今日は、弁理士試験口述試験(3次試験)でした。
上の写真に載ってる怪しげな建物が、口述試験の試験会場となった「ソフィテル東京」です。
この形からすると、パキスタン並みの大地震が来たら真っ先に倒れるんじゃないかと…。(汗)
さて、口述試験ですが、朝、試験会場に着くと受験生はまず地下2階の控え室に閉じ込められます。
試験開始までは、トイレ以外でその部屋を出る事は許されず、携帯電話などの電子機器は電源のオフを求められます。
どっちにしろ、地下2階という事もあって、携帯は圏外で外部からの情報は遮断されています。
俺は、音楽を聴いてテンションを上げて口述試験に望む計画だったのですが、その控え室の張り詰めた雰囲気から、とてもとても音楽なんか聴けるような雰囲気では無かったので、この計画は即刻断念しました…。(涙)
試験の開始時刻になると、15分おき位で4人ずつ係員に呼ばれ、上の階へと上がっていきました。
しばらくすると俺も呼ばれて、エレベーターに連れて行かれました。
俺を含めた4人は、7階、11階、15階、19階で1人ずつ下ろされました。
1つの階に部屋が3つあり、その3つの部屋を1つずつ回って特実法、意匠法、商標法の3科目の試験を受けました。
各科目、A・B・Cの3段階で評価され、Cが2科目以上あると不合格となります。
合格率が90%強の「受かるのが当たり前」のプレッシャーは、凄まじいものがありました。
本当は、思い出したくないんですが(特に商標法)、試験の様子をちょっとだけ再現してみたいと思います。
これから口述を受ける方の多少でもお役に立てればと思います。
弁理士試験受験生じゃない方は、ちょっと意味が分からない部分があるかもしれませんが、その点ご了承下さい。
【特実法】
(ノックして部屋に入る。主査、副査ともに男性でした。最初に総括質問として、志望動機を聞かれました。)
Q:特許法は、法定期間についてお聞きします。法定期間の中で特許庁長官が延長することができるものをすべて挙げてください。
A:(全くノーマークの問題だったので何を聞いているのかよくわからず、しばらく考えた後思い出しました。)4条の延長があります。
Q:それでは、その内容を教えてください。
A:108条1項の期間と…
Q:条文番号ではなくて、具体的な条文の中身を教えてください。
A:はい、失礼しました。1~3年目の特許料の納付期間、拒絶査定不服審判の請求期間、実用新案登録に基づく特許出願をすることができる期間…
Q:実用新案登録に基づく特許出願をすることができる期間は、全て延長されるんですか?
A:失礼しました。いいえ、第三者が実用新案技術評価書を請求した日から30日の期間です。
Q:本当に請求した日ですか?
A:失礼しました。請求があった旨の通知があった日から30日です。
Q:他にはありますか?
A:(あと1つ何だっけなぁ~?)条文を見てもよろしいでしょうか?
Q:どうぞ。
A:(条文を見る。あっそっかぁ~!再審請求期間だ!条文を閉じて)失礼しました。再審の請求期間です。
Q:そうですね。それでは、特許庁長官が延長する事が出来るための要件を言って下さい。
A:はい。遠隔又は交通不便の地にある者のためです。
Q:要件はそれだけですか?
A:(えっ?それだけじゃないの?)条文を見てもよろしいでしょうか?
Q:どうぞ。
A:(条文で4条を確認。しまった!「請求により又は職権で」が抜けてた!条文を閉じて)失礼しました。請求により又は職権でが要件となっています。
Q:それでは、もう一度全て言い直してください。
A:(うる覚えの4条を言いました。)特許庁長官は、遠隔又は交通不便の地にある者のため、請求により又は職権で先ほどの期間を延長する事が出来ます。
Q:そうですね。それでは、4条以外に特許庁長官が法定期間を延長できる場合はありますか?
A:(は?そんなの知らねっつーの!しばらく考える。しばしの沈黙の後、1回目のチャイムが鳴る。)
Q:それでは、時間が無いので、次の質問から先にやります。法定期間の末日が土曜日だった場合はどうなりますか?
A:月曜日まで手続きをすることができます。
Q:それはなぜですか?
A:土曜日は特許庁が開いていないからです。
Q:もっと正確に答えて下さい。
A:失礼しました。行政機関の休日に関する法律でいう休日にあたるからです。
Q:そうですね。それでは、絶対に月曜日までですか?
A:いいえ、月曜日が祝日(本当は国民の休日というべきか?)の場合は火曜日までとなります。
Q:わかりました。それでは、先ほどの問題に戻ります。4条以外に特許庁長官が法定期間を延長できる場合はありますか?
A:5条は駄目ですか?
Q:指定期間じゃなくて法定期間の延長だけですよ。(怒り気味)では、あるのか無いのかをまず答えて下さい。
A:(問題に出すぐらいだから絶対にあるんだろうなと思い)あります。条文を見てもよろしいでしょうか?
Q:どうぞ。(かなり主査はイライラしてる様子。)
A:(条文を探せど探せど見つからない。そのうちに2回目のチャイムが鳴る。)
Q:それでは、結構です。これで特許法の試験を終わります。ご苦労様でした。
A:失礼しました。
(撃沈です。この時は特実法はCを覚悟しました。しかし、俺の友人は誰ひとりとして俺が答えられなかった問題を答えられた人はいなかったと言う事を後で知りました。まさかその全員がCという事は無いだろうから、全員Bということで自分の中で納得。ちなみに答えは108条3項の30日の延長だそうです。)
【意匠法】
(主査は男性、副査は女性で、2人ともやさしげでした。まず最初に総括質問として、職業などを聞かれました。)
Q:それでは、意匠法は、3条2項の創作非容易性についてお伺いします。
A:よろしくお願いします。
Q:創作非容易性は何を基準に判断されますか?
A:日本又は外国の公知形状を基に判断します。
Q:そうですね。それでは、その判断主体は誰ですか?
A:はい、その意匠の属する分野における通常の知識を有するもの、いわゆる当業者を基準に判断されます。
Q:そうですね。それでは、事例問題を出します。メモは自由にとって構いません。ある模様が現されたノートパソコンの写真が週刊誌に載りました。後日、それと同じ模様がついた携帯電話についての意匠登録出願がありました。この意匠は登録されますか?
A:登録されません。
Q:それはなぜですか?
A:当業者にとって週刊誌で公知となったノートパソコンの模様と同一の模様を携帯電話に表すことは容易に創作できるため3条2項で拒絶されるからです。
Q:それでは、携帯電話の形状に特徴があった場合はどうですか?
A:その場合は、携帯電話が容易に創作できるとは限らないので、3条2項にあたらず登録されると思います。
Q:そうですね。それでは、東京タワーの模型の下に台があり、その部分が鉛筆削りとなっている鉛筆削りの意匠は登録されますか?
A:登録されません。
Q:それはなぜですか?
A:当業者にとってありふれた手法によって東京タワーをほとんどそのままあらわしたにすぎないため、創作容易となり、3条2項で拒絶されるからです。
Q:それでは、部分意匠の創作非容易性はどのようにして判断しますか?
A:はい、意匠に係る物品、当該部分の用途・機能、当該部分自体の形態、当該部分の位置・大きさ・範囲を基準に判断します。
Q:そうですね。それでは、その中で、全体意匠と異なる、部分意匠特有の判断は何ですか?
A:意匠登録を受けようとする部分の位置・大きさ・範囲です。
Q:はい。それでは、意匠法の試験はこれで終わります。
A:ありがとうございました。
(楽勝でした。条文は1回も見てません。チャイムも1回も鳴らされませんでした。5分位しかかからなかったのではないでしょうか?試験委員も2人ともやさしげで良かったです。A間違い無しです。)
【商標法】
(廊下で待たされている間に、ドアの奥から部屋の中で主査と副査が4条1項8号について議論しているのが聞こえたので、きっと4条1項8号の問題なんだろうなと思いながら部屋に入りました。部屋に入ると主査、副査共に男性でした。まず、総括質問があり、弁理士になったらどうするかなどを聞かれました。)
Q:それでは、商標法についてお伺いします。事例です。机の上においてある3枚の紙のうち1枚目をめくってみて下さい。なお、解答にあたってマドリッド協定議定書は考慮しなくて良いです。
A:はい。(紙には「森田自動車有限会社」と書いてありました。)
Q:指定商品・指定役務が、自動車・自動車の修理・保守で、出願商標が、そこに書いてある商標の場合、拒絶理由は何ですか?
A:(廊下で待ってる時の先入観が消えていなかったので)4条1項8号です。(と答えてしまった。)
Q:(主査、副査共に不機嫌そう。)4条じゃなくて、他の条文で何か拒絶理由は無いですか?
A:(あれ?4条1項8号の問題じゃなかったの?変な先入観があるとこんな簡単な事でも思いつかなくなる。しばし沈黙の後、思いつく。)失礼しました。3条1項4号です。
Q:他に拒絶理由は無いですか?
A:3条1項3号、3条1項6号です。(自信なさそうに)
Q:(またもや試験官は不機嫌そう。)ん?3号ですか?
A:(しばらく考える…)
Q:まぁ、いいです。それでは4号の条文はは何て書いてありますか?
A:ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と書いてあります。
Q:では、「ありふれた」って何ですか?
A:50音電話帳ですぐに見つかるくらいありふれている事です。(合ってんのか?)
Q:う~ん…。(かなり不満そう)それでは、3条1項4号の規定の趣旨を述べてください。
A:(えっ?準備してなかったー。1号の普通名称と2号の慣用商標は覚えてきたのにー。しどろもどろに)ありふれた氏又は名称は、識別力が無く、出所表示として機能しないから4号に規定されました。
Q:出所の混同は、登録要件を満たしたものについて考えるんですよ。4号に該当するものは登録要件を満たすんですか?(怒り気味)
A:失礼しました。識別力が無いため登録を受けられない旨を規定したものです。(この頃、既にパニック状態で、俺の顔はほとんど泣きそうだったに違いありません)
Q:(ぶっきらぼうに)それでは、4号の拒絶理由を回避するにはどうすればよいですか?
A:著名となっていれば、3条2項の適用を受ければ良いと思います。
Q:(かなり不満そう。ここで1回目のチャイムが鳴る。)それでは、先に進みます。2枚目の紙をめくってみて下さい。
A:はい。(2枚目の紙には、「森田」「モリタ」「MORITA」と書かれていた。)
Q:「森田自動車有限会社」の「森田」がカタカナの「モリタ」やローマ字の「MORITA」となっている場合は、登録されますか?
A:(パニック状態だからか、何をどう血迷ったのか、普通、カタカナやローマ字で書かないよなぁ~とか思ってしまい)登録されます。(って答えてしまった。答えた直後に我に返って間違いに気付くが、時既に遅し…)
Q:(呆れ顔で)そうですか。わかりました。それでは、先ほど6号っておっしゃいましたよねぇ~?6号を回避するためにはどうすればよいですか?
A:6号は、3条2項の適用を受ける事は、出来ませんが、著名となればもはや何人かの業務にかかる商標等を認識する事が出来ない商標には該当しなくなるため、6号に該当する商標は著名となれば3条2項の適用を受けるまでもなく、登録を受けられると思います。
Q:6号に該当しても、登録を受けられるという事ですか?3条2項も何もせずに。(顔が半分呆れてる。)
A:(かなりパニックでホントに泣きそうでした。しばしの沈黙の末)もう一度質問を繰り返していただいてもよろしいでしょうか?
Q:(ここで2回目のチャイムが鳴る)いえ、結構です。これで商標法の試験を終わります。ご苦労様でした。
A:(そ…、そんなぁ~。半ば泣きそうになりながら)失礼しました。
(もう、最悪です。特許は、最後の問題までたどり着いただけまだマシです。商標は、まだ事例の紙が1枚残っており、確実に最後の問題までたどりつけてません。C確定です。終わった後は、B研究室の仲間が慰めてくれるまでずっとふてくされてました。後で聞いた話なのですが、俺と同じ部屋で受けた人は、みんな3枚目までいってないみたいでした。みんな俺の部屋の試験官には文句を言っていました。他の階の部屋は無理やりでも3枚目の事例までこなしたようです。しかも他の階の部屋の試験官は優しげだったそうです…。やっぱり口述試験は、良い試験委員にあたるか、悪い試験管に当たるか、運もあるみたいです。)
試験が終わるとエレベーターで1階まで下ろされ、すぐに帰るように指示がありました。
1階のロビーでB研究室の4人みんながそろうまで待って、みんなの出来を聞きました。
特実は上述の通り、みんな同じ問題が出来なかったみたいなので、Cは免れたと思われます。
なので俺の予想は、特実がB・意匠がA・商標がCで、Cが2つ以上無いため合格!
でも、あくまで予想ですが…。
帰りに、もう一度三崎神社で合格祈願をしてから帰りました。
B研究室に帰って、お昼を食べてからカラオケに行ってストレスを発散させてきました。
ふだん歌わない俺が歌うなんて(ホントか?)よっぽどストレスがたまってたに違いない。
とにかく、後は結果を待つだけです。
ちなみに、上の口述試験の再現は俺の記憶のみに頼ってますので、忘れてしまった部分もあるため、正確に再現できておらず、実際の発言と異なる部分もあるかと思いますが、ご了承下さい。
ふぅ~、疲れた。
上の写真に載ってる怪しげな建物が、口述試験の試験会場となった「ソフィテル東京」です。
この形からすると、パキスタン並みの大地震が来たら真っ先に倒れるんじゃないかと…。(汗)
さて、口述試験ですが、朝、試験会場に着くと受験生はまず地下2階の控え室に閉じ込められます。
試験開始までは、トイレ以外でその部屋を出る事は許されず、携帯電話などの電子機器は電源のオフを求められます。
どっちにしろ、地下2階という事もあって、携帯は圏外で外部からの情報は遮断されています。
俺は、音楽を聴いてテンションを上げて口述試験に望む計画だったのですが、その控え室の張り詰めた雰囲気から、とてもとても音楽なんか聴けるような雰囲気では無かったので、この計画は即刻断念しました…。(涙)
試験の開始時刻になると、15分おき位で4人ずつ係員に呼ばれ、上の階へと上がっていきました。
しばらくすると俺も呼ばれて、エレベーターに連れて行かれました。
俺を含めた4人は、7階、11階、15階、19階で1人ずつ下ろされました。
1つの階に部屋が3つあり、その3つの部屋を1つずつ回って特実法、意匠法、商標法の3科目の試験を受けました。
各科目、A・B・Cの3段階で評価され、Cが2科目以上あると不合格となります。
合格率が90%強の「受かるのが当たり前」のプレッシャーは、凄まじいものがありました。
本当は、思い出したくないんですが(特に商標法)、試験の様子をちょっとだけ再現してみたいと思います。
これから口述を受ける方の多少でもお役に立てればと思います。
弁理士試験受験生じゃない方は、ちょっと意味が分からない部分があるかもしれませんが、その点ご了承下さい。
【特実法】
(ノックして部屋に入る。主査、副査ともに男性でした。最初に総括質問として、志望動機を聞かれました。)
Q:特許法は、法定期間についてお聞きします。法定期間の中で特許庁長官が延長することができるものをすべて挙げてください。
A:(全くノーマークの問題だったので何を聞いているのかよくわからず、しばらく考えた後思い出しました。)4条の延長があります。
Q:それでは、その内容を教えてください。
A:108条1項の期間と…
Q:条文番号ではなくて、具体的な条文の中身を教えてください。
A:はい、失礼しました。1~3年目の特許料の納付期間、拒絶査定不服審判の請求期間、実用新案登録に基づく特許出願をすることができる期間…
Q:実用新案登録に基づく特許出願をすることができる期間は、全て延長されるんですか?
A:失礼しました。いいえ、第三者が実用新案技術評価書を請求した日から30日の期間です。
Q:本当に請求した日ですか?
A:失礼しました。請求があった旨の通知があった日から30日です。
Q:他にはありますか?
A:(あと1つ何だっけなぁ~?)条文を見てもよろしいでしょうか?
Q:どうぞ。
A:(条文を見る。あっそっかぁ~!再審請求期間だ!条文を閉じて)失礼しました。再審の請求期間です。
Q:そうですね。それでは、特許庁長官が延長する事が出来るための要件を言って下さい。
A:はい。遠隔又は交通不便の地にある者のためです。
Q:要件はそれだけですか?
A:(えっ?それだけじゃないの?)条文を見てもよろしいでしょうか?
Q:どうぞ。
A:(条文で4条を確認。しまった!「請求により又は職権で」が抜けてた!条文を閉じて)失礼しました。請求により又は職権でが要件となっています。
Q:それでは、もう一度全て言い直してください。
A:(うる覚えの4条を言いました。)特許庁長官は、遠隔又は交通不便の地にある者のため、請求により又は職権で先ほどの期間を延長する事が出来ます。
Q:そうですね。それでは、4条以外に特許庁長官が法定期間を延長できる場合はありますか?
A:(は?そんなの知らねっつーの!しばらく考える。しばしの沈黙の後、1回目のチャイムが鳴る。)
Q:それでは、時間が無いので、次の質問から先にやります。法定期間の末日が土曜日だった場合はどうなりますか?
A:月曜日まで手続きをすることができます。
Q:それはなぜですか?
A:土曜日は特許庁が開いていないからです。
Q:もっと正確に答えて下さい。
A:失礼しました。行政機関の休日に関する法律でいう休日にあたるからです。
Q:そうですね。それでは、絶対に月曜日までですか?
A:いいえ、月曜日が祝日(本当は国民の休日というべきか?)の場合は火曜日までとなります。
Q:わかりました。それでは、先ほどの問題に戻ります。4条以外に特許庁長官が法定期間を延長できる場合はありますか?
A:5条は駄目ですか?
Q:指定期間じゃなくて法定期間の延長だけですよ。(怒り気味)では、あるのか無いのかをまず答えて下さい。
A:(問題に出すぐらいだから絶対にあるんだろうなと思い)あります。条文を見てもよろしいでしょうか?
Q:どうぞ。(かなり主査はイライラしてる様子。)
A:(条文を探せど探せど見つからない。そのうちに2回目のチャイムが鳴る。)
Q:それでは、結構です。これで特許法の試験を終わります。ご苦労様でした。
A:失礼しました。
(撃沈です。この時は特実法はCを覚悟しました。しかし、俺の友人は誰ひとりとして俺が答えられなかった問題を答えられた人はいなかったと言う事を後で知りました。まさかその全員がCという事は無いだろうから、全員Bということで自分の中で納得。ちなみに答えは108条3項の30日の延長だそうです。)
【意匠法】
(主査は男性、副査は女性で、2人ともやさしげでした。まず最初に総括質問として、職業などを聞かれました。)
Q:それでは、意匠法は、3条2項の創作非容易性についてお伺いします。
A:よろしくお願いします。
Q:創作非容易性は何を基準に判断されますか?
A:日本又は外国の公知形状を基に判断します。
Q:そうですね。それでは、その判断主体は誰ですか?
A:はい、その意匠の属する分野における通常の知識を有するもの、いわゆる当業者を基準に判断されます。
Q:そうですね。それでは、事例問題を出します。メモは自由にとって構いません。ある模様が現されたノートパソコンの写真が週刊誌に載りました。後日、それと同じ模様がついた携帯電話についての意匠登録出願がありました。この意匠は登録されますか?
A:登録されません。
Q:それはなぜですか?
A:当業者にとって週刊誌で公知となったノートパソコンの模様と同一の模様を携帯電話に表すことは容易に創作できるため3条2項で拒絶されるからです。
Q:それでは、携帯電話の形状に特徴があった場合はどうですか?
A:その場合は、携帯電話が容易に創作できるとは限らないので、3条2項にあたらず登録されると思います。
Q:そうですね。それでは、東京タワーの模型の下に台があり、その部分が鉛筆削りとなっている鉛筆削りの意匠は登録されますか?
A:登録されません。
Q:それはなぜですか?
A:当業者にとってありふれた手法によって東京タワーをほとんどそのままあらわしたにすぎないため、創作容易となり、3条2項で拒絶されるからです。
Q:それでは、部分意匠の創作非容易性はどのようにして判断しますか?
A:はい、意匠に係る物品、当該部分の用途・機能、当該部分自体の形態、当該部分の位置・大きさ・範囲を基準に判断します。
Q:そうですね。それでは、その中で、全体意匠と異なる、部分意匠特有の判断は何ですか?
A:意匠登録を受けようとする部分の位置・大きさ・範囲です。
Q:はい。それでは、意匠法の試験はこれで終わります。
A:ありがとうございました。
(楽勝でした。条文は1回も見てません。チャイムも1回も鳴らされませんでした。5分位しかかからなかったのではないでしょうか?試験委員も2人ともやさしげで良かったです。A間違い無しです。)
【商標法】
(廊下で待たされている間に、ドアの奥から部屋の中で主査と副査が4条1項8号について議論しているのが聞こえたので、きっと4条1項8号の問題なんだろうなと思いながら部屋に入りました。部屋に入ると主査、副査共に男性でした。まず、総括質問があり、弁理士になったらどうするかなどを聞かれました。)
Q:それでは、商標法についてお伺いします。事例です。机の上においてある3枚の紙のうち1枚目をめくってみて下さい。なお、解答にあたってマドリッド協定議定書は考慮しなくて良いです。
A:はい。(紙には「森田自動車有限会社」と書いてありました。)
Q:指定商品・指定役務が、自動車・自動車の修理・保守で、出願商標が、そこに書いてある商標の場合、拒絶理由は何ですか?
A:(廊下で待ってる時の先入観が消えていなかったので)4条1項8号です。(と答えてしまった。)
Q:(主査、副査共に不機嫌そう。)4条じゃなくて、他の条文で何か拒絶理由は無いですか?
A:(あれ?4条1項8号の問題じゃなかったの?変な先入観があるとこんな簡単な事でも思いつかなくなる。しばし沈黙の後、思いつく。)失礼しました。3条1項4号です。
Q:他に拒絶理由は無いですか?
A:3条1項3号、3条1項6号です。(自信なさそうに)
Q:(またもや試験官は不機嫌そう。)ん?3号ですか?
A:(しばらく考える…)
Q:まぁ、いいです。それでは4号の条文はは何て書いてありますか?
A:ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と書いてあります。
Q:では、「ありふれた」って何ですか?
A:50音電話帳ですぐに見つかるくらいありふれている事です。(合ってんのか?)
Q:う~ん…。(かなり不満そう)それでは、3条1項4号の規定の趣旨を述べてください。
A:(えっ?準備してなかったー。1号の普通名称と2号の慣用商標は覚えてきたのにー。しどろもどろに)ありふれた氏又は名称は、識別力が無く、出所表示として機能しないから4号に規定されました。
Q:出所の混同は、登録要件を満たしたものについて考えるんですよ。4号に該当するものは登録要件を満たすんですか?(怒り気味)
A:失礼しました。識別力が無いため登録を受けられない旨を規定したものです。(この頃、既にパニック状態で、俺の顔はほとんど泣きそうだったに違いありません)
Q:(ぶっきらぼうに)それでは、4号の拒絶理由を回避するにはどうすればよいですか?
A:著名となっていれば、3条2項の適用を受ければ良いと思います。
Q:(かなり不満そう。ここで1回目のチャイムが鳴る。)それでは、先に進みます。2枚目の紙をめくってみて下さい。
A:はい。(2枚目の紙には、「森田」「モリタ」「MORITA」と書かれていた。)
Q:「森田自動車有限会社」の「森田」がカタカナの「モリタ」やローマ字の「MORITA」となっている場合は、登録されますか?
A:(パニック状態だからか、何をどう血迷ったのか、普通、カタカナやローマ字で書かないよなぁ~とか思ってしまい)登録されます。(って答えてしまった。答えた直後に我に返って間違いに気付くが、時既に遅し…)
Q:(呆れ顔で)そうですか。わかりました。それでは、先ほど6号っておっしゃいましたよねぇ~?6号を回避するためにはどうすればよいですか?
A:6号は、3条2項の適用を受ける事は、出来ませんが、著名となればもはや何人かの業務にかかる商標等を認識する事が出来ない商標には該当しなくなるため、6号に該当する商標は著名となれば3条2項の適用を受けるまでもなく、登録を受けられると思います。
Q:6号に該当しても、登録を受けられるという事ですか?3条2項も何もせずに。(顔が半分呆れてる。)
A:(かなりパニックでホントに泣きそうでした。しばしの沈黙の末)もう一度質問を繰り返していただいてもよろしいでしょうか?
Q:(ここで2回目のチャイムが鳴る)いえ、結構です。これで商標法の試験を終わります。ご苦労様でした。
A:(そ…、そんなぁ~。半ば泣きそうになりながら)失礼しました。
(もう、最悪です。特許は、最後の問題までたどり着いただけまだマシです。商標は、まだ事例の紙が1枚残っており、確実に最後の問題までたどりつけてません。C確定です。終わった後は、B研究室の仲間が慰めてくれるまでずっとふてくされてました。後で聞いた話なのですが、俺と同じ部屋で受けた人は、みんな3枚目までいってないみたいでした。みんな俺の部屋の試験官には文句を言っていました。他の階の部屋は無理やりでも3枚目の事例までこなしたようです。しかも他の階の部屋の試験官は優しげだったそうです…。やっぱり口述試験は、良い試験委員にあたるか、悪い試験管に当たるか、運もあるみたいです。)
試験が終わるとエレベーターで1階まで下ろされ、すぐに帰るように指示がありました。
1階のロビーでB研究室の4人みんながそろうまで待って、みんなの出来を聞きました。
特実は上述の通り、みんな同じ問題が出来なかったみたいなので、Cは免れたと思われます。
なので俺の予想は、特実がB・意匠がA・商標がCで、Cが2つ以上無いため合格!
でも、あくまで予想ですが…。
帰りに、もう一度三崎神社で合格祈願をしてから帰りました。
B研究室に帰って、お昼を食べてからカラオケに行ってストレスを発散させてきました。
ふだん歌わない俺が歌うなんて(ホントか?)よっぽどストレスがたまってたに違いない。
とにかく、後は結果を待つだけです。
ちなみに、上の口述試験の再現は俺の記憶のみに頼ってますので、忘れてしまった部分もあるため、正確に再現できておらず、実際の発言と異なる部分もあるかと思いますが、ご了承下さい。
ふぅ~、疲れた。
7階です。
再現参考になりました。
ありがとうございました。
貴殿と自分が異なるところ
特実法
法定延長の4つをのっけから全部答える。あと1~3年度の特許料納付期間も答える。
だが、行政機関の休日に関する法律でいう休日を正確に答えられなかった。
(かなりイラツかれる)2度も法文集を確認したにもかかわらず、
緊張からか、法文集を閉じた瞬間に忘れてしまった。
流石に3度目に本を見てもいい?とはい言いづらかったので、
うーん、と唸ってにらんでいると、次の話題に移動。
あと「実用新案登録に基づく特許出願をすることができる期間」については
質問されなかったと思う。
(のっけから全項目を言ってしまったんで聞き忘れたのかも知れない)
(もし聞かれたら、緊張で答えられなかったかも)
代わりに、「いつまで延長できるか」と聞かれた。
「はぁ?」っと言う顔で、主査をまたもや睨んでいたら、
「だから~いつまで延長できるのぉ?」と更に強い口調で睨み返された。
(こりゃガンの付け合いだw)
しばらく頓珍漢な問答を繰り返す。
チャイムの音がなる寸前に、
「期間満了前でないとダメです」と答えたら、
「そう、最初からそう言えばいいの。それを聞きたかったんだ」といわれる。
で、終了。
(かなりガンの付け合いをしてたんで、おそらく特実はC評価だっただろう)
意匠法
だいたい貴殿と同じ受け答えだったけど、
3条2項で拒絶という理由じゃなく、
置換や商慣行の転用に該当するという審査基準のキーワードで答える。
(自分も意匠が一番すらすら答えられた。)
商標法
自分も4条1項8号を最初に答えてしまった。
(もしかすると、貴殿の前の人間は自分かも?)
またもや、うーんと唸っていると、あっさりスルーして次のパネルへ。
「森田」「モリタ」「MORITA」、これって、みんな識別性ある?という質問。
「全部ありません」と答える。理由は言わなかった。(直感的にそう思っただけだから)
「じゃぁ、さっきのパネルを見てさぁ、森田自動車有限会社はどうなのかなぁ?
識別性がある?」と聞かれる。
そこではっと気付く、助け船を出してくれたんだなと。
有限会社→会社の態様を示すものなので識別性なし
自動車→自動車関連の業種に使われるものなので識別製なし
森田→さっきの助け舟を受けて3条1項3号で識別製なし
全体的に見て、識別性はないので、登録を受けられない。
と答えたら
「はい、わかりました。結構です。」といわれ、席を立つ。
三枚目のパネルを見ることなく終わったのでかなり鬱になる。
読んでくれたんですね。(恥ずかしい…)
特許は、ホント短答ちっくでした。
しかも短答よりもマニアック…。
でも、結局みんな108条3項以外は答えられてたから、すごくはないと思います。
商標は、ホント目も当てられません…。(ヤバ過ぎ)
ちなみに、十八番…やってしまいました…。(反省)
俺もそう思いたいです!!!
いや、商標は相当テンパッてたました。(ハイ)
再現も正確じゃないかもしれません…。(汗)
変な先入観をもって試験に臨んだのがそもそも失敗でした。
実力を出し切れなかったのがかなり悔しいです。
ちなみに、湯島天神のお守りなら既に家中に何個も何個も…。
お役に立てたかどうかわかりませんが、口述試験頑張って下さい。
今年は、新作問題が多いみたいだから気を抜かない方がいいですよ。
貴重な再現を見せていただいてありがとうございました。
特許の問題は相当マニアックだと思うのに、ここまで答えられるなんてすごい!
落ち込むことないと思います。
最近、君の歌を聴いてないねぇ。またまた十八番を歌われたんでしょうか?
ではではまたね~。
来年受けるつもりなので席を一つでもあけて置いてください(笑
再現できるだけ冷静なのですから、
基本的に合格してるんじゃないかなぁ。
落ちてしまう方は相当てんぱっているという話を聞きました。
ところで、あのホテルからだったら湯島天神が近かったのに・・
湯島天神といえば受験の神様ですから・・
再現、とっても参考になりました。
手に汗を握るというか、こっちまでドキドキしました。
ノーマークな分野の事例問題は嫌ですねぇ・・・
早く終わってほしいですっ!