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炎症性腸疾患の道標/高橋涼介[特別編]

潰瘍性大腸炎、クローン病の病態と治療法から最適な献立・一品料理を掲載。

潰瘍性大腸炎について

2009-03-18 04:57:45 | 潰瘍性大腸炎
Q.潰瘍性大腸炎はどのような病気ですか。

A.大腸の粘膜に、びらん(ただれ)や潰瘍(深い傷)ができる病気です。このような炎症は、直腸から連続してS状結腸、下行結腸へと進展し、大腸全体に及ぶ場合もあります。病変の範囲によって治療法が変わることがあり、大きく3つのタイプに分けられます。
①直腸炎型
病変は直腸だけに見られます。一般に軽症例が多いのですが、治りにくい症例もあります。病変が肛門に近いので、座薬や注腸法(肛門から薬を注入すること)などの局所療法がよく行なわれます。

②左側大腸炎型
病変範囲が直腸から下行結腸までで、いちばん多いタイプづす。治療は症状の程度に応じて行ないます。

③全大腸炎型
病変が横行結腸から盲腸に広がった場合です。一般に重症化や難治化が起こりやすいタイプといわれています。また、直腸炎型や左側大腸炎型から病変が広がって全大腸炎型になることもあります。

Q.どのような症状になるのですか。

A.症状としては、下痢、粘血便、腹痛などが特徴です。重症例では、発熱や頻脈(脈が速いこと)、貧血などの全身症状が出てきます。このような症状が長期にわたり続くのが特徴です。治療によって症状はよくなりますが、再燃(症状が再び悪化すること)をくり返すことも多くあります。病気の経過により、大きく3つのタイプに分けられます。

①再燃緩解型
再燃と緩解(症状がおちつくこと)をくり返すタイプ。約70%の人はこのタイプです。

②慢性持続型
炎症が続くタイプ。約10%の人はこのタイプです。

③初回発作型
発作が1回だけのタイプ。しかし、将来、再燃する可能性が高い。約20%の人はこのタイプです。一般に、発症して数年がたつと病状はおちつく傾向にあるといわれます。ただ、経過とともに治療への反応が悪くなる場合(難治例など)もあります。

潰瘍性大腸炎・クローン病の病態と治療

2009-03-17 04:20:58 | 潰瘍性大腸炎
潰瘍性大腸炎とクローン病は、どちらも原因は不明で、下痢や腹痛、下血などをくり返す慢性の炎症性腸疾患であり、特発性炎症性腸疾患(IBD=Inflamma-tory Bowel Disease)と総称されます。特発性とは、原因が特定できないことを意味します。

IBDは、近ごろ増加が著しく、若年層に多く発病することから、就学や就職、妊娠、出産などにおいて制限が少なくはなく、患者さんの生活の質(QOL=Quality of life)に大きな障害が伴うことがあります。また、病状によっては、栄養療法や治療食が必要になるなど、食事上の制限が強いられる場合もあります。人間にとって毎日の食事や栄養摂取はきわめて重要なことであり、病気の治療と日常の食生活をいかにバランスよくさせるかは、大きなテーマです。

次回から、潰瘍性大腸炎とクローン病の病状や治療法を解説します。