アッパレ！ 二刀流

多摩爺の「スポーツ観戦（その１１）」
アッパレ！　二刀流

日本時間の４月２７日、メジャーリーガー大谷翔平投手（アナハイム・エンゼルス）が、
今シーズン３度目の登板となったテキサス・レンジャーズ戦で、
２０１８年５月２０日以来となる、３年ぶり（１０７２日）の白星を手にした。

しかも・・・　投げただけではなく、ＤＨ制度が採用されているアメリカンリーグにおいては、
バッティングが弱いとされる投手が、打席に立つことなく、
打つだけが専門の指名打者（ＤＨ制度）がいるにも拘わらず、
その制度を解除してまで、２番・投手で出場し・・・　結果を残すのだから恐れ入る。

投げては・・・　５回で降板したものの、７５球を投げて被安打３、与四死球３、奪三振９
初回こそ不運な内野安打のあと、制球が乱れて四死球のあと長打を浴び４失点したが、
２回以降は全く危なげなし、

メジャーの目の付け所は面白く、ボールの回転数も分かるらしく、
大谷投手のストレートは並じゃないという。
入団当初は２１６４回転だったのが、今シーズンは２４４９回転にあがっているらしい。

超高速回転で投げられたボールが、瞬きする間もなくミットに収まってるわけだから、
バットでシバかれなかったとしても、あまりの回転数にクラクラするから、
ボールも堪ったもんじゃない。
直ぐに目薬さしても・・・　回復には、相当手間取るんじゃなかろうか？

課題は立ち上がりの制球で、球数に煩いメジャーでは、序盤に投げ過ぎると交代が早くなり、
バッティングが見れなくなるので・・・　空振りの三振を奪うシーンには、溜飲が下がるとはいえ、
打たせて取るピッチングを学んでほしいと願ってやまない。

そして打っては、４失点した直後の２回に２者を返す長打を放つなど、２安打、２打点、３得点
さらに、６回には日米を通じて初めてとなるセーフティバントヒットも記録しているんだから、
その発想が凄すぎる。

特に・・・　打球音が特にすごい。
「カッキーン」なんて、優しい音じゃない。
「ガシッ」とハンマーで石を叩いたような音だから、
いくら硬球とはいえ、痛いのなんのって堪ったもんじゃない。

大谷選手が打ったあとは、ノーシンでも飲ましてやらなきゃ、
頭痛でうなされるんじゃなかろうか？

投手で１６０キロ超のストレートを投げ込み、バッタバッタと三振を奪うのみならず、
打者としても、シーズンが始まって１ヶ月足らずだが、ホームラン戦線のトップに並ぶ７本を放ち、
まさに・・・　投げて良し、打って良しの二刀流、さらに走っても良しだから凄すぎる。

私が子供だった半世紀以上も前、二刀流と言えば剣の達人・宮本武蔵の代名詞だったが、
２１世紀の二刀流は、間違いなくメジャーリーガー・大谷翔平選手だと言っても過言じゃないだろう。

その昔、大リーグ養成ギブスを使って、メジャーリーグも驚く魔球を投げると言った漫画があった。
ギブスそのものに、科学的な根拠などないが、その発想に目を奪われたこともあり、
そこらあたりからも・・・　メジャーって、凄いところなんだと思っていた。

何気に驚くのは、今シーズンのメジャーで活躍しているを見てみると、
大谷翔平選手、ダルビッシュ有投手、有原航平投手など、
日本ハムファイターズ出身の選手が多いことだろう。

チーム自体は主力がぬけて、ここ最近の成績は芳しいとは云えないが、
素材の指名と育成に長け、さらには球団が認める選手ファーストの契約方針にフォーカスすれば、
野球ファンとしては残念だが、もめ事なくメジャーを目指せる球団といっても良いかもしれない。

とはいえ・・・　契約ありきで、選手が毎年のように球団を移籍することを、
この国の多くの野球ファンは、けっして喜んでいるわけでもない。

ＮＰＢのセパ両リーグには金満球団があって、ＦＡという正規の手続きではあるものの、
シーズンオフになると、各チームで中心となってる主力を、札束で引き抜いている現実がある。
そう捉えれば、唯一出て行く選手を拍手で送りだしているのが・・・　メジャー移籍ではなかろうか？

大谷翔平選手や、ダルビッシュ有投手、有原航平投手の活躍に、
拍手喝采を送る野球ファンは多いと思うが、
一方で、現役バリバリの選手を手放し、
成績が上がらない日本ハムファイターズファンは内心複雑ではなかろうか？

メジャーだから許すというのも、おかしな話だと思うし、なにが良いか、正直なところは分からない。
私の頭が固すぎるのかもしれないが、野球は個人プレーじゃなく、チームプレーだから、
大谷翔平選手の活躍には、最大限の拍手を送るものの、
いかに選手ファーストとはいえ、国内で同一リーグへ移籍するのだけは、私はやっぱり好まない。

メジャー移籍だから納得するのも、おかしな話だと思うし、
自分勝手な貧乏人根性を、早く捨てなきゃ・・・　なんて考えは、常に持ってるが、
野球ファンの胸の内は、思った以上に複雑なのである。