ケツ（尻）圧で便器が割れた。

多摩爺の「時のつれづれ（文月の４６）」
ケツ（尻）圧で便器が割れた。

まず先に、言い訳を言っておこう。
けっして勢いを付けて・・・　ドスンと座ったわけではない。

特にもよおしていたわけではないが、毎朝のルーティンだから、拘りも躊躇（ためら）いもなく、
トイレに入って便器に座ったときだった。
「ミシッ！」と・・・　小さいながらも、しかと聞き取れる不吉な音がした。

慌てて便座を上げて、裏を確認すると・・・　斜めにひび割れが１本入っているではないか。
我が家のトイレは、ウォシュレットタイプではあるものの、
２３年前にマンションを購入したときからのもので・・・　古いと言えば、かなり古い。

いずれは買い換えなくちゃね・・・　と、女房が言ってたものの、
その切っ掛けがなくて、ずっとほったらかしだったんだが、
その切っ掛けが・・・　どうやら出来たようである。

直ぐに女房を呼ぶと・・・　「あちゃぁぁ、やっちゃったの？」と、真っ先に小言を言われたものの、
「まっ、いつかこうなると思ってたから。」と、諦めとも、慰めとも分からぬことを言うと、
量販店のリフォームコーナーで、商品と工事費の目安を付けてから、
「ＴＯＴＯ」の展示ルームに行ってみようと、予め想定していたかような言葉を続けてきた。

私的には、けっこう厳しい叱責を頂戴するかと思いきや、
そうでもなかったので、ちょっと安心したんだが、
クソ熱い日に出かけたくなかったけど、アロンアルファ（接着剤）で応急処置ををしたあと、
ターミナル駅の大手量販店まで、便器の市場調査に出かけることになった。

量販店の便器担当の方（若い女性だったけどメッチャ詳しい）から、いろいろ聞いてみると、
便器そのものに、タンクのあるなしなど、グレードがあるのはもちろん分かってたが、
ウォシュレットにも、さまざまなオプションがあるから・・・　ちょっと面白い。

いまどき温水が出るのは常識だが・・・　それについても、タンクの中で暖めるものがあったり、
水を瞬時に温水にしてしまうものもあって、驚きを隠せなかったが、
使用後の水の流れ方と形状の工夫で、汚れが残らないようになっていたり、
定期的に殺菌する機能もあるんだから、便器の技術は、想定を遙かに超えて進化していた。

もちろん技術の進化は、価格に転嫁されるので覚悟せねばならないのだが、
当初の目論見では、工事費込みで２０万ぐらいかなと思っていたものの、
市場価格は・・・　それを遙かに上回っていて、
どうやら１．５倍に上方修正しなければ、女房を満足させられないようである。

とはいえ・・・　毎日毎日、なん度もなん度も、
こちらの都合で、予約なしでお世話になってる生活必需品だし、
いつもきれいに掃除してくれている女房のことを思えば、ここでケチるわけにはいかないだろう。
来週には展示ルームに行って、価格を比較してから、早々に発注することになってしまった。

やれやれ・・・　血圧は正常なんだが、ケツ（尻）圧の方には問題があったらしく、
ことのほか、便座に負担がかかったようである。
３０万円の出費は痛いが、こればっかりは致し方ない。

「取り替えが終るまでは、ゆっくり座って、腰を浮かし気味に使ってちょうだい。」と、
笑いながら、女房が無茶な注文を出してきた。

洋式の便器なのに、少し腰を浮かした和式のウンコ座りで・・・　考える人のポーズは、
腰や膝の負担にもなるし、個室ゆえにこの時季は汗タラタラになりそうで、これはいささか辛い。

見られてる訳じゃないので手抜きは可能だが、それだと私の良心が許さないので、
女房の期待に、応えられるかどうかは分からないが、
便器ということもあって・・・　取りあえず、踏ん張ってみるしかないだろう。