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炎症性腸疾患の道標/高橋涼介[特別編]

潰瘍性大腸炎、クローン病の病態と治療法から最適な献立・一品料理を掲載。

脂質について

2009-05-12 00:19:17 | 潰瘍性大腸炎・クローン病の人の食事
Q.IBDに低脂肪の食事がいいのはなぜですか。

A.低脂肪にする目的は、腸管の安静を保つことにあります。
脂質を一度に大量に摂取すると腸管の運動量が増え、下痢や腹痛の原因になります。また、脂質の消化吸収に必要な消化酵素である胆汁酸が再吸収されずに腸管を刺激すること、胆汁酸の減少により脂質の消化不良が起こること、なども下痢の原因になります。
そのため、脂質の量を制限することがたいせつになります。潰瘍性大腸炎では、脂質の摂取による再燃率は明らかではありません。
しかし、一度にたくさんの脂質をとらないようにし、脂質の種類を考慮するといいでしょう。
クローン病の場合は、脂質の量を制限すると再燃を予防する効果があることがわかっています。目標は、一日30g以下です。肉や魚、大豆、卵、乳製品などのたんぱく質を多く含む食品には、目に見えない脂肪が含まれるので要注意。これを考慮して、調理に使う油は1日につき5~10gにおさえる必要があります。

Q.クローン病の人が脂質を多く摂取すると、どのくらいの割合で再燃するのですか。

A.厚生労働省な研究班の報告書に、クローン病の累積再燃率と経口脂質摂取量の関係が記載されています。それによると、一日の脂質摂取量が10g未満では4.3%の再燃率、20gでは14.7%、30gで50%、40gで60%、50gで78%、60gで89%となっています(ちなみに、日本人の平均脂質摂取量は約60g)。脂質の摂取量が増えれば増えるほど、再燃率は高くなります。ただ、この研究は脂質の総量のみの調査で、脂質の種類については研究されていません。今後は、魚の油(脂質)ではどうか、オリーブ油ではどうかといったことが明らかになると思います。