一軍で活躍する速水をテレビのブラウン管でみる飛雄馬。思わす応援する自分、それを怪訝そうにみるチームメイト。
垢抜けた身だしなみで合宿所に帰ってきた速水にあい、すぐに席をはずし、グランドを全力で走る飛雄馬。「おれはウソはきらいだから、はっきり認める。速水をねたんでいる。いつか食堂でテレビを見てて速水を声援したのだって、じつはねたみを気づかせぬためだったかもしれん」
「うじうじする必要があったら、このグラウンドの土に汗をしみこませるんだ。それしかない・・・ばか正直に」
そこに川上が近づき、つぶやく
「ばか正直こそ尊い!」
川上はいう、もしあのときだまり通したら、「きみは落球について痛い思いをせんから反省がなく、もっと大きな試合でも落球し、巨人が負けるかも知れん!主審も同じ!」
そういって、ユニフォームの背中をはらってやる川上
「監督さんが栄光の背番号16から払い落としてくれたのは練習の泥じゃない。16番をうけつぐ僕の心の迷いだ!」
そして今度は自信を持って、ター坊にいうのだ。
「はっきり自信を持って言える。どんなときにも、やはり正直でなきゃならんっ。たとえその場では気まずくても、こっけいに見えても、正直でなきゃいかん。最後は正直が勝つ!」
「うん・・・正直って、あんまりかっこよくないこともあるけど、男らしいんだね」
最後に勝つために正直に生きるのか?そうじゃないだろ、すべてを越えて、どんな損をしても正直であるべきだということではないのか、飛雄馬よ。と、つっこみたくなるが、まあ、少年誌のことだから、多めにみてくれ。やたら男らしいって言葉がでてくるのも、そろそろ鼻についてきただろう。がっ、それも多めに見てくれ。私たちは、本当に本気で「男らしく生きたい」と思っていたし、今でも思っているのだ。男らしさの要素として、「損をしてもばか正直に生きること」というのが上位にランクされるのだ。