NiU「鳴滝塾」

産官学民が連携して地域課題の解決策を探ろうと
新見公立大学に設置されています

第23回鳴滝塾

2017-11-25 | ☆定期講座

 
 第23回鳴滝塾が11月25日(土)午後2時から新見公立大学内の学術交流センターで、講師に国立長寿医療センター(愛知県)の大島伸一名誉総長を招いて開かれた。テーマは「これからの医療・介護・福祉と地域共生社会」で、大島先生の講演=写真=とシンポジウムが行われた。一般塾生や学生など約120人が熱心に耳を傾けた。

 
 大島先生は「本当に深刻なのはこれから40年、50年先。私たち高齢者は、これまで築き上げてきたものを使い尽くして死んでいく。20代~40代の人達が高齢者になる40年50年先には、何も残っていないだろう」と前置きし、
 「日本は1950年に高齢化率が5%だったが、高齢化が急速に進んで今では世界一の高齢化社会となった。超高齢化社会は急速に進んで2060年ごろまで続き、本当に深刻な事態は現在の40~50歳代の人達が高齢者になる20~30年後から始まる。
 高齢者を貴重な資産、資源とし、人生90歳代の人生設計を国民の責任として考えていき、無いものをねだるのではなく、今ある資源を有効に利用することを考えていき、それを次世代、次々世代につないでいく。その意識改革こそが、これからのまちづくり、地域づくりの最も重要な課題になっている」などと語った。
 最後に「日本が迎えているのは危機ではなく変化である。この変化を危機的状況にするかしないかは、20~40年後に高齢社会の当事者になる若者しだいである」とメッセージを送った。

 シンポジウムは大島先生をアドバイザーに、岡山県医療推進課の則安俊昭課長と渡辺病院の溝尾妙子外科医をシンポジストに、公文裕巳代表(学長)の司会で進められた。
 則安課長は「健康長寿のために大切なのは「Quality of Life(生活・人生の質)×時間」で、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される「地域包括ケアシステム」などについて話した。

 
           地域包括ケアシステムについて語る則安課長
 
 また、溝尾外科医は「新見の医療を守るために医療人が地域を守るのは当然で、そのためには信頼される医療機関として、安心安全な医療を提供し、医療体制の充実を図る努力をし続ける必要がある。
 そして、地域全体で医療を守るためには、医療機関、介護、在宅医療、高次医療機関、新見市、住民との連携が大切で、地域全体での次世代人材の育成(新見公立大学の学生や医学生の育成、地域の医療人の生涯学習など)も必要になる。人材育成は人材確保にもつながり、働きやすい環境、地元出身者へのアピール、そして情報発信などが不可欠で、住民同士の支え合う〝地域共生社会〟が求められている」などと述べた。

 
           医療と地域共生社会について話す溝尾医師

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