ある難病(パーキンソン病)患者の叫び

年齢51歳。医師。2004年4月病気のため退職。白衣を着ていた者がパジャマに着替えた時に感じた本音を叫び、訴える。

ありがとう と済みません

2006-09-01 11:42:28 | Weblog
最近、朝6;30の教育テレビのテレビ体操をリハビリ、朝のリフレッシュとして行っている。
そしてこの体操が終わると週の何回かは「ことば叔父さん(?)」という日本語の使い方の番組が始まる。
実はこの番組は私には非常に面白く、興味深くみているのだが、先日の番組では「『ありがとう』と『すみません』」をとりあげてあった。
私は以前、姉から次のように言われたことがある。
「あなたはいつも下を向いて、『すみません』しか言わないのね。どうしていつも謝るの」と。
確かに私のその頃は、パーキンソン病という絶望的な病に、ただただひれ伏し、自分の運命に呪われた、震えている子羊そのものであった。
それまでの私は「ある意味では良い医者であり」「患者に自分の時間のほとんどをささげてきた」「家族を省みない」「家族よりも医局で飼っているマウスが大事」という完全な仕事中毒人間であった。
それが、L-ドーパの過量な摂取により幻聴が続き、体も心も疲れきり、全てに自信を失っていた時の頃である。
よく日本語の直訳で『悪気』をもって訳すと I am sorry になるわけでもあり、謝罪する気持ちがなければ やはり素直にありがとうと言うべきであろう。
thank you (あなたへの感謝)なんです。

少し前に某病院に入院していたが、その時足の不自由な人が入院していた。彼女は歩くときに何かに掴まらないと歩けないので歩くときは必ず看護師さんを呼んでいた。呼ぶことは別に悪いことでは無いのだが、その際必ず「すいません」を連発するのである。彼女は丁寧なつもりで言っているのだろうが、「ありがとう」と言えば病気が即回復するとは思えないけれど、人生感が変わりactiveになるのではないだろうかと思った。

今も変わらず「すいません」と彼女は言っているだろうか??



写真は今朝の朝顔です。

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