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エビータとアラン・パーカー

2007-11-23 06:22:56 | 映画評
エビータ

1996年、アンドリュー・ロイド・ウェバーの
ヒット・ミュージカルの映画化として、「エビータ」が
監督、アラン・パーカー、主演、マドンナで公開される。

ミュージカル映画というものは、
近年では、目立ったヒット作はなく、
ジーン・ケリーやフレッド・アステアの伝説の映画も、
結局は、娯楽の少ない古きよき時代の遺物に過ぎなく、
現代では、ミュージカルは、ミュージカルとしてすばらしく、
ミュージカル映画というものは、その存在を喪失しています。

イギリス出身の映画監督、アラン・パーカーは、
このミュージカルをセリフをすべて排除し、
セリフをすべて歌にするという脚本に、MTV方式の撮影で
演出を施します。

この手法は、うまく、
確固たる文化のひとつとして成熟しているミュージカルを、
かつ大成功をおさめたミュージカル作品を、
わざわざ映画化するという必要性はなにひとつないという、
ごくあたりまえの現実に立ち向かう姿勢が見て取れます。

映画の劇中で流れる
「Another Suitcase In Another Hall」という曲は、
傷心のエビータが、
「うまくいくとは思ってはいなかったけれども───、
 わたしは、どこへ行けばいいの?
 わたしは、どうなっていくの?」
と歌う、悲しいヴォーカルに対し、その爽やかなコーラスが、
「あなたならうまくいく、あなたならなんとかできる
 さあ、スーツケースを持って、」
と歌う、非情な現実を直視した残虐な曲となっている。

この曲は、映画の中では2度使用され、
1度目は、傷心したエビータが、
“ わたしは、どうなっていくの? ”と歌い、
2度目は、相手を傷つけたエビータが、
“ あなたならうまくいく、あなたならなんとかできる 
  さあ、スーツケースを持って、 ”
と相手を励ますように歌うように演出される。

こちらで、マドンナの、
「Another Suitcase In Another Hall」が聴けます。


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