鱈裂くやただひと色に海と空 角川春樹 『JAPAN』
歳時記は結構持っている方だと思うけど、
句会・吟行等に携帯していくものは、春樹事務所刊の文庫本。
T子姐さんからは「いい趣味、してるわね」と皮肉られるけど、
僕にとっては、例句を含めて、結構好みなのだ。
この前、結社誌の「THE 時評」に書かれていたように、
今、角川春樹は「魂の一行詩」なるものへの展開を図っている。
ご存知かもしれないが、下記のホームページもある。
http://www.monthly-rentier.com/soul/index.html
「魂の一行詩」とは日本詩歌の根底にある「いのち」と「たましひ」を詠う現代叙情詩である。
とあるように、そこには抒情の強く滲み出た作品が紹介されている。
僕が見る限りは、ウチの結社の作品群とも比較的近いように感じられる。
穴惑遠くまぶしい水がある 野田久美子
蛇衣を脱ぐや複写の魂ばかり 堀本祐樹
終電車錆びたる鮎の群れを吐く 岡田滋
僕が、T中宏や現代川柳諸氏の作に惹かれながらも、
一線を画すのは、「抒情」というものへの未練なのかもしれない。
やはり、「抒情」を捨て去ることは出来ないのだ。
さて、冒頭の春樹の句も好きだ。
「裂く」という言葉を使った所為もあるだろうけど、甘ったれた抒情句ではない。
自然、そして人間の営みが投影された「魂の一行詩」と言えるように思われる。
29日。
風邪は悪化することはないものの、咽も少しいがらい。
薬は飲まず、仕事場で思い切り口から湯気を吸い込む、こんな原始的な治し方。
忘年会の段取り等、もろもろを頼まれてしまう。
夕食。
水菜のハリハリ鍋。熱燗3本。
この日もビールは飲まず。