ようやく5回目となりました、出雲弁講座です。なるべくおもしろくて日常的に使える言葉からピックアップしてやっているつもりですが、みなさまにおかれましては、わかりやすく納得いただける内容になっていますでしょうか?若干心配になっていますが、今回も張り切って紹介していきたいと思います。
①『ふと↑つ』と『ふとつ⤵』
いきなり暗号みたいな表記ですみません。矢印はアクセントの位置と抑揚を表現したものとなっています。『ふと↑つ』は頭文字の”ふ”から”と”をかなり強く言い、”つ”は少し弱くそして低く言います。『ふとつ⤵』は”ふとつ”を抑揚を付けずに言い、語尾だけちょいと下げます。
『ふと↑つ』‥ひとつ(一つ)
『ふとつ⤵』‥ふたつ(二つ)
という意味になります。同じ数を表す言葉が一緒になってしまいました。どうしてこんなややこしい事になってしまうのでしょうか?理由は、ローマ字表記にした際の母音にあります。
出雲弁スピーカーは、母音のi(五十音表のいの段)がとても苦手です。隣り合っており言いやすい母音uに訛っていってしまいます。よく注意されるのが、さ行です。
「さ し す せ そ」
が、
「さ すぃ す せ そ」
と聞こえてしまいます。わかりやすくするために小さな”ぃ”を入れましたが、ほぼあって無いような”ぃ”です。なので、”寿司(すし)”が”すす”に聞こえるのは有名な話です。これはTPOで考えて聞き分けるのが一番の対抗策です。
さて本題に戻ります。
”ひ”の母音はiです。前述の通り苦手です。 なので、uの母音に置き換えたがるので”ふ”に変換されてしまいます。
次に”た”です。これは母音がaなので特段苦手ではないのですが、aと比べるとoの方が得意なので、楽なoに引っ張られる形で”と”に変換されてしまいます。
要するに、
ひとつ → hitotu → iの発音苦手だな、uに変えよう → hutotu → ふとつ
ふたつ → hutatu → aの発音は苦手じゃないけど、oの方が楽だな → hutotu → ふとつ
ということです。ですが、いかに楽とは言え1個も2個も同じ言葉で表していては、物事は何も進展しないのでイントネーションとアクセントで区別できるようにしているということです。出雲弁ビギナーの皆様におかれましては、島根県で買い物をした際に個数をたずねられた時に不安を感じられましたら、指なので数を表して補足しておくと間違いがないでしょう。