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井山怖い

2013-12-23 | 囲碁
最近の井山さんの碁が怖い。

第52期十段戦本戦準決勝@2013年12月17日
黒:井山裕太 (棋聖)
白:溝上知親 (八段)
結果:黒中押勝

白66までの上辺の折衝は溝上側の勇み足という意味が大きいと思うが、黒79に対する白80に対する咎め方がマジで怖い。
87とか93とかの厚いマガリがきっちり効いて黒121まで全て召し捕ってしまった。
141からの一連の流れは、プロ同士の碁とは思えない程に切れ味鋭く手筋が決まった感じ。
溝上は名人リーグに4期連続で在籍、Wikipediaにも「同世代を代表する棋士の一人」と書かれる程の実力者なのだが、井山の前には格の違いを見せつけられている感がある。

静岡新聞社囲碁公開模範対局@2013/11/16
黒:佐藤洸矢アマ
白:井山裕太
結果:白中押勝


詳細は知らないものの、「公開模範対局」という名目の対局にこの結果はなかなかに驚くべきものではないか。だがプロはかくあるべきだと思う。
左上の明らかに黒微妙なワカレの後の白37のコスミツケが重いパンチ。こんなヘヴィなコスミツケは、初めて見ました。という印象。ここで黒が緊張していたのかそれとも蛇の睨みに足が竦んでしまったのかわからないが、38、40の俎の上に自ら横たわる鯉のような、悪い意味でヘヴィな手を打ってからは、もう井山による華麗なる惨殺シーンを見るばかりである。古代ローマの奴隷と野獣を戦わせたというコロッセオの貴族達の気分もかくやである。
白125で左辺の黒は攻め合い一手負けで、これにて盤面左の黒石30子弱はまるごと憤死。黒投了。恐らく上辺の11子も似たような運命になるだろうから、ほぼ40子が死亡(まだ62手しか打っていないのに…)。

第52期十段戦本戦2回戦@2013/11/25
黒:中野寛也
白:井山裕太
結果:白7目半勝


十段戦2回戦。これは派手に大石をとる碁ではないが、全然地が足りなく見えるのになぜか最後には7目半という大差をつけて勝ってしまうという意味で怖い。
白58からのサバキが面白い。59のハネダシに対してツケを一本効かせてからまさかの(?)白62のツギと、黒の突っ張ったところに対してまさかの白64のハネコミ。攻められる立場の白が生きて、中央に黒を浮かび上がらせた。この黒は延々お荷物となり黒を苦しめている。白82のツケに、83と謝らなければならないのも、白164のハネに対して165の取りを強いられたのもここの嫌みに端を発していると思う。
下辺の黒に対する攻め方もまた注目である。恐らく、黒135の時点では黒はこの碁はいける、と確信していたと思う。なんせ、白は地面がないのだ。しかし、白136の置きから白140のツケに対して黒は2線をわたるしかないらしく、白は綺麗に黒3子を打ち上げてしまった。この黒3子の取りが大きいのは、これで白地に対する侵入口もしっかり止められてしまうからである。この鋭くあざとい攻めによって白は勝勢を築いたようだ。

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