時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
上り坂では見えなかったものが見えてきた。
焦らず、慌てず、少し我儘に人生は後半戦が面白い。

宰相の引き際

2020年08月28日 | 時のつれづれ・葉月 

多摩爺の「時のつれづれ(葉月の14)」
宰相の引き際

なにを言っても・・・ それが、如何に適切なメッセージだったとしても、
批判する人は批判を繰り替えす。

その人そのものが嫌いなんだから、メッセージの内容なんてどうでも良いのである。
よって・・・ 国のトップからの、大事な大事なメッセージであろうと嫌なものは嫌で、
聞く耳すら持たないのだ。

この国は、そういった自由な発言に寛容だから、
そんな人が一定数は居ることを、気にしても仕方ないが、
そういった人たちが、事態の進展や方向性を、客観的に直視できてないことは隠しようもなく、
今後起こるであろう様々な場面で、批判や中傷というブレーキを踏みまくることも、
覚悟せねばならないと思うと、もう少しだけ大人の対応が出来ないものかと思ってしまう。

長かった梅雨が明け、猛暑が続いた8月、新型コロナウイルスの第2波が猛威を振るうなか、
メディアは政策に否定的な報道ばかりを続けてきた。

「GoToトラベルキャンペーン」を徹底的にこき下ろし、
メディア主導で否定方向に誘導したにも拘わらず、
その成果が限定的で、芳しくないとみるや「それ見たことか。」と・・・ また、こき下ろす。
申し訳ないが、この国のメディアは、なにがやりたいのか分からない。

とは云うものの・・・ 今週に入って、風向きが少し変わってきた。
8月17日と24日に、総理が慶応大学病院に向かったことを受けて、
総理の健康問題が俄かに持ち上がってくると、
メディアは連日のように、健康状態を詮索したり、後任の首相候補をゲーム感覚で取り上げ、
コロナ対策そっちのけの報道を、面白おかしく繰り広げて、
競馬の予想もどきの無責任な議論に呆けていた。

そして・・・ 今日(8月28日)、14時過ぎだった。
17時から新型コロンウイルス対策と、不安視されていた自身の健康状態について、
2か月半ぶりに官邸で会見を行う予定だった総理が「辞任の意を固める。」との速報が流れた。

国難ともいえるコロナ禍の真っ只なか、一国を預かる首相が健康に不安があっては一大事だろう。
8月の上旬、持病である潰瘍性大腸炎の再発が判明し、新たな投薬治療を始めたことを明らかにし、
国民の負託に対し、自信をもって応えられる状態でなくなったことを踏まえ、
「首相の地位にあり続けるべきでない。」と判断したと・・・ 辞意の理由を述べた。

さらに、任期途中での辞任についての批判は、甘んじて受けるとしたうえで、
拉致問題を解決できなかったのは、痛恨の極みと述べるとともに、
ロシアとの平和条約や、憲法改正について、志の半ばで職を去るのは断腸の思いだと続けた。

また、質疑応答で、7年と8カ月に渡った長期政権のレガシーについて問われると、
それは、国民や歴史が判断していくことと前置きして、
東北の復興に尽力し、400万人を超える雇用を生み出すことが出来たと総括した。

個人的には、労働組合の支援を受けた政権でもないのに、
長時間労働にメスを入れ・・・ 働き方改革を進めたことや、
同一労働同一賃金に着手したことは、
これまでの内閣では注目すらされなかった・・・ 想定外のレガシーといって良いだろう。

さらに1万円を切って低迷していた株価を、3倍の2万円台にまで戻したことは凄いことだし、
原爆を投下した国の大統領を広島に招き、被爆者との対面(抱擁)に至ったことは、
レガシーに値すると言い切っても・・・ 良いんじゃなかろうか。

質疑応答を含めて、約1時間に渡って行われた会見を、
国民はどのように見つめ、どのように評価しただろうか?
とはいえ・・・ 新型コロナウイルスが収束し、
皆が思い切って経済活動に取り組むことができる社会になったわけではなく、
予備費を使っての、ワクチン確保や、PCR検査の拡大、医療関係者への支援など、
次の政権が担う課題に、お金の裏付けをしただけで、実施に至る手順が明らかにされたわけではない。

さらに、半島や大陸との関係や、オリンピック・パラリンピックなど、
山積みされた課題は、なに一つ好転したわけでもない。

残念ながら、いろいろあった引き際ストーリーの中でも、けっしてカッコいい引き際ではなかった。
病に屈した宰相ゆえに、引き際の美学なんてものも・・・ 当然のように、あり得ないが、
メディアが故意に作り上げた、政権批判の風向きを変えたことだけは間違いなく、
願わくは、これを機会にしてこの国がワンチームになれれば、結果オーライになると期待は大きい。

次の政権が巧みな舵取りで、その風をフォローにするのか?
はたまた再びアゲンストに戻してしまうのか?
1年しかない任期の中で、求められる期待に迅速な答えが求められるばかりか、
総選挙という・・・ 国民の審判も待ち受けている。

「貧乏くじをひいた。」なんて、メディアは面白おかしく揶揄するだろうが、
新しい宰相と、そのスタッフ(内閣)には「まったなし。」が現実が目の前にあり、
都度都度の見直しが求められてくるんじゃなかろうか。

その時・・・ メディアが、どういった対応を取るのか見逃してはならない。
相も変わらず「ぶれている。」と批判するのか?
それとも、国民の声を良く聞いた、臨機応変な対応と評価するのか?
その対応次第で、この国のメディアが、国民を向いているのか否かがハッキリとするだろう。

なにはともあれ、7年と8カ月・・・ お疲れさまだった。
これからは、自由奔放な奥様の行動に気配りする必要がなくなり、
要らぬ心配から解放されたんじゃなかろうか?
言葉巧みにすり寄る輩に注意さえすれば、1人の政治家として、活躍する場は多いと期待したい。

体調不良をカミングアウトしたにも拘わらず、約1時間の会見を立ちっぱなしで対応した総理に対し、
「お座りください。」と気遣う官邸関係者が居なかったばかりか、
「お疲れさまでした。」の労いの言葉をかけた記者も・・・ 少なかった。

さらに会見を終え、官邸を後にする総理の背に
「総理、悔いはありませんか?」と声をかける記者が居た。

それもこれも、記者の仕事の一つだと、一定の理解はしているものの、
「野暮なことを聞くなよ。」とだけ・・・ 記しておかねば気が済まない。

いろいろあったが・・・ 同郷で、同い年の宰相の労をねぎらいたい。
お疲れ、アベちゃん

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