やりますよ。

どうやら本当に最後になるらしいので。

もう一回だけステージに上がります。

こういう事はきっとちゃんと区切りをつけたほうがいいし。



憂鬱は雨のように降ってきますが、その雨の後はきっとそれなりの清々しい景色があるはずで。

リリィが作ったこのバンドは、フリージアの香る季節に芽吹き、蒼の街を離れた。

もたらした一時の高揚は彼等にとってそれが全てだった。

遥か彼方まで行けるはずだった。

が、やがて斜陽の刻、ジェリービーンがスロープを転げ落ちるように散り散りになった。

７年眠った。

揺れる世界の音に目覚めた彼等は、人と光の区別もつかぬまま不完全に集う。

夜明けと眠り。

デジタルになった音はいつまでもあの頃のままで。

太陽はもう一度昇る。



あと少しだけ。

動け。