時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
上り坂では見えなかったものが見えてきた。
焦らず、慌てず、少し我儘に人生は後半戦が面白い。

インボイス制度について

2023年09月27日 | 時のつれづれ・長月 

多摩爺の「時のつれづれ(長月の44)」
インボイス制度について

来週になったら、おそらく一部のワイドショーが沸騰すると思われるので、
ちょっとだけ早めに、個人的な思いを記しておきたい話題がある。

それはいま、SNSなどのネットでは、けっこうなボリュームで批判があるにも拘らず、
メディアでの取り上げられ方が・・・ あまりにも軽すぎる、
「インボイス制度」の導入についての考察である。

インボイスとは・・・ 適格請求書に基づき、
売手が買手に対して、正確な適用税率や、消費税額等を伝えるものであって、
区分記載請求書に、登録番号、適用税率、消費税額が記載された書類やデータのことである。

当然と云えば、当然のことだと思うし、別に違和感を持つものではないが、
この制度が導入されると、全事業者の約4割を占めている、
消費税の納付が免除されている個人事業主や、フリーランスで仕事をしている人々など、
所謂、免税事業者への負担が大きくなり・・・ 一部では、増税だとの声も出ている。

納税事業者なのか、それとも免税事業者なのか・・・ その分岐点は、
前々年度の課税売上高が、1,000万円を超えているか否かで判断されるため、
大変失礼な例えになって申し訳ないが・・・ パッと見で、商店街で商いされてる個人商店には、
消費税の納付が免除されてる店舗がけっこうあると云っても、強ち間違ってはないだろう。

そもそも消費税とは、原材料の生産から、仕入れ、仲買、物流、製造や調理などのサイクルを経て、
売上げへと繋がる過程のなかで、取引を経て原価が上がる度に膨らんでいく税で、
最終的に売上げを計上した事業者が、売上げに乗じて消費者からの預かった消費税と、
仕入れなどの前工程で、自らが支払った消費税の差額を納付する仕組みとなってるはずである。

ところが・・・ 免税事業者は、売上げに税率を乗じて、消費者から消費税を徴収しているものの、
消費税の納付が免除されていることから・・・ この国トータルの、消費税総額で見てみると、
確定申告により、納付された消費税の合計と、
消費者が取引の過程で支払った(預けた)はずの、消費税の合計が一致してないのである。

このことについて、免税事業主にイチャモンをつけるつもりなど、サラサラないが、
こういった仕組みを知ると、インボイス制度の導入は・・・ 全くもって増税などではなく、
キツい例えで申し訳ないが、いま現在は合法とされている、脱税を認めている制度を、
有るべき姿に戻しただけだと思うが・・・ 如何なものだろうか?

その分だけは値引きしてると、商店主から云われたら・・・ 返答に窮してしまうが、
だからといって、消費者が支払った(預けた)はずの消費税が、
免税事業主の利益に充当されてしまうことについては、
「なんだかなぁ・・・ 。」といった気持ちになってしまうだろう。

インボイス制度を、新たに導入することによって、新たに税理士費用が掛かったり、
取引明細の作成に、手間暇が掛かることは、確かに負担増ではあるが、
そもそも売上伝票や、仕入伝票で取引され、それを基に確定申告していることを踏まえれば、
良いか悪いかは別にして、一過性のこととして直ぐに慣れてしまう可能性だってあるかもしれない。

インボイス制度の導入に当たって、一部の野党は反対署名を集めるなど、
ここに来て鼻息が荒いが・・・ 驚くことに、支持母体でもある連合のトップは、
先々週行われた定例会見で「消費税の制度的な不備を改善する観点から、
インボイス制度の着実な移行と、運営を図るべきである。」と、肯定的なコメントを発しており、
政党と支持母体の考えが食い違い・・・ 股裂き状態に陥っている。

懇意にさせてもらってる、ご近所の商店主さんは、
商売的には確かに厳しいけど、準備は出来てるし、覚悟もしてると仰ってた。

あくまでも、個人的な想像内のことだが、
ひょっとしたら、小売りの商店主さんたちは、着々と準備されていて、
フリーランスで仕事をされてる方々は、対応が遅れているのかもしれない。

そういった視点で捉えれば・・・ インボイス制度の導入に当たっては、
どうやら、明解な「功と罪」があるようである。

「功」はなにかと問われれば・・・ それは間違いなく、
消費税の制度的な不備が改善され、消費者が預けた支払い額に、納付額が限りなく近づくことであり、
一方で「罪」はなにかと問われれば、事業基盤が弱く、経営が不安定な個人事業主の負担が、
いままで以上に増えることだと思うが・・・ 如何なものだろうか?

さらにもう一つ、難儀なことを挙げるとすれば、インボイス制度は確か任意だったと思うので、
登録しない免税事業者が、かなり残ることも想定され、
消費税制度の不備が、直ちに透明化されないことではなかろうか?

「功と罪」の双方に、それなりの言い分があることから、
軽々に「ああだ。こうだ。」ということは控えたいと思うが、
この問題の究極の論点は、消費者が支払ったはずの税金が、合法的に消えていることではなかろうか?

しかも・・・ 消えた消費税が、いったい幾らあるのか?
未だかつて、その額を見たことも、聞いたこともないことに問題があると思っている。

まず、それを明らかにしないと、免税事業者という仕組みがあっても、
それが良いのか、悪いのか・・・ そもそもの議論が始まらないということではなかろうか?

そして、その金額が納税されたとしたら、これからも現行の消費税と同じ使途となるのか?
それとも原資の確保に苦慮している、少子化対策や、防衛費の増額に充当するのか?
税収を確保した先の議論も・・・ 併せて提起していただけると、着地点が見えてくるしありがたい。

極論になるが、原資(納付漏れの消費税)と、使途(予算措置)がオープンになったら、
この件は、あっという間に風向きが変る可能性があると思うが・・・ 如何なものだろうか?

全くもってトンチンカンだったら・・・ ホントにゴメンだが、
インボイス制度の導入は、令和の埋蔵金発掘工事だと思えば、分かり易いかもしれない。

約15年前、埋蔵金があると声高に叫んで、野党が政権を取った時代があった。
結局、発掘できずに、政権を手放すに至ったが、
消費税にフォーカスしていれば、また違った答えがあったと思うが・・・ 如何なものだろうか?

いまとなってはどうでも良いことだが、消費者(購買者)が預けた税を、
販売した法人や、店舗等が納める税なので、納付の責任を明確にするためにも、
消費税という名称よりも、売上税とした方がスッキリ来るのは・・・ 私だけではないだろう。

さまざまな意見があることは承知してるが、 
いままでのような、合法的な脱税の方に問題があったわけで、
税はどこまでも透明であるべきであって、
漏れのないように納付することが基本だと思うが・・・ 如何なものだろうか?

また、どうしてもインボイス制度に反対し、廃止を求めるのであれば、
まずは全ての事業者を課税事業者とし、消費税を納付した後から、
売上が1,000万円以下の事業者を対象に、消費税の相当額を還付する仕組みもあると思うが、
「いやだ。いやだ。ダメだ。ダメだ。」だけで、そのような声は聞こえてこない。

タラタラと、能書きを垂れてしまったが、
最後にひと言だけ、異論があることを承知で言わせてもらうとすれば、
税の話を「めんどうくさい。」で一蹴することだけは・・・ 勘弁願いたいと思っている。

追伸
ここに記したことは・・・ あくまでも個人的な思いであって、
本件についてコメントを頂戴しても、議論するつもりはないので、
了知していただければありがたい。


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10 コメント

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Unknown (1948219suisen)
2023-09-27 05:54:25
恥ずかしながら、こういう制度のことをしりませんでしたから、大変勉強になりました。(_ _)
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Unknown (多摩爺)
2023-09-27 07:06:29
水仙さん、おはようございます。

私も薄っぺらいところしか知りませんが、概ねそんなところだと思います。
来週になったら話題になると思いますので、いろんなことが分かるかもしれませんね。
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その通り (手賀沼日記)
2023-09-27 07:33:37
おっしゃる通りだと思います。
ただ「インボイス制度」という名称が良くないですね。わかりやすい日本語で表記すべきと思います。
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同感です (しゃちくん)
2023-09-27 07:39:28
サラリーマンはガラス張りの課税をされているのに年商1000万以下の免税業者はお客様から預かった消費税を国に納めずに利益として着服してるのでインボイス制度が導入されるのでしょう。

材木店を経営してた時の一つの例を。
流通業は一つの商品に対して製材所→木材市場→木材店と何度も消費税が課税されるのでうち(木材店)で受け取った消費税は全額は国に納めません。
これが卸売業者に認められた計算式によって減免額が算出されて支払う消費税が決まります。
まぁ、会計事務所さんに任せてますが(笑)
中間業者の多い業界では消費者が支払う消費税率は15%近い商品もあるかもしれません。
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Unknown (多摩爺)
2023-09-27 08:22:05
手賀沼日記さん、おはようございます。

頻繁にCMが流れアナウンスされてますが、気にならないのが実態です。
やっぱり、ネーミングは大事だと思います。
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Unknown (多摩爺)
2023-09-27 08:25:29
しゃちくんさん、おはようございます。

税は透明であり、漏れのないように納付すべきであって、
消費者が納付のために預けたお金を、売上に計上することには、やっぱり疑問が残ります。
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Unknown (ヌマンタ)
2023-09-27 21:14:40
通りすがりの税理士です。消費税の免税業者が消費税をズルしていると思われるのですが、実態は少し違うと思います。
そもそも免税の基準を総売上高1000万円で設定していることが問題なのです。小売業者と加工業者、サービス業者では売上1000万でも手取りの所得はだいぶ違います。これは消費税を当初売上税として想定し、かつてあった物品税法から条文をひっぱってきたことからの弊害でもあります。本来ならば本法から改正すべきこと。それをEUのようなインボイス制度を参考に当てはめたから、おかしなことになったのです。
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Unknown (多摩爺)
2023-09-27 21:49:50
ヌマンタさん、こんばんは

的確なコメントを頂戴し、ありがとうございました。
合法的な脱税などと、乱暴な言葉を使いましたが、
違法なことをしているわけじゃないので、免税事業者を責めるつもりはありません。
ただ・・・ 消費者が預けた税が納付されてないことには、モヤッとして合点がいきません。
免税事業者のあり方を含めて、法律の不備が改善され、預けた税が限りなく納められるなら、それで良いと思っています。
なお、大変申し訳ございませんが、この件で議論するつもりはないので・・・ ここまでとしましょう。
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Unknown (消費者に納税義務はない)
2023-09-28 20:59:10
消費税法第5条 納税義務者

事業者は、国内において行った課税資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。第三十条第二項及び第三十二条を除き、以下同じ。)及び特定課税仕入れ(課税仕入れのうち特定仕入れに該当するものをいう。以下同じ。)につき、この法律により、消費税を納める義務がある。
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Unknown (多摩爺)
2023-09-28 22:15:27
消費者に納税義務はないさん、こんばんは

コメントを頂戴しましたが、返信が難しいことから、申し訳ございませんが、このままとさせていただきます。
なお、この件で議論するつもりはありませんので、了知いただければ幸甚です。
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