奥湯河原温泉の「うおしず」という旅館に宿泊するチケットが舞い込んできた。
東京駅から東海道線に乗って,途中,小田原で降りて「生しらす丼」を食べた。湯河原駅からバスで奥湯河原に向かったが,時間があるので,途中「公園前」で降りて「万葉公園」の文学の小径を散策した。
小径は渓流に沿って続き,登って行くと「独歩の湯」という足湯施設があって,その前に国木田独歩の碑が建っていた。碑は西条八十が提唱して当時の温泉振興会が建立したものだそうだ。「湯河原の渓谷に向かった時は,さながら雲深く分け入る思いがあった」と刻まれている。
再びバスに乗って,奥湯河原に着いた。さらに徒歩で山道を行くこと15分,やっと「うおしず」に辿り着いた。部屋数10室のすべてに内風呂と部屋ごとの露天風呂が付いている。和風のこぢんまりした宿である。
地下に降りて渓流に沿った大浴場の露天風呂に入った。満室だそうだが誰もいない。貸し切り風呂だ。
朝方にも入ったが,またまた貸し切りだった。タオルの返却口に使用済みのタオルがあったから誰かは入ったようだ。
各部屋に付いている露天風呂も渓谷に臨んでいて,水音と木々の緑に包まれて,月並みだが「時が止まったような」時間だった。
夕飯は「先付」の鯛の白子のゼリー寄せから始まり,デザートまで30品以上で食べきれない程だった。中でも「お椀」の栄螺の蒸し物と「御飯」の筍の炊き込みご飯がおいしかった。
朝食も品数が多く,自家製の湯豆腐は豆の風味が感じられた。また鰺の焼き物は魚に厚みがあり,焼き加減もほどよく身がふっくらしていておいしかった。
思いがけない旅だったが,食べて泊まるだけの旅もいいものだ。