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Toshiが行く

日々の出来事や思いをそのままに

メンズ日傘

2024-08-23 06:00:00 | エッセイ

 

 

おい、おい、おい。待て、待て、待て。

なに!男が化粧をするだと。

ファンデーションを塗り、眉を書き、アイラインを入れるだと。

「待て」と言ったら待て。化粧は女がするものだろうが。

 

何気なく押したテレビのチャンネル。

何と若い男性が眉を書いている場面が映し出されていた。

ぎょっとして、妻に「今時の若い男連中は眉を書いとるぞ」そう聞いてみたら

「珍しくもありませんよ」なんて言うではないか。

男たるものが、たいがいにしろ。俺の祖父や父の時代だったら、

たちまち「打ち首ものだ!」と声を荒げたに違いなく、

この俺だって「ああ、なんて世だ」と嘆きたくなる。

 

だが、待てよ。俺にあの青年たちをそしる資格があるか。

この暑さに耐えかねて、日傘をさすようになったではないか。

日傘というのは「女性が使うもの」──爺さんたちはそう言ってきた。

なのに、その爺さんが日傘をさすようになったのである。

もちろん随分と迷った。「男のくせに日傘を。それもあんな爺さんが……」

なんて思われはしないか。やっぱりやめておこうと何度思ったことか。

 

 

でも、そうも言っておれなくなった。

何せ、今年の夏は例年にも増して暑い。

ここ福岡市にしてもひと月ほども30度を超す猛暑日が続いている。

「夏は日焼けが格好いい」なんて言ったのは昔の話。

強い直射日光を浴びれば肌によくないのは言うまでもない。

それだけではない。直射日光を浴びると、

体感温度が上がり熱中症のリスクが増大する。年寄りは一層要注意だ。

 

それで決断した。

最初は折り畳み式の黒い雨傘を使った。あまり格好良くない。

それを見た妻が誕生日祝いにと、ベージュ色のちょっとしゃれたメンズ日傘を買ってきてくれた。

なかなか良い。「男たるものが……」なんて思いも消えた。 

強い陽射しの中、「どうだ」とばかり堂々と歩いている。

これも時代なのだ。そう開き直る。