ポルトガルのえんとつブログ

画家の夫と1990年からポルトガルに住み続け、見たり聞いたり感じたことや旅などのエッセイです。

111. 鰻の蒲焼きに挑戦

2014-08-31 | エッセイ

今まで日本に帰国した時の楽しみはウナギの蒲焼きと寿司だった。

でもこのごろ日本ではウナギの稚魚が少なくなったとかで、蒲焼きの値段が急上昇。店先でもウナギの姿が見えなくなった。

あるのは値段のばか高い、しかも小さなやせ細ったウナギばかり。とても買う気にならなかった。

 

ところがポルトガルにはウナギはあるある!たくさんある。

メルカドに行くと、箱の中で押し合いへし合い、動いている。

 

 

 

 

ポルトガルではウナギをぶつ切りにして、ジャガイモや玉ねぎなどと一緒にぐつぐつと鍋で煮込む。もちろんたっぷりの香草を入れて。

鍋をかき回すと、ウナギの頭がぷかりぷかりと浮いてくるのでぎょっとする。食べると、かすかに泥臭い。

一度食べたらうんざりした。

アヴェイロやラメーゴでは10センチほどの小さなウナギを串刺しにして空揚げした料理がある。料理と言っても、ワインのつまみ程度なのかもしれない。これは泥臭くもなく、美味しかった。でも小さなくせに、骨が硬くて、骨までパリパリとは食べられなかった。これはウナギの稚魚なのか、それとも別の種類のウナギなのか、今でも判らない。

 

メルカドに行くと、ウナギ専門店の箱の中にはうねうねと動き回るウナギがたくさん入っている。

その動きを見ないように店の前を急いで通り過ぎるのだが、ふと足元を見ると、箱から勢い良く脱走したウナギがくねくねと床の上を動いている!ぎゃ~!

ウナギなのか、ヘビなのか、同じ動きや!実に気持ち悪い。

ポルトガルにはウナギがたくさん売っているのに、買って食べようとは思わなかった最大の理由だ。

 

ビトシが珍しいことに、ウナギの蒲焼きを作ろうと言い出した。

以前、ニューヨークにいたとき、本職の板前さんにウナギのさばき方を教えてもらったそうだ。

その時は、ウナギの頭を釘でまな板に刺して、頭から尻尾に向けて一気に包丁を入れるそうだが、その時にウナギは必死に抵抗して手首にぐるぐる巻きにからみつくそうだ。まるでヘビだ。想像しただけで気持ち悪い。

 

 

 

そういうことは体験したくないので、専門家に頼むことにした。

メルカドのウナギ専門店で、箱の中のうごめくウナギを選んで注文すると、セニョーラは無感動にウナギをつかんで、さっさと腹を割いた。そして5センチほどに輪切りにし始めた。カルデラーダ(鍋)用にカットしているのだ。

5センチに細切れにされたら、蒲焼きにはできない。

慌てて、「20センチぐらいに切ってちょうだい」と声をかけた。

セニョーラは納得いかない顔だったが、しぶしぶ注文どおりにしてくれた。

これでウナギは動かないから安心だ。

 

  

 

 さっそくウナギを3枚におろすことにした。もちろんビトシの出番だ。

20センチほどにカットした切り身をまな板に乗せて、包丁を入れたとたん、切り身はむにゅ~と盛り上がり、最後の抵抗をした。筋肉だけで動いているのだ。

  

 

 

3枚に降ろした切り身をクシに刺そうとしたら、ここでもかなりの抵抗を受けて、とてもやりづらい。

それでもなんとかクシ通しが終った。

 

 

 

頭と骨と醤油、砂糖、白ワインを一緒にして、ことこと煮て、たれを作る。

 

  

 

まず白焼きにしてから、砂糖と醤油と白ワインを合わせた甘いタレに付けながら魚焼コンロで焼いた。

すごい脂が滴り落ちる。                       

 

 

 

タレを付けては焼き、を3回ほど繰り返して、とうとうウナギの蒲焼きが出来上がった。

 

 

 

ふっくら炊き上がったご飯に乗せて、本物のウナギの蒲焼きの出来上がり!

分厚い肉はかなりの弾力で、さすがに美味い!

手間ひまかけて作ったポルトガルのうなぎ、蒲焼きの味は格別でした。

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