「この中には灰が無いんです。」
シュウイチがコップをひっくり返すと、テーブルの上に吸殻だけが2本転がり落ちた。
「吸っている本人や身近にスモーカーがいる人には当然の事なんですが、タバコを吸うと案外灰が多くでるものなんです。でも吸わない人はそれに気付かない。と言うか気にもしていないんでしょうね。だからタバコを吸ったように見せるつもりでこんな風に吸殻だけを入れたりする。」
シュウイチは吸殻をつまんで、また紙コップに戻した。
「先生を利用してバスケ部をハメようとしたヤツがいるんですよ。おそらくは例の目撃者か、その背後に。」
「軍曹」は「フン!」鼻を鳴らすと黙って部室を出て行った。
部員たちは歓声を上げかけたが、またすぐにドアが開いたのでサッと静まる。
顔を出したのは、バスケ部の顧問であった。口にはタバコがくわえられている。
「何だ? まだ残っていたのか。」
「先生、ここではタバコは止めてください。」
シュウイチは持っていた紙コップを顧問に差し出した。
蛇足―その翌日、「軍曹」が目撃者から穏やかに聞き出した真犯人は、以前態度の悪さと下級生に対する暴力で退部になった元部員であった。もちろん彼も非喫煙者である。
シュウイチがコップをひっくり返すと、テーブルの上に吸殻だけが2本転がり落ちた。
「吸っている本人や身近にスモーカーがいる人には当然の事なんですが、タバコを吸うと案外灰が多くでるものなんです。でも吸わない人はそれに気付かない。と言うか気にもしていないんでしょうね。だからタバコを吸ったように見せるつもりでこんな風に吸殻だけを入れたりする。」
シュウイチは吸殻をつまんで、また紙コップに戻した。
「先生を利用してバスケ部をハメようとしたヤツがいるんですよ。おそらくは例の目撃者か、その背後に。」
「軍曹」は「フン!」鼻を鳴らすと黙って部室を出て行った。
部員たちは歓声を上げかけたが、またすぐにドアが開いたのでサッと静まる。
顔を出したのは、バスケ部の顧問であった。口にはタバコがくわえられている。
「何だ? まだ残っていたのか。」
「先生、ここではタバコは止めてください。」
シュウイチは持っていた紙コップを顧問に差し出した。
蛇足―その翌日、「軍曹」が目撃者から穏やかに聞き出した真犯人は、以前態度の悪さと下級生に対する暴力で退部になった元部員であった。もちろん彼も非喫煙者である。