池田 悟≪作曲家≫のArabesque

・・・深くしなやかに・・・(音源リンクしてます)

i-e-a-o-u

2007-10-24 | 作曲/言葉・声

母音の中で高い声に最適なのが「イ」。例えば心地よい時や激しく拒否する時の声。
次いで「エ」。訊き返す時の「えっ?」や相槌の「ええ」は疳高い。
低い声は「オ」や「ウ」が出し易い。「ア」はすべての音域に適する。
これらの母音が違う音として聞こえるのは、倍音の分布が違うから。
「イ」には高い倍音が豊富に含まれており、低い倍音は貧弱。この特徴が「イ」という音を作る。その逆が「ウ」。
フォルマント―その音らしさを生む最も支配的な倍音の分布領域―の高い順に、これら5種の母音を並べると、「イ」「エ」「ア」「オ」「ウ」となり、高い声の出し易さの順に一致する。
この事は歌に携わる者にとって常識ではあるものの、作曲家は、だからこそと言うべきか、この法則に則って歌を作曲する訳では、もちろん無い。ただ頭の片隅に入れておくだけ…。

宗教的な無伴奏合唱曲の改訂がおおよそ終了した。声楽家の知人に見て頂いた。
さらにその知人が、職場の同僚で、舞台経験のあるネイティブのアメリカ人に、言葉の扱いに関して確認して下さった。まあOK との事。
2人の天使が降り立つのに出会い、目が眩むクライマックスの場面、I could see clearly that their hair was gold, では、ソプラノからバスまで、全体が1本の太い線になって余韻を残しつつ、大きなウェーブのように降りてくる形として作曲した。
しかし何度かプレイバックを聴くうちに、詰め込みすぎて窮屈な感じがした。
「そうか、I だの could だのは原則通り、小節の前に追い払ってしまえばいい」。その2語をアウフタクトとして書き直し、1拍目を see から始めた。
つまり高い方から低い方に、see / clearly / that / their / hair / was / gold というライン。

さて、これらの語尾の母音に着目。
接続詞のthat を除けば「イー」「イアー」「エアー」「エアー」「アー」「オウー」…先のフォルマントの順番通りだ。さぞかしここはきれいに響くだろう。
ところで、イ・エ・ア・ア・オ・ウ…妙に親近感を覚える。
i-ke-da-sa-to-ru !
(写真:近所の公園で)



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