珍しくパズにスポットが当たった回。
9課といえば、少佐とバトー、トグサ、石川・ボーマ、斉藤がコンスタントに出てくるけど、パズは少佐に名前を呼ばれるだけであまりスポットは浴びてこなかった。
それだけに、彼の日常を知ることはキャラを理解するうえではいいけど、へぇ…で終わってしまうのもまた事実。
前回、クゼが鹿児島の超高層ビルから逃げていくシーン。
(あのヒキからの続きで始まるのかと思ったら、荒巻課長の新しい作戦の説明と、事件の概要の整理に使われただけ。)
あのシーンから、色々と個別の11人にまつわる事実をつかむことに成功した9課。
さすが。
この集団自決というデモ行為の一種を見た、模倣者がどういった行動にでるのか、それが今後対応しなければならないこと。
だが、数では圧倒的に劣る9課がその全てに対応することなど出来ない。
ならば、大元である内調にターゲットを絞ることで、発生源と宣伝部を断ち切る。
やっと9課らしい行動になってきた、といわんばかりのトグサが、わかりやすい。
彼ら個別の11人が呼びかけた「名も無き者」
これは、結局だれのことを指すんだろうか。
前回、クゼだけが名前を持っていると書いた。
これはこれで、他の個別たちとは違ったんだという事実。
STAND ALONE COMPLEXを誘発「された」ものから、まだその状態に至っていない者への呼びかけなのか。
・個別の11人が、その形はどうであれ、「自決」をプログラムされていたという事実。
-トグサが訪れたルポライター事務所以外でも、何人もの感染者が自決を図った。
→そのプログラムを作成し、個別の11人として感染させたゴーダの意図は、感染元と感染因子のつながりを削除すること。
・一人だけ行動を別にしたクゼ、彼は首相暗殺未遂の際にも、口を動かさずに言葉を発しているという事実。
-ゆえに彼は、何らかの特殊な要因によって、プログラムどおりには行動を起こさなかった「突然発生の変異体」である。
→「口を動かして」言葉を発するのは表情筋があればこそ。
「口を動かさない」OR「動かせない」のは表情筋を動かすマイクロマシンがないから。
では、表情筋を機能させていないのに、彼が至極「人間らしい」顔立ちを保っていられるのはなぜか。
答えは、極めて卓越した造顔(象嵌?)作家の手によって緻密に作られた「顔」であるから。
そのような作家は、おそらく特定の組織には所属せずに活動する。要するに一匹狼の曲者。
そんなやつは、国内では二人に特定できる。
早速、二手に分かれてそれぞれの造顔作家の元を訪ねる9課。
その作家の顧客リストの中には、クゼヒデオの名前が。
いつものように、ダンナと組んだトグサ。
オカッパ作家の家に向かう途中、すでに何か事件が起こっていた。
ものものしく周囲を囲む警察車両を抜けると、作家の屋敷内ではその本人が殺害されていた。
少佐の指示で、現場の指揮を引き継ぐと県警に申し出るバトーだが、県警はそれを受け入れない。
凶器は腹にささったまま、被害者と犯人は直前まで飲み明かしていたことから顔見知り、そして何よりも、防犯カメラには犯人の容姿が明確に映っている。
9課の出る幕はない。
そう突っぱねる県警は、少佐が送り込んだ増援のパズと斉藤を見た瞬間に首をかしげる。
お前、どこかで…
防犯カメラに映し出されていたのは、間違いなくパズ。
「顔が似てる」どころではなく、傷から表情から立ち居振る舞い、その全てがパズそのまま。
もちろん、9課において信頼を得ているパズが犯人であるわけはない。
アリバイならいくらでも証明できる。
だが、県警にはしこりが残ったまま。そりゃそうだ。犯人誰だよって。
少佐は、犯人はパズと必ず関係がある人物だと推理。
思い当たることを全て話せという少佐の言葉にも、初めは「今のところは思い出せない」と応えるパズ。
容疑が晴れるまで、つまりは犯人が見つかるまで自重しろという少佐の指令に従う。
その後彼が向かった行きつけらしいクラブでは、ママの新しい趣味である「顔」がかけられている。
一人でグラスを傾けるパズの元に、県警が近づく。
犯人がパズ本人でないことは承知。
しかし、あの犯人の容姿は、明らかにパズへの並々ならない執着を示している。
だから君に張り付かせてもらう。
そういい残して去った県警。
初めてパズが男と酒を飲んでいるのを見たというママは、最近ある「造顔作家と知り合った」という話をする。
その、戦場で負傷した兵士を専門顧客にする彼が言うには、「その顔の傷の深さは心の傷の深さ」
別の酒場で時間を潰していた県警の男は、「パズ」によって射殺されてしまう。
殺される前にパズとクラブにいたことから、県警もパズをその場から逃がしたくない。
しかし犯人がパズである可能性は皆無だと吼えたバトーによって、パズはその場を去る。
一人で追わせてくれと言い残して。
もし自分が戻らなかったら、このアドレスへ来てくれと、バトーに言い残す。
パズが「一人でこの事件を追いたい」といった理由は、「しごく個人的な問題」だから。
クゼの名前を見つけたリストの中には、KAORI KAWASHIMAという名。
これを見たパズは、何かを思い出し行動を開始する。
もちろんバトーがパズの単独行動をほって置くわけもなく、タチコマに乗り込んで後を追いかける。
すると着いた場所で、ある黒ずくめのコートの人物と鉢合わせたパズ。
過去にパズが関係を持ったらしい、女性の声を持つその義体使い。
その義体は、紛れもなく「パズ」である。
防犯カメラに映ったのは、この女性だった。
「同じ女とは2度寝ない主義」であるパズは、その流儀どおりに彼女の元を去ったのかも知れないが、全く納得できないままだった彼女はその愛を憎しみの執着へと変えてしまった。
結局この元恋人同士の2人は、「パズ」という同じ容姿同士となり、戦う。
お前になら殺されてもいい、とつぶやくパズは、その意思とは正反対に彼女の「顔」をナイフで貫く。
THOUGHTS
どうやらパズ、少佐にスカウトされるとき、彼女にも「同じ女とは~」の台詞を言ったらしい。
あきれるバトーの気持ち、わかるよ。
今なら絶対に言えないんだから、いえるときに言っといて良かったんじゃないかな。
そして今回の話で新たに浮上してきたもう一人のキーマン、造顔作家。
象嵌作家でいいのかわからないけれど。
顔がキーワードだったので。
明らかに怪しいKAWASHIMAの名前。
8話で、ウォン・チューレイと勘違いされて(ニセの情報を掴ませたゴーダによって)殺されてしまったカワシマ・ショウと同じ名前なんですが。
9課が突き止めた作家、おそらくはゴーダにとっても重要なファクターであるクゼと直接関わりがある人物。
それを消す為に彼女を利用した。
とっても浅い作戦ではあるけれど、個別の11人と関係のない事件だと(適切な情報を知らないものに)思わせるための、ゴーダの思惑があったのか。
ここに、暗躍してたのはゴーダと見て間違いないのかな。
彼女がカワシマと関係のある女性だったなら、適切な時期に9課に適切な邪魔をするのは、納得がいく。
そして、そのお膳立てをしたのがゴーダなら、さらに納得。
9課には余計な時間をとらせたわけだし、重要な参考人は既にこの世にいないんだから。
まぁ、でもきっと関係ないと思われます。
だって、関係してたら、夫婦だろうし、でもそんなわけないから。
マンションのお宅の中に、愛人マシンいましたよね。彼女。
ゴーストは顔の傷、しわなどに宿るという新しい考え。
顔っていうのは、その人の性格が表れる場所ではある。
「兵士」という特殊な、顔に傷を負うことがあったりする人なら、まぁあり得るだろう。
過酷な戦場に耐えてきたという疲れ、生き延びてこられた毅さ。
それは確実に表れているはず。
パズも、それは例外ではない。
その傷までもを再現する象嵌作家の手にかかれば、「パズ」という人物になりきることは可能かもしれない。
その説によれば、「ゴースト」までも得たことになるのだから。
顔の傷、といえば思い出すのがゴーダ。
彼は、意図してあの酷い傷を消していない。
今まで目立たなかった男が、その存在を主張するためのツールであることは間違いないが、その他に「ゴースト」の宿る場所でもあるんだろうか。
ゴーストってのは攻殻の中でコンスタントに扱われるけれど、要するにアイデンティティの問題?
電脳という、ともすれば画一化される可能性もあり、100%自分が作り出したものでない物体を意識するとき、その電脳が「自分である」と認識するためには。
少佐が、腕時計という外部記憶を持つように、なんらかの別のアイデンティティを求めるものだ。
それが、「顔」である場合もあるってことかな。
いや、攻殻の場合、色々と予想というか理解しようとしても全然違ってることもあるし。。。
ついていくのが精一杯。
今回の、率直な感想は、「女の恨みは恐い」
あと、もう一つ勘違いしてたのか、どうだったのか不明なんだけど。
前回の話の途中で、クゼ、1度だけ口動かしてなかった?
もう一度見てみるけど。
「動かせない」んなら、勘違いですね…