Life in Oslo.

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RUSSバス

2013年05月15日 | 生活
ノルウェーには、4月後半から5月17日までの期間、高校卒業を控えた生徒達が馬鹿騒ぎに興じる"RUSS"(ルス)というヘンテコな風習があります(去年一昨年の記事も参照)。このRUSS期間中、彼らはところ構わずべろんべろんになりながら乱痴気騒ぎを繰り広げます。しかし、重犯罪以外は何をやっても「まあ、RUSSだから仕方ないね」と大目にみられてしまいます(少なくとも詐欺と窃盗が大目に見られた例を知っていますし、そもそも公共の場での飲酒自体がノルウェーでは犯罪です)。
 RUSSの最大の特徴の一つが、RUSS BUSS(ルスバス)と呼ばれるバスです。仲良しグループで購入(!)したバスに、狂ったように音響機器を積み込んで、半径100m以内の物体がウーファーの振動でビリビリ震えるほどの爆音で各グループのオリジナルテーマソングや流行のクラブミュージックを流しながら、夜な夜な町を徘徊します。日本の過激政治団体の街宣車を10倍くらいうるさくしたようなものが多数、夕方から夜明けまで町を走り回っているイメージです。信じがたい迷惑行為ですが、ノルウェー人はやはり「RUSSだから仕方ないね」と諦めて文句も言いません。
 そのRUSSバスが、大学近くの公園の駐車場に大集結するという情報を入手し、友人達とさっそく行ってみました。普段は静かな湖畔の公園が、夜中1時を過ぎたあたりから爆音と光と歓声に包まれます。


ハリウッド号




サージェント・ペッパー号


ディズニーランド号

思い思いのペイントを施したバスから降りてきた高校生達は、互いのバスを自由に行き来して交流します。coolなバスほどステータスが高くモテます。僕なんかにはどれも甲乙つけがたいですが、RUSSの女の子達は「ディズニーランド号が最高にcool!!」と興奮気味に話していました。ここノルウェーでもディズニーランドは女子に人気です。夢と魔法の方向性がちょっと違いますが。











ディズニーランド号の内部の様子
真ん中の彼女が持つペットボトルには、なにやら夢と魔法が入っています。赤い粘性の液体は、およそ飲めるシロモノではありません。

 女の子からの人気はイマイチそうでしたが、サージェント・ペッパー号のチームリーダー君も自慢の車中を案内してくれました。









DJブースを中心に無数のビームが飛び交うサイバーな車内ですが、フラッシュ撮影すると途端に残念なチープさが浮き彫りになります。強烈にセンスのない椅子から、モテない臭がプンプン漂います。愛すべきバカ男子達。



チームリーダー君によると、このバスの制作費は、驚愕の120万ノルウェークローネ=2100万円(1 NOK = 17.5 JPY)。2100万円の産物として世界で最もクオリティの低いモノの1つでしょう。

 巨大なスピーカーとウーファー、無数のビーム、DJブース、スモーク発生装置など、自動車の中での使用が全く想定されていない機材を多数使うため、バスのバッテリー程度では話にならない量の電力が必要になります。そこで、バスの天井上や牽引する荷台に発電機を積んで、バスに電力を供給します。「雨の日はどうするのか」「万が一事故ったらどうなるのか」など心配の種は尽きませんが、RUSSだから仕方ないですね。


 ちなみに、どのバスも車内は鼓膜が破れそうな爆音ですので、車内にいるメンバーは常に耳栓をしています。もはや意味が分かりません。雇われたバスの運転手に至っては工事用のイアーマフ(ヘッドフォン型の遮音装置)をつけて運転しています。そんなバスが一般道や高速道路を走り回っているのは、冷静に考えると恐ろしいことです。もはや迷惑度を競っているとしか思えませんが、それを裏付けるように窓ガラスすらないバスもありました。

もしかするとウーファーの重低音の衝撃で割れたのかもしれません。だとすると、恐るべき兵器です。

 結局この日は10台ほどのRUSSバスが集結しましたが、多い時には60台も来るそうです。付近の住人に対するテロ攻撃とも言える数ですが、この駐車場に集まる理由の一つは"トイレタイム"です。バスから降りると、男女ともお構いなしに隠れもせず、そこらじゅうで用を足します。さすが男女平等の国ノルウェー。


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1 コメント

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文才ありますね~ (あや)
2016-04-01 15:32:42
こんにちは!
オスロ在住のアラサー女です。
ブログを読みながら、思わずいろいろ共感してしまいました。文才もあって、とっても楽しいブログですね!

ルス、とっても迷惑ですよね。笑 
現地の人々は多目に見ていますが、日本の成人式のように”一日だけ”ではなくて、”数日間続く”ということに苦情がかなりあるようで問題になってきているようです。
外国人としては「ノルウェー人って、、、」という印象を持ってしまうから、ルスにももうちょっとルールを作った方がいいのではと思ってしまいます。

これからもブログの更新楽しみにしています!

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