美大生であった20歳の頃、ゼミの教授であり、師匠である宮崎進先生に「原くん、テレビや新聞の言っている事は信じてはいけませんよ」
と静かにやさしく何度も語ってくれていた。
宮崎先生は世の中のことやアートも何もわかっていない生意気な私をかわいがってくれた。
日本各地の美術館で展覧会をされ、アトリエでの制作や会場セッティングにアシスタントとしていつも連れて行ってくれた。
先生を囲む人達と美味しい食事やお酒を飲みながら先生とご一緒する時間はとても貴重で楽しい時間だった。
正直、当時は先生の作品がわからず、他の人とは何か違う凄い力があることだけを感じていた。
ある日、食事会で飲み過ぎてしまい「宮崎先生の作品の何がすごいのかわかりません」と言った時も
ニコニコしながらヨシヨシという感じで軽くいなされたことを記憶している。
海のような深さと青い大空のような広さと優しさがあった。
その大きな優しさの中には怖さもあり、いつも先生という存在に緊張していた。
宮崎先生とご一緒した時間は私にとって、ゆっくりと体に浸透した大切な体験であった。
今、先生とお会いしたら何を話すだろう、きっと変わらず優しい笑みで多くを語らず、厳しい眼差しで何かを見ているんだろう。
先生が静かに語ってくれたことが蘇ってくる。シベリアでの戦争体験や人間力が作品の中にたくさん秘められ、今も作品は生き続けている。
宮崎先生の凄い作品に会いたい時には会いに行ける。
今の私に先生は何を教えてくれるのだろう。
先生にお会いたい。

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