諏訪山岳会公式ブログ

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'22-'23 年末年始山行 西穂高西尾根 

2023年01月09日 | バリエーション・登攀

'22-'23 年末年始山行 西穂高西尾根

メンバー:U山、M島(記)
期間:2022年12月30日~2023年1月1日

12月30日 曇り 時々 雪
岐阜側にある北アルプス西側の玄関口、新穂高温泉群に入郷し山行スタート。
テント設営予定の地点であるピーク1,946m付近までしっかり積った雪上(むしろ雪中)を20kg弱のザックを背負い登り詰めます。
幸い、先行者のトレースがあり、比較的順調に初日を終えることができました。

  • 新穂高センター~穂高平小屋
    圧雪トレースあり。数パーティ確認。モノトーンの静かな林道風景が穏やかな気持ちにさせてくれます。


    <穂高平小屋へ至るモノトーンの右俣林道>

  • 穂高平小屋牧場跡地~尾根取付き
    ツボ足等、複数人が歩いたと思われるトレースあり。概ね膝あたりの積雪量ではありましたが雪がやや重く、汗をかかぬよう逆らわずに歩行を続けます。
     
    <穂高平小屋近辺の牧場跡地。トレース少々>

  • 尾根取付き~1,946mピーク付近
    予想通り、雪はしっかりと付いており、所々でラッセルを強いられるも、先行者のトレースで比較的ラクに標高を上げることができました。急な斜面で、雪に隠れた灌木を超えるのに苦労した場面が幾度とあり、雪が深い分、むしろそう言う地点でずいぶんと骨を折りました。
     1,946mピーク近くにテントを設営し、初日の体を休めます。ここからは緩やかな雪道が続きますが、いかにも尾根らしい地形がはじまるのがわかり、翌日以降の登高に胸が躍りました。
      
             <西尾根取り付き>                          <1946ピーク>

             <初日テント設営地点>

新穂高 8:30 ~ 穂高平 9:50 ~ 西尾根取り付き 11:00 ~ 1946ピーク 14:30

 

12月31日 曇り 時々 晴れ 後 雪
二日目は緩やかな尾根歩きからスタート。緩いアップダウンを繰り返しながらコブをクリアしていき斜面登りが始まりました。2378m付近で先行者の設営跡をいくつかやり過ごしました。この日の好天は午前中まで。これから向かう穂高の、真っ白でスケールの大きな雪山連峰が、はるか上空に。存在感が強めです。くどいですが、仰ぎ見るだけで圧巻のスケールです。果たして自分たちを受け入れてくれるのだろうか、と謙虚になりつつも、天候の大崩れがないことをただただ祈ります。

  • 第Ⅰ岩峰
    穂高平小屋牧場跡地からずっとワカン山行でしたが、第Ⅰ岩峰直下からハーネス、アイゼンを装着。岩峰を左側から超える。取り付き地点は急斜面でアイゼンを効かせながら登りましたが、次第に傾斜が強くなってきました。幸い、木枝のホールドが割としっかりしており、バイルに頼らず手足でよじ登る。(高さにして20~25m程か)
      
       <第Ⅰ岩峰を超える>                 <JPへの登り> 

     <岩間から西穂高岳を望む>

  • 第Ⅰ岩峰~第Ⅱ岩峰
    雪煙が舞う中、時折青空も垣間見える時間帯もありましたが、それも正午あたりまで。完全な曇り空へとコンディションは変わり、一気に寒気の入り込みを感じるに至ります。今回の3日間の山行でもっとも低い、マイナス14℃を記録。風も強めで、体感はそれ以上の寒さか。されど防寒対策に双方ともぬかりなし。岩混じりの雪稜、雪壁を登るうちに雪煙が取れ、本日最後の青空の時間帯が訪れます。北西尾根とのJPに到着する頃、そこから北西尾根を見やると、随分と下方から、綺麗なトレースが確認できました。自身の登攀力がまだまだ未熟だったこともありますが、そうこうしているうちに、両腕が上がらなり、レストが多くなる。
     
         <北西尾根JP手前>

        <北西尾根からのトレース>                <第Ⅱ岩峰に向けて登る>
                            

  • 第Ⅱ岩峰~西穂高岳直下
    第Ⅱ岩峰は登りだしでロープを2P出して通過。そしていよいよピークの山頂標識が視界に入り、 最後の登りへと足を踏み出す。すでに標高は2,800m超過、西穂ピーク直下は傾斜が強い岩混じりの雪壁で気の抜けないところだったが古い残置Fixがあったのでロープは出さずに登る。
      
        <第Ⅱ岩峰の登り>                     <最後の登り> 

        <西穂ピーク直下>

  • 西穂高岳山頂
    16:00を回っった頃に登頂。おそらくは2022年度の最後の登頂者になったのではないでしょうか(笑)。風、降雪、日暮れ、ガスの4拍子がそろい踏みの山頂を、そそくさと後にして高度を下げました。

           <山頂到着>

  • 西穂高岳山頂直下(独標側)
    悪天といいつつも、視界は40~50m程は確保。小ルンゼを20分ほどクライムダウンして吹き溜まりのコルへ至り、そこでようやくこの日の山行を終えます。雪を掘り、突貫的な雪洞をあつらえましたが、自身にとっては十分すぎるほどの出来栄えで、なによりも1時間程でつくりあげてしまったことに驚きを隠せませんでした。風を凌ぎ、暖かい雪洞でU山氏と二人、2022年を年越すことになりました。年越しそばの代替として、アルコールで新年を迎えることになる。
     
             <雪洞作成> 

             <雪洞内部>

    1946テン場 7:00 ~ 第Ⅰ岩峰 11:50 ~ JP 13:00 ~ 第Ⅱ岩峰 14:30 ~ 西穂高岳 16:15 ~ コル 17:00

 

1月1日 雪 時々 晴れ 
3日目は帰り支度の山行でしたが、晴々しいはずの2023年度元日の朝は風と降雪に迎えられました。積雪量もまた、一晩でずいぶんと増していました。出発時はすでに日が上っている時間帯でしたが、視界は薄暗く、トレースもなく、ルートファインディングをよぎなく強いられる山行でした。そのようなコンディションでも一瞬一瞬においては視界が開けるタイミングもあり、景色のありがたさや美しさがいつも以上に味わい深いものであったことはぜひとも触れておきたい。

  • 西穂高岳山頂直下(独標側)~西穂高独標
    風雪で足元を見失わないよう、慎重に。時折訪れる一瞬開ける視界で方角を確認しながら標高を下げていきました。一般登山ルートと言うには少々無理があるような岩雪トラバースを繰り返しこなします。独標まで距離にして数百メートルでしょうか、差しかかると、山頂のまばらな人影が確認できました。
     
       <三日目元旦。天候に恵まれず>
     
       <ピラミッドピーク>
     
       <下りが続く>

     <独標>

  • 西穂高独標~穂高ロープウエー駅
    ピンクフラッグが等間隔で立ち始め、それに従い歩きました。まったく晴れ間の無い3日目でしたが、ロープウェー駅までの静かな圧雪道は樹林帯に囲まれていて心地よく、貴重な本山行を振り返るにはこの上ないシチュエーションを享受できていたと思います。
     
         <独標登頂> 

         <最後に西尾根を望む>

    コル テン場 8:00 ~ ピラミッドピーク 8:50 ~ 独標 9:30 


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