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RADICAL REAL ROCK

2024年05月13日 | 音楽

RADICAL REAL ROCK

THE STAR CLUB

 

VOCAL:HIKAGE

GUITAR:LOU(1982 - 1989)

BASS:KYOUJI(1982 - 1986)

NO FUN PIG(1980 - 1985)

1 GO AHEAD 
2 THE LAST RIGHT 
3 POWER TO THE PUNKS 
4 ENFANTS TERRIBLES 
5 冗談本気 
6 THE BIBLE 
7 SAME NIGHT 
8 LOOPHOLE 
9 MAKE MERRY 
10 D.K.G 
11 真夏悪戯 
12 URBAN GUERRILLA 
13 RADICAL REAL ROCK 
14 BODIES 0:02:33 
15 HELLO NEW PUNKS

 

 

徳間ジャパン時代のスタークラブのアルバムは『ハロー・ニュー・パンクス』『パンク! パンク! パンク!』の2枚である。

本作はスタークラブが徳間ジャパン時代に残した音源からベストと思われるもの、シングルのみ収録でオリジナル・アルバムに収められていなかった曲、あるいは別テイクなどを選び再構成した、いわば企画盤、編集盤である。といって単なるベスト&レア集ではない。そのすべてのテイクにリミックスを施した、一種のリメイクものでもある。つまり『ハロー・ニュー・パンクス』『パンク! パンク! パンク!』といったレギュラーのオリジナル・アルバムとははっきりと異なる狙いを持つもので、それらと同列に比較することはできない。
 

このアルバムが発売されたのは89年。当時のスタークラブ人気の高まりを受け企画され、新作『ソリッド・フィスト』とほとんど前後してリリースされた。リミックス作業がおこなわれたのもその時期で、中野のスタジオにヒカゲとルウ、マネージャー松尾敏正氏、オリジナル当時のディレクター芝省三氏が集まり、そしてオリジナル・レコーディングのエンジニアだった小西康司氏をリミキサーに、確か1週間ほどでおこなわれたと記憶している(オリジナル・プロデューサーの森脇美貴夫氏はリミックスの現場にはいなかった)。

プロのレコーディングに不慣れなまま終わってしまった『ハロー・ニュー・パンクス』、時間に追われやっつけ気味になってしまった『パンク! パンク! パンク!』に彼らとしては少なからぬ悔いがあり、そのリターン・マッチの気持ちがあったのではないか、ということだ。

オリジナルよりはるかに迫力を増し、バランス感覚にも優れ、さらに曲の並びもばっちりと決まった本盤を聴くと、これこそが彼らが本来実現したかったサウンドなのではないか、という思いは強まる。もちろん、それで『ハロー・ニュー・パンクス』や『パンク! パンク! パンク!』の価値が下がるわけではない。これはいわば、ありうべきもうひとつのスタークラブの歴史なのだ。
 

面白いのは『パンク! パンク! パンク!』収録の名曲「アーバン・ゲリラ」で、オリジナルよりはるかにテンポの早い演奏になっている。これは現場で実際にふたつのヴァージョンが録音され、最終段階になってテンポの遅いほうがLP(CDも)に採用され、速いヴァージョンはカセットのほうに採用された、いうことだ。そのあたりの判断が最終的に誰の決断でなされたか知らないが、アップ・テンポ・ヴァージョンが採用されていれば、LP『パンク! パンク! パンク!』の印象はだいぶ変わっていたろう。ほかにもオリジナル・ヴァージョンとの細かい違いがあちこちにあるので、ぜひ聴き比べていただきたい。


 収録曲のオリジナル・イシューについて簡単に述べておこう。M2M4M5が『ハロー・ニュー・パンクス』、M1M8M13が『パンク! パンク! パンク!』、M3は『パンク! パンク! パンク!』収録曲のシングル・テイク、M6は『ハロー・ニュー・パンクス』初回プレス付録のフレキシ、M7はファンクラブ会員用フレキシ、M9M10M14はシングルのみ収録曲(M14はセックス・ピストルズの日本語カヴァー)、M15は『ハロー・ニュー・パンクス』のカセット・アルバムのみ収録曲、M12は前述通り『パンク! パンク! パンク!』のカセット・アルバムのみ収録テイク、M15は『ハロー・ニュー・パンクス』収録曲のシングル・テイクの、それぞれ89年リミックスである。


 入念なリミックス&リマスター作業で、全15曲がまったく違和感なく配置され、まるでここしかないとばかりの必然で鳴っている。ほとんど曲間もなくメドレー状態で鳴らされるため、全編を貫くスピード感とエネルギーは強烈だ。後年のスタークラブしか知らない人にも、この時期の彼らがまさにワン&オンリーの存在であったことが了解できるだろう。ヒカゲやルウ自身も、それはわかっていたと思う。だからこそ『ロックンロール・ライダー』以降、彼らはちがう路線に向かったわけである。なお本盤は企画アルバムながらオリコンのチャートに入るヒットとなり、このころのスタークラブの評価と人気の高さを裏付ける結果となった。


 確かこのアルバムにはあと1~2曲の収録予定曲があったはずで、結局時間の制約で全曲のリミックスができず、15曲の収録となったと記憶している。その曲が何だったかは失念した。なお、初期のスタークラブがLP、カセット、シングル、フレキシとそれぞれちがう曲やテイクを入れたり、かなり凝ったリリース方法をとっていたのは、当時のマネージャーの松尾氏の趣味と考えられる。

小野島 大(1999年4月5日執筆のライナーに加筆修正した)

 

  1. HELLO NEW PUNKS(1984年10月25日)
  2. PUNK! PUNK! PUNK!(1985年6月25日)

 

 

 

 

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