、どうなるんだろうか？
他人事のような発言で、申し訳ないと思うが・・・　想像するだけで恐ろしい。

公的年金で生活してる人は、確定申告が始まる前から相談に乗ってくれるので、
早めに行った方が良いんだが、
生命保険や損害保険を除き、源泉徴収票などの関係書類が届くのが１月半ばからだから、
どうしても税務署に行くのは１月下旬になるので、どうしてもこのタイミングになってしまう。

担当大臣は、申告期間を延ばす検討をするって云ってるけど、
現場に来てみれば、検討なんて悠長なことはいってられないと思うがどうだろう？
早め早めに手を打ってほしいと願ってやまない。

担当していただいた担当官はホントに丁寧で、様々な疑問にも応えてくれるだけじゃなく、
「ｅ－Ｔａｘ」への投入まで、手取り足取りで教えてくれるんだから・・・　本当にありがたい。

個人的には、取り合えず相談してから、改めて申告に行こうと思ってたのに、
その日で、申告から納税まで全て済ますことができたんだから、担当官には本当に感謝したい。

税金を取られるのに、礼を言うのもなんだが・・・　三密でごった返すなかでの献身的な応対に、
「ありがとうございました。」の一言ぐらい、言っても罰は当たらない。
この時季だけの季節労働になるんだろうが、
様々な状況でストレスが溜まるなか、ホントにご苦労さまだと思う。