諏訪山岳会公式ブログ

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瑞牆 十一面岩 翼ルート

2022年08月29日 | クライミング

日時:2022年8月16日
メンバー:まっきー、U山

お盆休み最終日に十一面岩の翼に行ってきました。

翼は70年代に開拓された左岩壁の初登ルートで、日本100岩場の初版本にはきちんとラインが描かれていましたが、その後に出された増補改訂版ではラインは3P目途中から点線になって消えてしまい、ルート解説にも”ほとんど登られていない”と書かれたように一時は忘れられルートとなっていたようです。が、最近になって佐藤裕介さんが翼ルートを再整備し、ご自身のHPやロクスノ(95号)にトポが寄稿されていましたので今回はそれを頼りに行ってみることにしました。(ちなみに100岩初版本のラインはかなり大雑把なものです)

この日は、植樹祭広場の駐車場は1/3が埋まる程度、十一面岩には末端壁に2パーティー、左岩壁に2パーティーを確認できたぐらいで空いていました。おかげで静かな岩場を自分たちのペースで楽しむことができました。


(ルート概要)

1,2P目 他の多くのラインと共通のピッチ。2P目のチムニーは適度な難しさが長く続いて楽しめます。

 (2P目 チムニー) (2P目 チムニーの中間付近)

3P目 前半はチムニー、後半はコーナークラックの快適ピッチ。2P目からこのピッチの前半まで連続してチムニーを堪能できます。

 (3P目 前半チムニー)

4P目は短いながらも登りにくい2つのコーナークラックを経て岩のブロック帯を登ると左岩壁と正面壁のコルに出ます。

(4P目 途中の岩のブロックに立つ)

そこから正面壁に向けてブッシュ帯の歩きとなりますが、ブッシュ帯はきちんと枝が刈払われていて踏み跡も明瞭なのでスムーズに通過できました。再整備してくれた方々に感謝です。その先、岩場に突き当たると、踏み跡がやや不明瞭になって文字通り右往左往しましたが、最終的には来た道正面方向に素直に岩を上がってみたら5P目の汚いクラックが目の前に現れました。これを上がると6P目の見栄えのするコーナークラックにご対面です。

 

(5P目の汚いクラック)

6P目 正面壁の頂上ブロックを登る本ルートのハイライトピッチ、出だしがハングしたコーナークラックです。佐藤さんのHP掲載トポには 10a とありましたが、ロクスノトポでは5.10 となっていて後者が適当だと思います。
リードのまっきーはオンサイトしましたが、本人曰く”ギリギリ”だったそうで、たしかにかなりしんどい。言い訳がましいですが、体のサイズがそこそこものを言うので、小柄な方は、頭を使いましょう。私は何も考えずに力任せに突っ込んだら、ものの見事にハングにぶら下がるミノムシになりました。出だしをクリアした後も、クラック幅が広いので、手の小さい人にはこれもしんどいと思います。

 (6P目 コーナークラック)

6P目の終了点からは正面側に回り込んでトップアウトするのが正規のラインのようですが、あまりきちんとトポを見なかった我々はここで終了。靴を履き替えて正規のラインの裏側から正面に回り込んで頂上にタッチしました。

 (終了点

下りは頂上から正面側の肩にラッペルしましたが、なんとロープが小石に巻き付いてスタックしてしまい、ベルジュエール最終ピッチを登り返して回収する羽目に。簡単には終わらせてくれません。でも肩から先は踏み跡、固定ロープとも完備されていて、迷うことなく取り付きに帰ってこれました。

実は私、会の先輩に連れられて90年代に一度、翼をトレースしたと記憶していたのですが当時の資料を見返してもそういう記録は見当たらず、別のルートを翼と勘違いしていたのではないかと気になっていました。今回はそれを確認する目的もあったのですが、1,2Pは他ルートで何度か登っているのでともかくとして、それ以外のピッチで既視感がある風景には出会えなかったので、やはり勘違いだったのだと思います。それはさておいても、とても楽しいルートでした。お勧めです。

十一面岩には、まだ取り付いたことが無いルートや、1P目がA1の時代に登ったベルジュエールのフリートライも残っています。
それらを登りに再び足を運びたいとおもいます。



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