時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
上り坂では見えなかったものが見えてきた。
焦らず、慌てず、少し我儘に人生は後半戦が面白い。

言葉の行間を読んでみた。

2020年03月22日 | 時のつれづれ・弥生 

多摩爺の「時のつれづれ(弥生の5)」
言葉の行間を読んでみた。

先週末19日、大阪府のトップと兵庫県のトップが発した言葉が波紋を広げている。
大阪府のトップは、国の専門家が作成し、厚生労働省が府庁に通達した要請を受け、
大阪市のトップと相談したうえで、
この三連休(20~22日)は「大阪府と兵庫県の間で不要不急の往来を控えて欲しい。」と
府民に呼びかけた。

その根拠は「感染者数は大阪府の方が多いが、感染者が生み出す二次感染者の平均値は兵庫県が多く、
増加のスピードも速いことから、警戒しないといけない。」として、危機感をアピールした。

一方で兵庫県のトップは、大阪府の会見に対して、
「事前の根回しがなく、大阪が勝手にやった。」と話し、
「お互いさまだから、他人のことは言わない方が良い。」と、不快感をあらわに会見している。

個人的には・・・ 事前の相談ぐらいあっても良いと思うが、
返す刀で、目くじら立てて会見するのも、地方行政に携わる者としては、
いささか大人げないと思っている。

兵庫県の南東部と大阪府の北西部が隣接する地域は、もともと五畿の一つで「摂津」と呼ばれ、
一つの国を形成していた時代もあったが、
明治になって行われた廃藩置県により、兵庫県と大阪府に分けられた経緯がある。

とはいうもののJRや阪神、阪急の鉄道網がキッチリ整備され、
生活や経済では極めて密接な関係にあり、
そもそも・・・ 大阪府民だとか、兵庫県民だとかの拘りが薄い住民が多いとも聞いている。

東京都内へ、埼玉県や千葉県、神奈川県から通勤・通学するサラリーマンや学生が多いことから、
埼玉都民や、千葉都民、神奈川都民などと呼ぶ造語もあり、
関西圏でそういった地域があっても・・・ 別に不思議なことではないだろう。

当然ながら、阪神間を通勤するサラリーマンなどからは、戸惑いの声が上がり、
不満タラタラであった。
まぁ、さもありなんだと思うが、ここでちょっと気になることが・・・ 頭を過る。

大阪府のトップは、はたして厚生労働省からだされた通達1本だけで、会見に踏み切ったのだろうか?
しかも、それは・・・ 中央省庁の内部文書であって非公開のはず、
にも拘わらず、テレビに出てどうどうと公開しているのは、
なにかしら隠された意図があるんじゃなかろうか?
深い意図ではないと思うが、通達に便乗したなにかがあると思って・・・ 間違いない。

東京に住んでる自分からすれば、どうでも良いことなのに、そんな感じで思いにふけっていたら、
買い物から帰ったばかりの女房が、
「お彼岸だから、牡丹餅(ぼたもち)買ってきたよ。」と言いながら、
熱々のお茶と、牡丹餅を持って部屋にやって来た。

「そうか・・・ そうだったのか!」
この瞬間、大阪府のトップが伝えたかった意図(本音)が分かったような気がした。
会見の言葉に隠された、行間を読み解くことができた。

この国では、古くから行われてきた習わしの一つとして、
春秋のお彼岸には、先祖が眠っている墓に家族で参り達者を伝え、
夏のお盆には、先祖が帰ってくる本家や実家に親族が集い、仏壇に向かって手を合わせる。

そう考えると・・・ 通常の週末なら、お年寄りが出歩くことは少ないはずだが、
お彼岸のお墓参りに、お年寄りを連れて行かないわけには行かない。

さらには、お彼岸のお墓参りに行った人たちから、感染者やクラスターを出すわけにはいかないと
行政のトップなら、それぐらい考えても不思議じゃないだろう。
とはいうものの・・・ お彼岸に、お墓参りに行くのを控えてくれとは言いづらい。
そんなところに持って来て、タイミングよく出てきたのが、厚生労働省から出された通達だった。

この通達に上手く相乗りすれば、お上(厚生労働省)の力を借りて、論点をすり替えることができ、
年に二度しかない、お彼岸のお墓参りとはいえ、
お年寄りたちの移動(行動)にブレーキをかけることができる。
大阪府のトップは、そう考えたのではなかろうか?

最近、テレビでよく見かける「言葉と、生きてゆく。」という、ある新聞社のCMがある。
言葉や活字には、その背景や行間に様々な思いが込められ、
けっして表に出てくることがない、メッセージが秘められている。

私が見立てた仮説は、そんなに大げさなものじゃなく、
どちらかと言えば妄想に近く疑わしいものだが、
ちょっとだけ視点を変えて、他人(ひと)の言うことに耳を傾けてみると、
そこには、新たな発見があった。

還暦を過ぎて5年と8カ月
人生は黄昏期に突入したが、まだまだボケるわけにはいかない。

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