播磨癒しのまち歩き

自然観察しながら散歩(兵庫県・北播磨)
イベント鑑賞や野球観戦も好きでしたがこのご時世全く行けていません。

馬鹿音頭の謎

2013-09-06 09:29:17 | うんちく・小ネタ

『お杉くどき』(仮称)福岡県八女市
(『増補八女地方伝承里謡誌』国武久義編 『音韻口説集成』 成田 守著)

ここに中国長門の国よ、所申さば赤間ケ関よ、
万小間物京屋の娘、年は十六その名はお杉、
同じその町へお寺がござる、御寺寺号はおへんしょうじ様よ、
じだいお杉は信心な者、月に八日はお薬師様へ、
坊主みかけて早や恋となる、硯引き寄せすみすり流し、
鹿の巻筆こすぎの紙に、思う恋路をこまかに書いて、
文の使いは町中間よ、和尚様へと文さしあぐる、
和尚うけとり拝見なさる、世々はおそろし女もあれど、
おれは浄土の開山坊主、ずんとならんと文さし返す、
ときにお杉がこれはなさけなや、文をちらりと見るより早く、
丸木橋かやふみかへされた、どうでわが身が忍ばにゃならん、

頃は五月の中旬の頃、内の手代が衣装を借りて、
下に召したる京縞袷、上に召したるならかたびらよ、
黒い羽織に梅鉢の紋、さやの帯をばぎちうに結び、
長い脇差しおとしに差して、深い編笠ほしゃらにかぶり、
夜の夜中にわが家を立ちて、高い所にこしうちかけて、
沖に大船帆かけて走る、あれを見てさへ心もいさむ、
ぼんちんなりゃこそ男じゃものが、わしが行たなら落とさにゃおかぬ、
さらばこれからへんじょ寺へ忍ぶ、夜の事なら御門がつまる、
つめにつめたるこつめもたたぬ、じだいお杉は発明者よ、
裏へまわりてむしょにしのぶ、和尚さまへと小声で起こす、
きつねか狸かまよひの者か、たすけとらせんなみあむだ仏、
きつねでもない狸でもない、文を送ったお杉でござる、
ぜひに今宵の情けをたのむ、

お杉ようきけ、おれは此の町の本左がせがれ、
七つ八つから出家をたてて、三十三までへんじょへつとめ、
いろいろの経文ならひ、坊主落とせば奈落へ沈む、
坊さんなりゃこそ男でないか、そこでお杉が申せし事に、
物にゃだんだん例がござる、沖に大船帆かけて走る、
みなとみかけて一夜は泊まる、道に生えたる草木さへも、
露に一夜の情けを結ぶ、森をみかけて小鳥がとまる、
和尚みかけてお杉がとまる、お釈迦さんさよ八十三で、
色をなされしためしもござる、ぜひに今宵は落さにゃおかぬ、
これが叶はにゃこの脇差しで、自害いたすとお杉がいへば、
そこで驚き理屈につまる、なんのてんぽのかはきり者か、
飲めやへんじょ寺歌へやお杉、酒のさかなはたはらこなます、
鯉のさしみにはも蒲鉾で、仲のよい様に長すへの笠、
末のさばきはっこちゃ知らんぞや。

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