NiU「鳴滝塾」

産官学民が連携して地域課題の解決策を探ろうと
新見公立大学に設置されています

第25回鳴滝塾

2018-01-20 | ☆定期講座

 
 1月20日(土)午後2時から第25回鳴滝塾が、新見公立大学内の市学術交流センターで開かれた。講師は逆手塾会長の和田芳治さん=広島県庄原市・元総領町教育長。和田さんは「里山人間主義~人間が大きくみえる地域づくり」と題して講演を行い=写真、このあと新見市内の集落代表者2人をシンポジストに迎え、和田さんをアドバイザーに過疎地域のコミュニティをめぐってシンポジウムを行った。
 

 
 〽打てば響く 君がいてさ
  話に花咲く この宴
 
 〽まちは舞台さ 主役は君さ
  スポットライトは お天道様
 
 〽丸い地球の ど真ん中は
  君が住んでる このまちさ
 
 〽ナイモノネダリを やめたら見える
  君とまちの オンリーワン
 
 〽有るもの探して 知恵と技と
  汗で咲かそう まちの華
 
 〽自然にゃいいも 悪いもないさ
  活かすも殺すも 君しだい
 
 〽名所名物は 名人が創る
  何はなくても 君がいる
 
 〽花を華に するのは君さ
  君が咲かせる 汗の華
   
 和田さんは冒頭、上記「まちづくり理論歌」(原作・岡田京子、変え詩・和田芳治)を参加者の手拍子で一緒に歌った。
 「〝主流の物差し〟に合わせていたら、いいことにならない」と述べ、経済至上主義を批判。「カネよりも大切なものがある」と〝人間関係〟を強調。「いい人間関係は〝打てば響くような人〟、物々交換ができるような人」と話し、自作の落書きカボチャや木製ペンダントを紹介。『里山資本主義』(藻谷浩介、NHK広島取材班・角川新書)で取り上げられたエコストーブも解説された。総領町役場で社会教育に携わるようになり、レクリエーションを通じて身につけた〝遊び半分〟というまちづくりの手法が、35年前、「過疎を逆手にとる会」の立ち上げにつながった。
 「新見でも過疎を逆手にとる会を開き、〝鬼サミット〟をやった。〝鬼だらけの里〟を謳い、高梁川の護岸に鬼の陶壁ができたり、当時のJCの人たちはすごかった」
 「ナイモノネダリをしたらダメ。あるものを探して、それを人間の知恵と技と汗で〝宝〟にするのがまちづくり。一番の〝宝〟は、知恵と技と汗を流すこと」
 「努力に努力を重ねて古里を捨てさせる教育をやった結果が〝過疎〟。いい大学へ行っていい会社に入ってというのは、東京へ行けということ。社会教育やまちづくりを担当して、ずっとやってきたのは〝ふるさと教育〟、古里で命輝かす教育。誇るものが何もない総領町でも、昔から人が生きてきている。人間が頑張っている」
 「過疎になったのは行政が悪い、国の政策が悪かったというのは分かる。でも、それを言ってみても始まらない。あなたにできること私にできること、私は里人(さともり)-里山で暮らす達人-になろうと、里川復活をやっています。江の川流域を再生していこう。自分の周りの川は、自分たちできれいにする。自分でできることは自分でする」
 「都会で定年を迎えた元田舎暮らしの人たちを二番手の里人にしたらどうでしょうか。田舎に帰ってきたら生活費は安く、役もすぐ手に入る。社会に役立つ〝志民〟になれる」
 「三番手の里人は、使い捨てのカネの奴隷はもういい、田舎に行って気楽に生きたい、自分の人生は自分で生きたいという人。田舎で困ったことを解決すれば仕事になる。起業になる。逆境をバネにして輝いていると、まさに〝感動商法〟。それを若者たちが来てやってくれるとかなりよくなる」
 ……和田さんは迫力ある口調で、体験を散りばめながら語りかけ、最後、総領町に自生しているセツブンソウにちなんだ「節分草」(詞・和田芳治、曲・竹川尚子)を歌った。

 シンポジウムは、大井野地域振興福祉協議会の高下瀧昇会長と三室観光組合の松浦清一組合長をシンポジスト、和田さんをアドバイザーに、公文裕巳代表(学長)の進行で行われた=写真
 

 
 プレゼンテーションで、高下さんは「大井野集落はヒメノモチの製造販売を中心にやっているが、平均年齢70.7歳、高齢化率69.5%。限界集落から崩壊集落になるのかなと心配している。しかし、空気はおいしいし水もきれい。元気で長生きができる。移住定住を受け入れていきたい」と述べ、松浦さんは「三室は人口72人、世帯数27。春はシャクナゲ、秋は紅葉という自然の美しさを見に来られる観光客が増えている。シャクナゲまつり、紅葉まつりを催してもてなしているが、携わるスタッフが足りない。今後どうやっていくか考えていかなければと思っている」と話した。
 これらに対し、和田さんは「(生産・加工・販売の)六次産業だけではうまくいかない。どんなに厳しい場所であろうと人に来てもらうことができる〝ロマンアップ作戦〟(感動商法)が必要。感動のドラマをつくるのは逆境で、本当に困ったということを見つけて、それをひっくり返してみせるというドラマづくりがいるんじゃないか。一番大切なのはIターンじゃなくてUターン。子や孫を帰してくる必要がある。それと、田舎の場合は変わった人間を嫌うが、変人といわれるような人を連れ込んで、それをヨイショする体制をとる必要がある。逆境をひっくり返すには、人間の元気がいる。元気すぎる年寄りは嫌われている場合が多い。しかし、嫌われている人を伸ばすシステムをつくらない限り、いいことにならんのじゃないか。一気にできることじゃない。自分ができることから始めればいい」などとアドバイスした。
 
 (参考資料)

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