池田 悟≪作曲家≫のArabesque

・・・深くしなやかに・・・(フランス語に訳してます)

《月》―窪田般彌の詩による

2006-07-19 | 作曲/言葉・声

「月」…2004年「奏楽堂日本歌曲コンクール・作曲部門」第1位受賞作。
作曲せずに日々を送るのが怖く、コンクールの予定を次々に立てていた。そんな中、「月」は3週間ほどで作曲した。
詩は窪田般彌(はんや)詩集から選んだ―「日本音楽コンクール」第1位受賞の翌年、1989年に知人に誘われ、窪田さんの詩による新作歌曲コンサートに出品した折に、詩集を頂いていた。

「一週間」という詩が目に留まった。各曜日を曜日の語源(仏語)となった神話で描く、壮大なドラマだ。僕は7つの曜日を、ドレミファソラシの7音に置き換え、作曲を試みた。
だが構成のバランスが悪い。戦争の場面が長すぎる。読めない漢字もある。図書館に行き、崩し字辞典まで調べたが分からなかった。言葉も多く、これでは「夜叉ヶ池」の二の舞になる…。

この詩は一週間で!あきらめ、コンクールの規定に設けられた「演奏時間15分以内」にしては、やや短いと感じ、第2候補にしていた「月」に変更した。
―ひぐれどきにむかつて、何ものかが矢を放つ!
素晴らしく印象的な出だし。若き窪田さんの、内省的な、大真面目な、起伏の激しい内容にも感情移入できた。
「一週間」のために作曲した断片の多くは転用できた。音楽の構成も自然に形成された。
「夜叉ヶ池」の時したように、友人の声楽家夫妻のお宅にスケッチを持って行き、ピアノを弾きながら自分で歌って、批評を仰いだ。
今回は何の駄目出しも無かった。が、指導料として賞金の5%を払う、と書いた書面を渡して約束した。笑って受け取り、入賞を祈ってくれた。

本選に残った。バリトンの曲は僕一人だった。
窪田般彌さんにご報告の葉書を出したが、住所不明で戻ってきた。ネットで検索したら前年 ('03)、お亡くなりになっていた。
―石となつたぼくの星を!
「月」のクライマックスのその一節を、僕は「死への覚悟」と解釈して作曲した。
楽譜+全曲試聴 | →テキストの要約(英・日)


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