セントシュタイン三丁目

DQ9の二次創作(主にイザ女主小説)の、全くの個人的趣味なブログです。攻略の役には立ちません。悪しからずご了承ください。

テンチョーにお休みをおまけ話

2010年11月26日 21時52分02秒 | クエスト184以降
 箱船運転士アギロが留守の間、箱船の管理を任されているミミたち。
「確か動力は星のオーラだったな」
 不思議そうな顔で機関部を調べているイザヤール。
「そー!ミミたちがいつもクエストやってくれてるおかげで、動力ぜっこーちょーヨ!」
 星のオーラか、懐かしい言葉だな、とイザヤールは呟く。今はもう見ることは叶わない、人間たちの感謝の証。
 そんな彼の気持ちを察したのか、ミミはそっとイザヤールに寄り添う。じっと見上げる憂いを含んだ紫の瞳に、大丈夫だ、と微笑む。
 そんなしんみり雰囲気を吹き飛ばすように、サンディが言った。
「あー!アタシ、ネイルの予約入ってたんだったー!後頼むわネ!」
 彼女が行ってしまうと、箱船の中は急に静かになった。二人きりという状況は多々あるのに、サンディが気を使っていなくなったのがわかるだけに、かえってぎこちない空気が流れた。
 長い沈黙の後、イザヤールが口を開いた。
「ミミ」
 名前を呼ばれ、彼女はイザヤールを切ない瞳で見上げる。
「イザヤール様・・・」
 すると、ここで突然、二両目との連結部分の扉が、がらりと開いた。
「よお、今帰ったぜ!お疲れさん!」
 お約束の最悪タイミングで、アギロが帰ってきた!
「あ・・・アギロさん、おかえりなさい。・・・もっとゆっくりしてきてよかったのに」
 ミミのセリフの後半、ものすごく本音である。
「テンチョー!ナニイイ感じのトコジャマしてんのヨ!」
「ていうか、サンディ居たの?!」
「あはは、ゴメン、ミミ。どーしても気になっちゃってさー」
 ドタバタな光景炸裂。しかし、イザヤールは楽しそうに笑い出した。
「んもう、みんなして・・・」
 ミミは少し頬を膨らませたが、やがて彼女も、苦笑からだんだん楽しげな笑い声に変わった。
 もうこの場所が、二人にとって、辛い思い出より楽しい思い出が増してきている。そのことが嬉しい。
 テンチョーお土産はー、ンなモンねえよ、というサンディとアギロの会話に笑いさざめきながら、すっかり憂いの消えた瞳で、ミミとイザヤールはお互いを見つめていた。〈了〉

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