日常にスパイスを

平凡な毎日な様でいて、考え方によって実は滅多に体験できない事態に遭遇しているかも? そう思うと毎日が楽しいかも?

Night of Christmas ~コラボお題:「クリスマス」

2005-12-19 | コラボレーション&ミッション

Episode1:潜入

とある一軒家の庭を一人の男が全力で走っている。

「はぁはぁはぁ・・・クソッ!何で俺がこんな目に合わなきゃならんのだ!・・・」

悪態をつきながら後ろを振り返るとドーベルマンが猛烈な勢いですぐ後ろまで迫ってきている。



5分前の事・・・

男はターゲットリストを頼りに夜の住宅街で目的の「家」を探し当て・・・
様子を探ると「セ○ム」のステッカーが目に飛び込んできた。

「チィッ! ココもかよ・・・ まったく最近は仕事がやりにくくていけねぇや・・・」

そう言うと慣れた身のこなしで赤外線センサーをかい潜って排水パイプをよじ登り、2階のベランダから潜入すると首尾良くターゲットを発見した。

音も立てずに事を済ませるとニヤリと笑みを浮かべ・・・その耳元にかすかに聞こえる声でつぶやいた。

「クックック・・・メリー・クリスマス・・・」

後は潜入経路を逆に戻るだけだ。
だが男はミスを犯してしまった。最新鋭セキュリティをかわしたまでは良かったが、最後の最後で番犬に見つかってしまったのだ・・・・

排水パイプをスルスルと下り着地すると背後から殺気が漂っているのに気が付いた。「ウ”ゥー・・・」 
振り返るとそこには番犬のドーベルマンが唸っていたのだ・・・思わず身構えたが瞬時に噛み付かれ振りほどく事もままならない内に特殊防寒着がズタズタになって行く。

こんな時の為に、用意しておいた緊急アイテムの『七面鳥の丸焼き』をプレゼントよろしく「メリークリスマ~ス」と放り投げて注意をそらした瞬間、一気に牙を振りほどき待機している専用ビークルまで全力で走った。

こんな時でも「メリークリスマス!」と囁いてしまうのは、この男の宿命である。

だが、よく訓練された番犬のようだ・・・すぐさま追い縋って来たのだ。

「あぁ~ なんてこった!プレゼントやったのに・・・もう来やがった・・・」  今度捕まったらその牙から逃げられないだろう・・・
足がもつれながらも必死に走る・・・・「はぁはぁはぁ・・・クソッ!何で俺がこんな目に合わなきゃならんのだ!・・・」

追いつかれるギリギリの所でなんとか専用ビークルに乗り込み難を逃れると男は最後のターゲットへと向かった・・・

空を見上げるドーベルマンの瞳にズタボロになった防寒着を纏った小太りの男が写り、庭には牙で引き裂かれた赤い布地が残されていた。


Episode2:ライバル

「お! ここだ、エージェントD。やっと見つけた」

『うむ、では私が忍び込んでいる間ここで待機していてくれ。 何かあったら援護をしてくれ。 頼んだぞエージェントH。』

「あ! 待つんだ、誰か居る・・・あれは・・・『参多来る寿』!! しまった! 先を越された。 ん? 番犬に追われているようだ・・・ よし! 今がチャンスだ。 行くんだD!」

『よし、今のうちに・・・』

そう言うとエージェントDは建物の排水パイプをよじ登り2階のベランダから忍び込んだ。
眠っている子供を見つけると、そっと近寄り耳元で「元旦の日は待っておるぞ・・・」とささやきながら袋から包みを取り出し枕元に置いて、早々に立ち去る・・・

エージェントDが庭に戻る頃、番犬は庭の隅で何かを夢中で食べている様子でDに気が付いていないようだ。

だがDがホッとしたのもつかの間、油断したせいかセキュリティにまんまと引っかかってしまった。
赤外線センサーが作動し玄関のエマージェンシーランプが点滅する。

『ぬぉ! しまった! 早く立ち去らねば・・・』

「D! 早く・・・こっちだ!走れ! 番犬も気付いたぞ!」 

『はぁはぁ・・・ これじゃあ参多の二の舞じゃないか・・・』

「危ない所だったなD。 ところで目的は達成してきたか?」

『うむ、それは問題ない。 エージェントH・・・そっちは変わったことは無かったか?』

「あぁ、ただ・・・参多の奴、もう次に向かったようだな。」 『そうか・・・では我々も急ごう』

そう言うと、2人のエージェントは闇に消えていった。


Episode3:協力

夜の公園の上空で3人はバッタリ出くわした・・・

ボロボロになってしまった赤い服を纏った「サンタクロース=参多来る寿」と、なぜかサンタクロースをライバル視している七福神の「大黒天=エージェントD」と「布袋=エージェントH」の3人だ。


大黒天:「よう! 参多じゃないか。 どうした? そのボロボロの格好は? (訳は知っているがな・・・フフフ)」

サンタ:「ほぅ・・・ 大黒天に布袋か。 相変わらず俺のパクりをしているようだな。」

布袋:「ぬぅ・・・ 貴様の方こそ! 福の大入り袋は我らの象徴なのだぞ!」

その3人の大入袋は、方々を回り切りすっかり空になっていた。

布袋:「まあ・・・今日はもう良かろう・・・アチコチ回っていささか疲れた。」
大黒天:「そうだな・・・あと1週間後、来年の元旦からの三日間が我々の本番だしな。」

サンタ:「あんたらも大変だねぇ・・・見直したよ。」

大黒天:「そう言う貴様も、アチコチでボロボロになりながら毎年よくやるよ・・・まったく。」
布袋:「フフフ・・・参多苦労す・・・ってか? やるじゃないか。」

サンタ:「言ってろ!」

大黒天:「結局お互い似た物同士のようだな。 それより、下を見てみな。 どうだい?今日の最後の締めにあの2人に皆で何かしてやろうじゃないか。」

3人が見下ろす先には一組のカップルが夜の公園を歩いていた。

サンタ:「そうだな、よかろう。」

布袋:「うむ、だが皆背負っている袋は空だぞ。」

大黒天:「う~む・・・とにかく様子を見てみよう。」

3人はカップルの様子を注意深く観察し、心も読んでみた。



男性の方は相手の女性が好きなのだが、自分にその女性の心をぐっと引き寄せる決定打を繰り出せずに悶々としている。

女性の方は相手の男性が嫌いではないが、心の中で今ひとつ踏み出せないでいる。

そしてお互いにその辺の気持ちを解り合っているようだ・・・

しかしながらクリスマスの夜に一緒に居る位だからそれなりにまんざらでもないのだろうか・・・


サンタ:「まったく・・・歯がゆいなぁ~」
大黒天:「う~む・・・微妙な展開だな」
布袋:「えぇ~い! じれったいな。ホレ! そこだ! あぁ~ 手くらい繋がんか! まったく・・・」

サンタ:「いっその事、我々でくっ付けてしまおうか?」
大黒天:「いや・・・そうも行くまい。 我々はあくまで手助けだけだ。 直接心に関与する事は流儀に反するのでな。」
布袋:「じゃあ、どうするよ?」


男:「そろそろ時間だね・・・ もう帰らないといけなかったんだよね?」
女:「うん。 明日も予定があるから。」
男:「じゃあ・・・遅くならないうちに途中まで送っていくよ・・・」
女:「うん・・・」

布袋:「あぁ~ 行っちまうぜ。 さあ、どうするよ?」
大黒天:「仕方が無い・・・最後の手段だ。 皆、袋を逆さまにして振るんだ!」
サンタ:「え?よく解らんが・・・袋を逆さに振れば良いんだな? でも、塵位しか出ないぜ・・・」

3人が袋を逆さに振ると、それぞれの袋の中から・・・思いやりや優しさ、慈しみの種などがこぼれ落ちていった。
それら幸せに繋がる種は地表に落ちる途中で雪となり、並んで歩く2人に降り注いだ。

男:「あ! 雪だ・・・積もるかな?」
女:「ホワイトクリスマスね。 それにしても・・・寒ぅ~い!」

布袋:「おうぃ! 寒くしてどうするよ!・・・そうか、雪で帰れなくするって作戦だな?」
サンタ:「ほほぅ・・・なるほど、考えたな。」
大黒天:「あ~いやいや、そうじゃないさ。 まあ見てなって。」

カップルの行く道にうっすらと「幸せの種を元にした雪」が積もり始め、2人はその雪を踏みしめながら歩いてゆく。
歩きながら今日一緒に見た映画の事や遊んだ遊園地の事や、さっき見てきた夜景の事など楽しそうに話す・・・
2人は思った。楽しいのになんで今一歩踏み出せないのだろう?と・・・

男:「積もってきたね 滑るから気をつけてね。 ゆっくり歩こう」
女:「うん。 雪は綺麗だけどホント寒いね~」

雪を踏みしめるごとに、男は気持ちが高ぶり溢れそうになるのを必死に堪えていた・・・

女:「きゃっ!」
男:「おっと! 大丈夫かい? 足を捻ったりしなかった?」
女:「うん大丈夫。」

これをきっかけに男は思わず手を握ってしまった・・・
(男:あったかい手だな~ 思わず握ってしまったョ・・・ 考えてみたら今まで手を繋いだ事なんて無かったな・・・)
(女:あ! 手を繋いじゃった・・・ なんか恥ずかしいな・・・ でも、寒いし手が冷たくなるから・・・まあいいか・・・)

男:「す・・・滑ると危ないから・・・さ。」
女:「うん・・・」

なんとなく気恥ずかしくて、無言で手を繋いだまま歩き出す2人・・・
公園の出口が近づくにつれ、2人はいつも帰りに思う「ある気持ち」を感じているのに気が付いた。
(男女:今日はもう帰るけど・・・また会って一緒に遊びたいな・・・)

男:「ねえ、またどこか行こうか? 連れて行きたい所がまだまだイッパイあるんだよね・・・」
女:「うん、良いよ。 どこに連れて行ってくれるの?」
男:「ん~。今は秘密♪ お楽しみに~ あははっ」
女:「も~う。 解った、じゃあ楽しみにしてるね♪」

そして2人は公園の外へ出る道をゆっくり歩きつづける。

布袋:「大黒天よ、まだ手を繋いだだけだぜ? これで良いのか?」
サンタ:「ふぅ・・・まだまだ、微妙な展開だなぁ・・・」
大黒天:「いや・・・これでいいのさ。 あの2人に今必要なのは時間だよ。 次に繋がるきっかけさえあれば良いんだよ。」

布袋:「なるほど・・・」
サンタ:「そう言う事か。 まあ・・・ あの様子なら、なるようになる気がしてきたよ・・・」
大黒天:「さあ、我々も帰ろう。 役目は終わった。」

カップルが公園を出る頃には雪もやみ、星も再びまたたき出した。




Final Episode

翌朝、サンタに加えエージェントDとHが訪れたとある一軒家・・・・

子供:「あれ? なんか包みが2つある・・・なんだろう? サンタさん来てくれたんだ! ホントに居るんだ。  あ! これは・・・欲しかったゲームソフトだぁ~ やった♪  こっちの包みはなんだろう・・・ け・・・剣玉に・・・竹とんぼ・・・それに独楽・・・なんで?」

父親:「夕べ、セキュリティが作動して警備会社の人が飛んできたと思ったら・・・ 庭に赤い布切れが散乱してるし・・・ 犬にあげてもいない鳥の骨は落ちてるし・・・まったく訳が解らん・・・ お!坊主・・・ずいぶん懐かしいおもちゃを持ってるじゃないか。 ちょっと貸してごらん。」

子供:「お父さん上手に出来るの? 僕ぜんぜん出来ないや・・・」
父親:「もちろんさ、お父さんがお前みたいに小さい頃は良くこれで遊んだもんだ・・・ どれ、お前に教えてやろう。」
子供:「うん! 教えて~」
父親:「ようし。 じゃあ、朝ご飯になるまで庭で遊ぼう!」

朝の住宅街に楽しそうな親子の笑い声が聞こえてきた。


 サンタクロース=参多来る寿 
 
 大黒天=エージェントD      布袋=エージェントH

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

なんとか・・・仕上げましたが・・・今回は厳しかったッス。
途中からまたまた、迷走状態にぃぃ(爆)

さて・・・虎ちゃんのクリスマス・・・ どんな風になるかな?



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7 コメント

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面白い設定だね。 (電話番)
2005-12-19 21:09:04
サンタと七福神・・・面白い設定だね。

いつも夢のあるストーリーで良いですな。

そう言う、相手早く見つかると良いですね。

応援しますよぉ
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お疲れさま(^^) (カノン)
2005-12-19 21:48:50
そうか・・・今はセキュリティーが厳しくって、サンタさんもおジャマするのが難しい時代なんだね(笑)

それにしても、クリスマスに七福神を登場させるのは、虎さん^^しかいないかも

ステキなストーリーですね
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おぉぉ!! ()
2005-12-19 22:32:54
サンタが愛のキューピットに

意外な展開にわくわくしちゃったぁ



虎さんへ。

Merry Christmas
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≧(´▽`)≦アハハハ (めいはぴ)
2005-12-20 00:52:47
虎兄~

あんたの想像力がすごいよw



サンタクロースって命がけだからね~( ̄ー ̄)ニヤリッ
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西洋 対 東洋・笑! (泥井戸@泥プピ)
2005-12-20 01:39:35
思わず『西洋妖怪 対 東洋妖怪』と書きそうになったのは内緒・爆。



三人のオサーンがいい味だしてますねー。会話も上手いカンジにじじ臭くて笑ってしまいましたよー。七福神もクリスマスは忙しかったとは・笑!



T/B張らせて下さいねー。
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たのしい (RIU)
2005-12-20 14:43:08
たのしいお話でした~

また、七福神のプレゼントが剣玉やコマってのもいいですね

しかし、こんなこと毎年やってたら、サンタさん達も大変ですよね、いつか捕まったりして・・・
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参多来る寿 (mee)
2006-01-01 21:00:05
流石だぁ~♪

参多来る寿そっかぁ~♪

日本にも~♪。。。。。。♪



参多来る寿さんが、来たら、チョッと怖いかも~☆

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