これでお開き

体育会系俳人のつぶやき

踏み締むるほどに霞みて延暦寺

2007-03-29 13:06:33 | Weblog

  比叡より横川へ下る霞かな   加倉井秋を  『風祝』

「横川」は「よかわ」と読む。延暦寺横川中堂の横川だ。

句意は明快で、特に付け加えることもないので、
ここに取り上げるような句ではないのかもしれないが、
例の結社誌2003/7月号「吟行特別作品」における、
T子姐さんと3Mでの比叡山・坂本吟行を思い出したのでね。

「霞」自体が下っているとも読めるし、
中七にスリットのある句(下っているのは発話者)とも読める。

あのときもすごい霞(実際は霧といった方が正しいのだが)だった。
もう四年も前になるのだが、つい最近のことのように思い出される。
あのときも、京都駅スタートだったダンディーと僕は、
早速に話し込んでしまって、堅田まで乗り越してしまう珍道中。
吟行途中も、比較的早いダンディーと僕(それでもセンセの歩みよりは遅い)と、
スローのT子姐さんとKM組とで、途中はぐれてしまったり。
当時は、誰もまだ携帯電話を持っていなかったのだ。

運良く出会って、坂本からケーブルで上がった延暦寺は、
それは霧深く、おもわず焼討シーンを思い浮かべたほどだ。

  焼討のあとかたもなく霞みけり   康司

あえて、逆接的に詠んだってことか? 自分でもよう分からん。
「焼討」という言葉を用いてかなり作った記憶があるが、
どうも、一番体裁のいい(レトリック絡み)のを最終的に選んでいるね。
Sさんの発言「推敲しすぎて実感を失ってしまうというのも問題」。
(僕のところではなく、T子姐さんの句の批評の場において)

今、この結社誌2003/7月号を読み返してみると、
Sさん、doryさん、S津子さん、Dンさんによる合評の冒頭に、
「吟行の心構え」なるものが記してある。
この心構えに添って、井の頭公園吟行に向かおうと思う寿司江なのであった。


28日。
順調に仕事をこなす。
仕事面では月末納期ってのは体裁のようなものだから、
さしたる問題はない。問題があるとしたら町内会の方。
こっちもあれだけご不幸が出たら、最後の最後まではないだろう?

夕食。
チーズフォンデュ。
白ワイン、ビール1本。


青春18切符・残り2回、金券ショップにて安値でゲット!
30日(金)は座席が空いていたら、朝から飲んでいるだろうし、
栗ちゃんに車で迎えに来てもらう14時までに出来上がっているかも。
そして、ふたりでの炭火焼での酒盛りとなる予定。
でも、翌朝は早く起きて、午前十時に井の頭公園に行かねばならない。
ま、栗ちゃん次第だけど、三次会までは行くことになるだろうな。
三日目は、それはもうアルコールが蓄積しているだろうから、
誰かさんよりも、こっちの方が二日酔い状態だろう。
帰りは21:18発「のぞみ」の予定。
ま、23:10発の夜行バスって手もあるけどね。

ということで、4月2日も町内会引き継ぎほか多忙なので、
4月3日まで、ここの更新をお休みにします。

凶日の昼酒なれば田螺和

2007-03-28 12:59:34 | Weblog

  田螺和佐屋の泊も遠からず   長谷川櫂  『初雁』

この句を鑑賞する上においては、

  水鶏鳴くと人のいへばや佐屋泊   芭蕉  『有磯海』

を知らないと分かりづらいことだろう。

「佐屋」は愛知県海部郡佐屋町の(今は市町村合併で愛西市)こと。
この佐屋から木曾川を下って桑名へ出て、芭蕉は伊賀へ戻ったらしい。

したがって、長谷川櫂のこの句は、
佐屋の泊りからさほど遠くない川辺の宿(料理屋)で、
田螺和えを食した際に、ふと芭蕉の句を思い出しての作となる。
ま、格調も感じるし、いい句だと思うけどね。

ここのところ、結構この手の句に憧れている。
またそのうちに、つまらなくなるかもしれないけどね。
ただ鑑賞面のみで、表題句の通り、自作には全く反映されていない。

  天地をわが宿として桜かな   櫂

クサイといえば、クサイけどね。


27日。
現段階では、問題なく野辺山→井の頭公園へ行けそう。
金曜日(平日)の昼の車中酒、回るだろうな。

植木等の死。
昨年末の青島幸男の通夜の席での姿を見て、
相当に肺の状態が悪いんだな、と感じていた。
月並みだけど、どんどん昭和は遠くなってゆくね。

夕食。
宅配ピザ、ビール2本。

19時30分より町内会新役員顔合わせ。
終了後、居酒屋Bにて。
帰宅23時30分。

巣箱につがひ漬物を刻む音

2007-03-27 12:40:29 | Weblog

  熊蜂のうなり飛び去る棒のごと   高濱虚子  『五百五十句』

虚子で「棒」といえば、

  去年今年貫く棒の如きもの   虚子

が、あまりにも有名だけど、どうやら「棒」はお好きだったようだ。
もちろん、「熊蜂の棒」はその直線的な速さを指しているわけだけど、
直喩としての納得度は「去年今年」の句よりも高いように思う。

虚子が「棒」に興味があった証拠は、次の句からも。

  線と丸電信棒と田植傘   虚子

こちらは形状対比だけど、第三者としての突き放した眼は感じられる。
僕が虚子に感じる魅力は、その第三者的突き放した眼。

素十、茅舎にも次の句が。

  雨だれの棒の如しや秋の雨   高野素十

  枯木立月光棒のごときかな   川端茅舎

茅舎の句はテクニシャンぶりが顕著で、
「枯木立」を呈示しておいて、その「枯木立」ではなく、
「月光」が「棒のごとき」という捻り、ま、嫌いじゃないけどね。

  白葱のひかりの棒をいま刻む   黒田杏子

も愛唱句。と、なると、今や「棒」では詠みづらい感じすらある。 


26日。
普通に仕事。

夕食。
ビーフカレー、DRY DAY。

おとうとに鰊曇りと問ひなせる

2007-03-26 12:40:51 | Weblog

  渡り者海苔一束を持つて来し   岩城久治  『冬焉』

掲句の季語は「海苔」なんだけど、
春の季語に「渡り漁夫」というのがあるので、
その方面への連想も少しばかりはたらく。
「ヤンシュ」と言った方がピンと来るかもしれない。

「渡り漁夫」というのは、北海道で鰊の漁が盛んだった頃、
東北地方の農民が北海道へ出稼ぎに渡ったことを指すんだけど、
一時期ではあっても世話になるのだから、挨拶代りに、ということだ。
日本酒における杜氏(「杜氏来る」・冬)も、これに類するもの。

ま、そこまで限定して考えなくても、
普通の定住地を持たずに、渡り歩く人としてもいい。
一見、報告句のようなんだけど、何か雰囲気を持った作品。

話はかわるけど、ネットカフェ難民が問題となっている。
派遣会社での日雇い労働(ワンコールワーカー)がその一因だけど、
いわゆる、宿泊可とあるネットカフェで連日寝泊りをするわけだ。
東京などでは、ワンルームでも家賃が高いからね。
でも、狭い部屋、椅子に腰掛けてだから熟睡は出来ないよね。
寅さんじゃないけれど、気ままな渡り者生活とは無縁の冷徹な世界。
ま、便利な世の中にはなったけど、その歪みはいろいろなところに。


24日。
半ドン仕事。
夜は町内会役員の。
アポロプラスにて。終了後、町内のスナックへ。
帰宅25時。

25日。
9時42分、能登半島で大地震。
倒壊家屋の割りに被害者が少なかったことが幸い。

夜、「米」さんを貸切(それでも9人で満席になる)にて、
龍谷大学「青春俳句大賞」の表彰式に来ていた、
イクラさんとその教え子6人と一緒に会食&句会。
ウチの結社に入会済のシボウさんとも、はじめて会う。
ま、みんなきっちりとした俳句を作るし、
評もすらすらとよどみなく話すし、頭の切れの違いを痛感する。
僕なんか、直感・山勘・第六感で勝負するしかないよね。

まだまだ話したかったけど、22時半に7人はホテルへ。
あと、米さんに残ってT子姐さんと少し話す。
小腹が空いたので、「京めん」へ。
24時になったので、T子姐さんはお帰りに。
僕ひとり残って、茶そばでビールをもう1本。
帰宅、昨夜と同じく25時。

小糠降る都をどりやこのうつゝ

2007-03-24 13:18:49 | Weblog

  稿料はうぐひす餅の十個分   須佐薫子  『復活』

僕の場合は、今度編集長が交代する雑誌の前身(H瞑社)時代に、
二回ほど、稿料・金壱千円也を頂戴した経験があるだけなんだけど、
もうちょっと実績のある雑誌にしたところで、少し上程度なんだろう。
この短詩系関係の稿料(もちろん、ランクによる上下はあろう)は、
すずめの涙ほどってのは、いまや常識となっていて、
総合誌に載せてあげるんだから光栄に思えって感じさえある。

鶯餅、今ひとつ150円ぐらいが普通だろうか。
安いところで100円、老舗で200円という感じか。
だから、この句の作られた年代はわからないけれど、
先の僕の例に近い稿料ということだろう。
掲句、総合誌に発表したんだったらエライと思うけど、
おそらく結社誌なんだろうな。

作者には失礼ながら、僕は「は」→「分」がイヤなので、

  稿料でうぐひす餅を十個ほど

としたいけど、今度は「で」がどうか? となるしね。
ま、話題にしやすいから取り上げた句だから、そこまで言ってもね。
実際は、鶯餅や桜餅を「個」で数えるのもイヤ(京都に住む者としては)。
いつつおくれやす、とを(十)おくれやす、が普通だから。

  稿料でうぐひす餅を五つほど

なんだけどね。

須佐薫子、「鷹」→「帆船」主宰。 

  春北風楽聖の絵のひとならび    薫子
  坂東太郎ここより夏の海になる    〃
  台風裡畳鰯の目のつぶつぶ      〃    
  名月に透き通りたる赤ん坊       〃


23日。
今週、夜はシンクロとフィギュアという採点競技の放送。
フィギュアの方は採点方法が変わったというけど、
どうも、素人眼には納得の行かないことが多い。
23日分ならば、中野友加里はあと3点ほど上でも良かったかと。
やっぱ、タイム、高さ、遠さという計測競技の方が割り切って見られる。

夕食。
ホットプレートで広島焼。
但し、ソースは神戸・オリバーのどろソースが中心。
甘ったるいソースは、僕にはダメ。
ビール2本。

連翹や卵黄硫黄LOFTの黄

2007-03-23 12:27:50 | Weblog

  連翹や雨の堅田の蓮如みち   星野麥丘人  「鶴」

堅田(かたた)は滋賀県大津市の一角、琵琶湖の西岸に位置する。
湖西線下りで言えば、京都………比叡山坂本-雄琴-堅田という順である。
浮御堂があり、堅田衆と呼ばれた湖族の郷でもある。
町並みも含めて、吟行をするにはもって来いの地といえる。
冬場ならば、句会後は「しづか楼」の鴨鍋あたりか。
炭火での諸子・鴨の炙り、そして鮒鮨も有名。

  鎖あけて月さし入れよ浮御堂   芭蕉     鎖=じょう
  鴨鍋や雪の堅田の夜はくだつ   鈴鹿野風呂
  夜寒かな堅田の小海老桶に見て  森澄雄
  秤から堅田のもろこ跳ねて落つ  飴山實
  柊をさして堅田のまくらがり   大峯あきら

「蓮如道」は蓮如上人が布教のために歩いた道のこと。
「蓮如」と「堅田」とは深い関わりがあるが、それは「検索」でお調べを。

この麥丘人の句は、鈴鹿野風呂の句とほぼ似たかたちとなっている。
「○○や」の季語部分が、「鴨鍋」から「連翹」へ。
中七は、「雪」が「雨」に替わっただけ。
座五は違うものの、固有名詞を使って体言止めという常道。
ただ、俳句には「型紙」の部分が存在することも事実で、
それを上手く使いこなしつつも、オリジナリティーを出す、
そう割り切った方がいいのではないか、と僕は思っている。

人によっては、雨の日に堅田の蓮如道を歩いていたら、
連翹が咲いていた、という報告だけじゃないかと言うことだろう。
「連翹」と「蓮如」との韻だけじゃ句が持たないとも。
でも、これも俳句、気分のいい句じゃないの。
印象批評だけど、気分のいいだけで存在価値があると思うのだ。
最近の長谷川櫂の句にも、この部分をかなり感じる。


22日。
年度末が近づいていることもあって、
会計さんからの相談とか、雑用が結構ある。
最終的には、僕が手書きの数字をエクセルに打ち込むことになるし。
24日(土)には、一週間前ながら役員のも。

夕食。
ごまだれ担担鍋。鍋物もそろそろ終りかな?
ビール2本。

百歳の石井桃子を季語とせる

2007-03-22 12:44:38 | Weblog

  夕蛙男のひげは羅生門   青木啓泰  『蛙と羅生門』

句集名にもなっているのだから、この作者の代表作の一つなのだろう。
ウチの結社にもひげを蓄えている方は結構いらっしゃる。
センセ、K太さん、めろん編集長、……
関西方面でも、栗ちゃん、カメケン氏、K勲さん、……。
ひげの濃さを言えば、和菓子屋の若旦那。
この前の支部句会は無精ひげ姿だったけど、頬のあたりが逞しげ。
僕も無精ひげはよく生やすけど、蓄えたことは一度もない。
ひげ面が似合いそうにないのはKM。

掲句の「羅生門」を連想するには、栗ちゃんのひげが最も相応しいかな。
鼻の下が横に拡がって、真つ縦に顎鬚へと繋がっているあの感じ。
芥川龍之介の『羅生門』、その映画の下敷きである原作『藪の中』も、
多少は句に反映されているような気がする。
季語「夕蛙」のとりわけ「夕」からしても、……。

この青木啓泰という人、検索にかけてみると面白い俳句を作る人とわかる。

  米ドロボー火星の村に月一つ   啓泰
  針金をよじれば月夜の亀が鳴く   〃
  結氷期ずしんずしんと薪を割る    〃
  流木にまじつて着きし青蛙      〃
  初句会手抜きの一句混ぜて出す  〃

「亞」代表、「歯車」「萱」とあるから、Dンさんはよくご存知かも。


20日。
たらたらと祝日への英気を養う仕事。

夕食。
野菜炒めキムチ入り。市販の餃子、中華スープ。
ビール2本。

21日。
春分の日。
朝、ソフトボールチームの練習に顔を出す。
でも、一年のブランクは隠しようもなく、衰えを感じる。
でも、久しぶりに体を動かして、休日気分は最高!
11時には上がって、帰り道でキリンの「THE GOLD」を買う。

昼酒。この「THE GOLD」、
アルコール度数は昔のビール並みの4.5%。
東やさんのおっしゃるように「プレミアム・モルツ」を意識した味。
もちろん、麦芽とホップのみで、米やコーンスターチは使っていない。
僕は、粉っぽいとは思わなかったけどな。
ただ、クラシックラガーの苦味とは違う現代的「隠し苦味」。
あのラインの味を、一般ビールの値段で出せば売れるって算段だろう。
このビール、泡の持続性にもポイントを置いているので、
コップを用意してドンと泡と立てて飲んでほしい。
ヒットするかどうかは別にして、いい商品だと思う。
と言っても、別にキリンの株を買っているわけじゃないけど。

昼間、結構飲んだので、夜は名古屋風味噌煮込みうどんのみ。

八衢の春のおでんとなりにけり

2007-03-20 13:04:08 | Weblog

八衢=やちまた (ルビを振るまでもないけど、画数が多いので読み辛い)


  釘箱から夕がほの種出してくる   飴山實  『少長集』

そう、散文調になるけど、座五は「出しにけり」じゃなく「出してくる」がいい。
「釘箱」=武骨 ⇔ 「夕がほ」=可憐 も狙いの一つだけど、
不自然ではなく、むしろ「種袋の中」の時代は、釘箱が相応しくも映る。

一句として、もちろん凄い句ではないけど、
このような句をずらっと並べてみたいな、とも思う。
と言って、そんな簡単にはできないけどね。

『飴山實全句集』、本屋に行けばあるので、いつも手に取ってぱらぱらと。
でも、税込8,400円を出してまでは、ね。この出版社の本は全般に高い。
センセの第四句集『銀化』も、当時の消費税率(3%)で込3,000円。
ま、売れないから仕方ないけど、一般本に比べて句集は高すぎるね。

『林田紀音夫全句集』は税込5,775円。
一般句集二冊分で全句集(一万句)とはお買い得って思ってしまうのだ。
それを言えば、飴山實全句集も一般句集三冊分だけど、ここが微妙なのだ。


19日。
今週のような水曜日が休日ってのは結構好き。
連休よりも、飛び石よりも、二勤一休・二勤二休がいい。
水曜日の休みを目標に、仕事の段取りを組み立てられるってのがいい。
ということで、この日は20日納品分をそこそこ頑張って染める。
(得意先が売掛金〆の20日に、納期を指定することはほとんどない)
いわゆる、高難度・その割りに低加工賃(納期なし)の品を納める日なのだ。
そして、20日は適当に流して、ということになる。
ただし、こんな風に休日への英気を養う仕事ぶりだから、
その収入は、間違いなく○○さん、○○○さんの半分以下だろうね。

夕食。
おでんの続き。
スジ肉、大根が最高。3月の寒さにもぴったり。
熱燗2本。ビール1本。

プチトマトと言えば、
前に行った串揚げ屋の一串として出されたプチトマト、
(ウズラ卵のように二つを串に刺す)は絶品だったけど、
この前、メンチカツの時にウチで試しに揚げたものはイマイチだった。
プチトマト自体が、お店のものは有機農法か何かで違うのか、
揚げる油の違い(少しラードも混じっている感じ)、温度の違いなのか、
やっぱり、伊達に金は取ってないなと思ったものだった。
ソースでもいいけど、天然塩で食べることを奨められた。

そうだ! 市販のよりもっと小さかった。プチプチトマト。
熱が加わって柔らかくなるぐらいの熟成手前のもの。
でも、皮は剥いてあって、内は真っ赤だったよ。

豚の耳どんなんだつけ風光る

2007-03-19 12:49:38 | Weblog

  春の海魚と鳥と寢るならば    田中裕明  『櫻姫譚』

たとえば、掲句の「寢」と「寝」、
正字(旧字体というのが正しい?)で書けば「海」の旁も「母」となる。
たびたび取り上げるふらんす堂の社長さんのブログによれば、
刊行予定の『田中裕明全句集』において、
漢字表記を統一するかどうかの問題が出て来ているようだ。

『中原道夫1008句 作品集成Ⅰ』の時も、
センセからお聞きしたところによれば、
唯一「新漢字表記」であった第一句集『蕩児』も、
その際に、正字に直して出されるということだったが、
結局、最終的には「新漢字表記」ということになってしまった。
そのいきさつがどうだったのかは、僕は全く知らないけど。

「新漢字表記」で問題なのは、前にも書いたけど、
「弁当」と「弁護士」の「弁」が同じことなど、ちょっと無理を感じる。
「辨」と「辯」。字画の問題があるんだろうけど、これはね?
僕もこだわれるものなら、こだわりたいけど、
「あんたの俳句に、正字は似合わない!」でチョンだろうな。
そう、今日の表題句のようにね。

ま、それでも「桜」は「櫻」、「滝」は「瀧」とすることがあるし、
「国」を「國」「円」を「圓」と句によって使い分けたりしている。
統一することだけが正道というわけでもないからね。

それはさておき、裕明の句。
読みとしては、「春の海(私が)魚と鳥と寝るならば」だろう。
(↓)海中(↑)空と分かれ棲んでいても、(―)海面という接点がある。
中には、鳥に啄ばまれる魚だっているわけで決して共存関係ではない。
掲句の詠みのおおらかさ・やわらかさは特筆すべきだけど、
それゆえ、逆に自然界のきびしさを感じさせるぐらいなのだ。

(私が)(或る夜は)魚と(或る夜は)鳥と、とも考えられるが、
二者とするよりは、三者一緒という感じで読んでみたい。


16日。
普通に仕事。
18時より市政協力委員(大体、町内会長が兼務)の納会。
短い総会のあとは、必ずと言っていいほど宴席となる。
そこへケイタイに、次年度町内会長から困った電話が飛び込んでくる。
詳しい話は明日ということで、電話を切る。

17日。
19日納めを頼まれている商品があったので、
半ドン以上の仕事。ここを書くのもお休みに。
というのは、朝寝坊したからだけど。

仕事が終ってから、次年度町内会長宅へ。
ま、来年も僕は副会長をするんだけど、長老はわがまま。
やんわりと意見をするけど、聞く耳なし。

夜は町内の防災組織(任期3年)の納会。
といっても、三年一区切りだけで、満65歳まではずっと委員。
その場で次年度町内会長の横暴をちょっと愚痴る。
その所為で、灰皿への投句も出来ないままに午前様。
結局、誰も十句以上投句しなかったみたいね。

18日。
寒く引き続き風の強い一日。
競馬は阪神大賞典(GⅡ)。
ずっと追っている⑦トウカイトリックから行くも、
仕掛けがやや遅れて、首差負けの3着。
ま、仕方あるまい。

夕食。
おでん。
熱燗2本、ビール1本。

てらてらと雲の老いゆく猟名残

2007-03-16 12:35:30 | Weblog

  夜の雪崩カムイと人のあひだ抜く   依田明倫  「ホトトギス」

「ホトトギス」系の俳人の中では(と言うのが適切かどうか?)、
面白い俳句を作る人だと思っている。

「カムイ」は、アイヌ語で神格を有する高位の霊的存在のこと。
「神(かみ)」の語源であるとも言われている。
明倫は北海道空知の人だから、実感を持って詠まれているのだろう。
なんか、その雪崩自体が神の存在のようにも思えてくる。

  狩の犬魔王の森を出できたる   明倫

なんとなく先の句と感じが似ている。
狩猟犬からも、どことなく神格めいたものを感じなくもない。
「魔王」という強い言葉も、違和感なく溶け込んでるし。
シューベルトの歌曲「魔王」を連想する人もいることだろう。

  カンパニュラに残響ハーレダビッドソン   明倫

カンパニュラの和名は風鈴草。
作為を感じなくもないが、この取り合わせは面白い。
ホトトギスの異端児ぶりはこのあたりにも。


15日。
何か知らないけど、行きそびれていて、
この最終日に、税務署へ確定申告書を提出に。
並ばないといけないかと思ったけど、
提出だけの人は、すいすいという感じだった。
まだ、この期に及んで未記入の人がたくさんいるのにはびっくり。


夕食。
つくねいものフライ。人参葉の胡麻和え。エンドウ豆の卵綴じ。
ビール2本。

とこしへにジャニスは祈る諸葛菜

2007-03-15 12:22:23 | Weblog

  三色菫働けばくる日曜日   横澤放川  「萬緑」

屁理屈をいえば、働かなくても日曜日は来る。
でも、昨夜終ったTV「ハケンの品格」の大前春子じゃないけれど、
《働くことは生きることです》と言われるとつらいものがある。
そう、たらたらと仕事をしている自分にとってはね。
どうしても、一人で誰の目も気にせずに、となると、
ついつい自分に甘くなってしまうのだ。

「ハケンの品格」。
ま、大前春子のような奴はおらんやろ、と思うし、
実際、組織での勤務経験のない僕だから納得で、
会社ちゅうもんは、あんな甘いもんやあらへんで、だろうけど、
そんなことは抜きにして、ラヴ・コメディーとして面白かった。
でも、俳句をする人はTVドラマをあまり見ないようで、
この前の支部句会の後席で、大前春子ネタを振っても反応が薄かった。

ま、こんな風にTVドラマを見ている時間があるというのも、
閑な証拠といえるわけで、いやはやという感じ。
はい、「華麗なる一族」も「拝啓、父上様」も見ています。
「特命係長・只野仁」は必ず見ています。
そう、昨夜で一旦終ったけど「相棒」も。
「花より男子2」は見ていません。

さて、放川の一句。
「パンジーや」じゃなくて、わざと字余りにしたのは、
紫(月火水)、黄(木金土)、白(日)という、
一週間の流れを「三色」ということで表現したかったのかな?
理で解釈しすぎ?


14日。
たらたらと仕事。
ホワイトデーなれど、返すようなものは貰っていないから、
居酒屋にもわざわざ足を運ぶことはない。

鈴木ヒロミツの死。GS世代としては淋しい限り。
モップスはR&Bの影響が強かったよね。
「♪ たどりついたら いつも雨降り」

ジャニス・ジョプリン、あの歌声は衝撃的だったなあ!
特に「ムーヴ・オーバー(邦題 ジャニスの祈り)」。
そう、ジャニスといえば、ジャニス・イアンも。
と、もうこのへんになるとその連想は止まらない。
どちらかといえば、フォークよりロック・R&B志向だったかな、僕は。
もちろん、フォークも好きだったけれど、……。

夕食。
メンチカツ、コロッケ、ミートスパ、ポテトサラダの定番。
ビール2本。

面を打たば雨粒ひしゃぐ螢烏賊

2007-03-14 12:27:31 | Weblog

面=も


  囀やどれも空向く壜の口   中西夕紀  『さねさし』

ま、取り合わせ&発見の一句。
壜の中へ囀りが吸い込まれていくような錯覚も受ける。
女性らしい感覚のうかがえる一句だと思う。

「囀」ではこの句と、

  囀やさへづりながら近づく死   河原枇杷男  『密』

あたりが好きだったけど、

  囀の脚見えてゐる梢かな   秋山夢  『水茎』

の、声から脚だけ見えている姿への展開も興味深く映った。
東やさんが3月号「石田勝彦を読む」で書かれている

勝彦が向かった先は写生であった。対象物を凝視し、そこに何か新しいものを見つけ出し、感じ取り、その瞬間を言葉に言い止めることを至上のものとしたのである。ともすればそれはトリビアルであり、非情でもある。(中略) 写生への拘りは執念とも言える。 〔引用 終〕

現実として、言葉で表現する段となった時、
なかなか純粋の写生というものには徹し切れないけど、
その意識は常に持っていなければならない。
上記の秋山夢の句は、執念の一句のようにも見えてくる。

でも、ふらんす堂の社長さんの日記を読ませて戴くと、
東やさんもG化調の作家と思われていたようで、苦笑い。


13日。
寒さ、やや和らぐ。
雨というか、春の時雨のようなものと出遭う。

31日の井の頭公園吟行の後の泊りのホテル、
さすが、吉祥寺は人気スポットと見えて、
東急インも第一ホテルも空室なし。
新宿まで戻って、歌舞伎町の東横イン(シングルは空室あり)にしようか。
それとも、歌舞伎町で朝まで呑み明かす? 栗ちゃん。

夕食。
肉のしゃぶしゃぶと連日の鍋料理。
熱燗2本、ビール1本。

音大出美大出さくら隠しかな

2007-03-13 12:45:23 | Weblog

  春の雪きらりきらりと眼がありぬ   斎藤玄  『無畔』

11日から北日本を中心に降り出した雪は、
春の雪なんかじゃなくて、明らかに冬の雪だけど、
なかなか、季語の流れの通りに、自然は進んでくれないものだ。
或るスキー場なんか、今冬の営業を終えた夜からのドカ雪だから、
それはやりきれない気持ちでいっぱいだと思う。

掲句、風花に近い雪の降り方のように感じる。
密ではなく、雪片ひとつひとつを眼で追える程度の。
そこで、発話者が感じたものが雪片それぞれの眼。
「眼がありぬ」という把握は、「春」こそのものかと思う。
雪そのものが、春めいた景色を眺め回しているような、……。
ま、上五で切って読むことも可能だろうけどね。

もう一句、

  可借夜の桜かくしとなりにけり   齋藤美規  『桜かくし』

可借夜=あたらよ

同じ斎藤姓だが、玄は「斎藤」、美規は「齋藤」となっている。
渡辺、渡邊、渡邉もそうだけど、校正者泣かせの苗字。

この「桜かくし」は「春の雪」の傍題。
「時雨」の傍題「山めぐり」同様、使いこなしてみたい季語である。

句意は、明けてしまうのが惜しい夜、桜隠しの雪が降り出したことよ。
この「~の~となりにけり」は、俳句の型紙の典型だけど、
上手く嵌れば、まず成功すると言っていいだろう。
この齋藤美規の句は「可借夜」「桜かくし」がぴったりで、
まさに最高のかたちで、一句を成功に導いている。

あまり言いたくないけど、僕もたまに使わせてもらうかたち。
結社誌3月号の

  槌音の比叡颪となりにけり   康司

は、まさにこれ。こっちは何とか成功しているという感じ。
要は四音の言葉と六音の言葉を探して、上手く合わせるってこと。
ま、両方が同時に出て来るに越したことはないけどね。
六音のところに助詞が混ざると、句がごちゃついてしまう感。
まだ、形容詞か形容動詞の方が望ましいが、やはり六音語がベスト。
寿司江のワンポイント講座でした。


12日。
仕事場から家に戻ったら、結社誌3月号が届いていた。
Y子さんに井の頭公園吟行のことでお尋ねのメールを入れたら、
97頁にきちっと説明してあった。お手数をかけてごめんなさい。
そうか、井の頭公園は「S前編集長が刷り上った創刊0号を持って」と、
アリバイ工作室に記してあった記念すべき場所なんですね。
でも、今度はさくら季なんだ。観光客で一杯なのがイヤだけど。
東京へ行ってまで桜を見たいとは思わない、ちょっと言い過ぎかな。

  東京へ来てまでさくら脛痒し   寿司江

しまった。吟行句が出来ない時のために置いておけばよかった。

編集後記が復活、賢弟めろんちゃんの意気込みが伝わってくる。

夕食。
こまだれ雲呑鍋。
ビール2本。

お水取迎ふる昏鐘鳴なりしかな

2007-03-12 12:47:28 | Weblog

昏鐘鳴=こじみ


  飛ぶ如き走りの行もお水取   粟津松彩子  「ホトトギス」

「お水取」は東大寺二月堂修二会の締めの行。
お松明はダンディーのお世話で一度だけ見に行った。
掲句で詠まれている通りの壮観な行であった。

行ったのはダンディーと僕の他に、
T子姐さん、KM、大阪のY田一男さんであった。
ダンディーがまだ大学の事務職にあった時だから、
もう五年ほど前になるのだろうか。月日の経つのは早い。

その走りの行を最後まで見て、二月堂の中へ上がらせて貰って、
声明を唱えておられるところまで拝見していたら、
すでに21時頃となっていて、夜の早い奈良の町は、
店という店が閉めている感じだったので、
大阪帰りの一男さんとは近鉄奈良駅で別れて、
京都で遅い食事をしたことを覚えている。

そう、「お水取」は「お水取」なのであって、
傍題の「水取」とは、僕は使いたくないんだな。
ま、今日の一句も「水取を」とした方が、句型は確りとするんだけどね。


10日。
半ドン仕事&競馬(不調)。
夜は体育振興会の納会。
ホテルのバイキング、食べ飲み放題。
終了後、スナックにてカラオケ。
帰宅、25時。

11日。
京都支部句会。
年度末ということもあって、
出席10名、欠席投句8名という淋しさ。
でも、出句自体はなかなかに高レベルであったと思う。
一句を挙げろと言われたら、

  桃の花洗濯物を密に干す   和市

になるかな。

終了後、居酒屋割烹「えいじ」へ。
お造り盛り合わせに赤貝(大好き)が入っていて喜ぶ。

あと、T子姐、栗ちゃん、KM、若旦那とワインバーへ。
赤ワインを3本を開け、まだ生ビールを二杯ずつ。
ここのミニピザ、チーズ盛り合わせは美味。
帰宅は意外と早く23時。

フランベのほのほ呼び込む朧かな

2007-03-10 11:58:25 | Weblog

  春炬燵鸚鵡の真似をする人間   中村草田男  「萬緑」

周りに草田男びいきは多いけど、僕の立場は句による是々非々。
でも、掲句の批評性は好きだな。俳句的な批評精神だと思う。
鸚鵡に言葉を覚えさせたことを他人に自慢する、その優越感。
でも、傍から見れば鸚鵡が言っていることを真似しているようにも。
季語「春炬燵」=優越感の象徴と、僕は受け取った。

ウチの結社の仲間内では、現代川柳と関わりが深い方だろう、僕は。
どうして久保田万太郎好きが現代川柳? なんてことは別にしてね。
意外とG化調へ傾斜している時は、句に批評性を自然と盛り込めた。
これは一つの発見で、G化調を全面的に否定出来ない一つの要因。

  善人を揃へすぎたる闇汁会   康司  H12/3月号

なんてのは、これに当てはまる句だと自分では思っている。
だからどうだ、ってまでは言えないけど、
批評性を、自分の句から失くしたくない気がするってこと。
欲張りかな? だから「貴方は一体何を詠みたいの!」と言われるのだな。

  暗いくらいと騒がしいピアノ弾き    石部明   「MANO」12号
  祭壇の写真わたしと違います     佐藤みさ子     〃 
  遺体をひとつ動かすための想像力  加藤久子      〃
  靴下を靴下入れに引き止める     樋口由紀子     〃 
  雛壇の三段目まで霜焼に       小池正博       〃 


9日。
10日に半ドン仕事をするつもりなのでスローペース。

夕食。
神戸牛の最高級品にはとてもとても及ばないが、
行き付けの精肉店の開店10周年の目玉商品(一応、国産)によるステーキ。
一応、フランベもして、オリジナルソースも作って。
付け合わせに、インゲン、人参、マッシュポテトなど。
ステーキ肉一枚の値段(恥しくて言えない)からすれば、上々。
赤ワインを切らしてしまって、ビール2本。