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ミツマタ

2015-03-26 22:20:46 | フラワー・園芸

梅にやや遅れて咲き始める、低木の花。

その木の枝は、なぜか三又に分岐して延び、

その枝先には やはり三又に別れて手毬状に花を咲かせる。

名前はそのまま、ミツマタ“Edgeworthia chrysanthe。 

漢字表記は、“三椏”。
 

 

福岡県直方市ふくち山麓はな公園にて。

以降の画像すべて同場所撮影。 
 


ジンチョウゲ科の落葉低木。

福岡では2月頃、まだ葉が萌える前に枝先に垂れ下がったつぼみが付く。

つぼみがだんだん大きくなり、梅に少し遅れて開花がはじまる。

花色は薄い黄色のものが主流だが、赤やオレンジといった園芸品種もある。 
 

ミツマタのつぼみ。

 

赤色の花。

ベニバナミツマタ(アカバナミツマタ)。

 

ランタナやアジサイのように、花序を手毬状に咲かせ、

まだ葉のないひょろっとした枝に、果実が実っているかのように花を付ける。

花期は長く、4月上旬くらいまで見ることができる。

葉もようやくその頃になって萌えてくる。

葉が茂る前の方が三又の枝が観察しやすい。

 

三方に別れて咲く花房。

 

枝は三又に分岐して延びる。

 

ミツマタといえば、たぶん中学あたりで習ったと思うが、

コウゾやガンピと並んで和紙の原料となる植物だ。

樹皮が古くから和紙の原料として重用され、

戦国時代末期から江戸時代にかけては、特に厳しく管理された。

紙はまだまだ大切で、その原料たるミツマタも大切にされていて、

幕府の許可を得た和紙職人のみが、ミツマタの伐採の許可をもらっていたという。 

今なお和紙の原料として、中四国を中心に栽培されている。

またミツマタ製の和紙は柔軟性と印刷性に優れ、

天然の光沢もあるため、日本銀行発行の紙幣の主原料にもなっている。

世界でも最も優れた日本の紙幣の原料となっていることから、ミツマタ和紙の高品質さがうかがわれる。
 

  
 


園芸品種を育てる場合、基本は日当たりのよい場所で地植え。

低木で2m前後までしか伸びないので、鉢植えで成長を抑制する必要はない。

根が弱いので、移植しなくてもいい場所に植える。

鉢植えの場合は、向こう数年植え替えをしないでいいよう、大きめの鉢に植える。

剪定は極力行わない。

切った先から新しい枝を出すことがないため、剪定は控える。

自然に伸ばしていても、樹形が乱れることがほとんどないので、

その枝が三又に別れて延びる風合いも楽しみながら、自然のままに伸ばすのが一番。

延び過ぎてしまった部分を仕方なく剪定する場合は、花の終わる頃に剪定を済ませる。

落葉した後や、開花前に剪定すると、花芽も一緒に切ってしまい、

翌年、その枝は花を付けてくれなくなってしまう。 


 

温暖地では挿し木でも実生でも増やせるらしいが、あまり増やすことは考えないと思う。

盆栽仕立てにするのに、実生で育ててみるのは面白いかもしれない。

花が終わって夏が来る頃には青々とした葉が茂る。

茂るといっても、他の木のように樹表や枝を隠すようなことはなく、

三方に別れた枝の先にひょろっと垂らす程度。

葉っぱの量が控えめなので、見ていて涼しげな木だ。

 

全国的にはこれからまだまだ咲き続けるミツマタ。

九州では残念ながら、そろそろ花の時期が終わる。

秋にもう一度咲かすこともあるそうだが、秋に咲いているミツマタを見たことがない。

九州はいつまでも暑いから二期咲きは無理なのかもしれないな。
 


 

 

 



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