ポルトガルのえんとつブログ

画家の夫と1990年からポルトガルに住み続け、見たり聞いたり感じたことや旅などのエッセイです。

164. Covit-19とは言いたくない

2020-06-01 | エッセイ

2020年2月28日に日本に帰国する予定だったが、苦渋の選択で断念した。

 

断崖の岬。大西洋を照らす灯台の足元も花盛り。(2020年5月21日撮影)

 

毎年3月から5月は日本の春を満喫するため帰国するので、ポルトガルには居ない。しかし今年は中国で発生した武漢ウィルスが中国国外へも広がり始めた。日本も桜の季節は大勢の中国人が押しかけて、去年はどこに行っても中国語だらけ。大阪城も難波も北も観光バスで押し寄せてくる。吉野の山でさえもぞろぞろ歩いている。しかも日本政府は大歓迎で武漢から来た観光客もほとんど税関を素通りだ。これでは日本はコロナウイルスが急激に感染を広げるだろう、と帰国を断念して飛行機のチケットをキャンセルした。キャンセル料は5割も取られたが、仕方がない。日本で感染して死ぬよりはずっとましだ。

この際と、3月からさっそく野原に出掛けようと意気込んでいたのだが、中国から今度はイタリアやフランスやスペインなどヨーロッパにもシフトし始めたのだ。ポルトガルも例外ではなく、2度ほど出掛けた後は「フィッカ・エン・カザ」(家にいよう)キャンペーンが始まり、自粛が始まった。国境は閉鎖され、あちこちで警察や軍による検問が行われている。これでは気分的にも実質的にも外に出掛けられない。

1週間に一度、スーパーに買い出しに出かけるだけ。しかもスーパーの外には買い物客の行列ができている。見張りのガードマンが厳しくチェックして店内に入れる人数が制限されている。道路はどこもがらすきの状態。まるでポルトガルの元旦のようで、めったにクルマと出会わない。そしてパトカーのサイレンも町から消えた。

私たちも3月、4月、5月と自宅待機を続けたし、出掛ける時はハンカチで作ったマスクを着けて、薄い手袋をはめ、帽子を被り、サングラスをかけた。これではまるで銀行強盗のようだが仕方がない。5月も半ばを過ぎると、32℃を超える夏日が続いた。自宅待機もそろそろ限界だ~と人々はビーチに集まり始めた。みんなすっかり解放された感じで楽しそうだ。でもドローンの撮影のニュースを見ると、みんなきっちりと2mの間隔を取っている。人間は太陽の光を浴びてビタミンDを吸収し、海に浸かって塩水で殺菌をした方が身体に良い。

私たちはまだ海には出かけないが、誰もいない森の中を歩き、断崖の岬に行き、野の花を写真に収めた。5月の野の花はまだまだ咲き誇り、美しい姿を見せている。

 

 

もうそろそろ終盤、シュンギクの原種とヤグルマギクの1種、ガラクトーシス・トメントーサ Galactites tomentosa(2020年5月21日撮影)

 

今が盛りのベニバナセンブリ Centaurium erythraea(2020年5月21日撮影)

 

大西洋の水平線を見下ろす金魚草。アンティリヌム・キリゲルム Antirrhinum cirrhigerum(2020年5月28日撮影)

 

ポルトガルの固有種、草丈15cmほどで可愛らしい、クラセア・バエチカ・ルジタニカ  Klasea baetica subsp.lusitanica(2020年5月28日撮影)

 

飛燕草。デルフィニウム・ペンタギヌム Delphinium pentagynum(2020年5月28日撮影)

 

こぶし大の巨大なアザミ。キナラ・フュミリス Cynara humilis(2020年5月28日撮影)

 

 ラヴァテラ・クレティカ Lavatera cretica(2020年5月17日撮影)

 

3月にも咲いていたが、5月末でもまだ咲き続けるアナガリス・モネリ Anagalis monellin(2020年5月21日撮影)

 

プリカリア・オドラ Pulicaria odora

5月末の岬はこの花で埋め尽くされていた。(2020年5月28日撮影)

 

エキウム・ジュダエウム Echium judaeum

ヨットが浮かぶ大西洋を見下ろす断崖絶壁に咲く。その断崖には恐竜の足跡も見ることが出来る。(2020年5月28日撮影)

(c)2020 MUZVIT

 

 

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