佐藤さえ の 本棚

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一夜の客

2006-06-09 20:33:50 | 小説
一夜の客
杉本 苑子著


あれは、おまえじゃなかったのだ。, 2006/6/9  ☆☆☆☆☆


 天平から平安 の時代を背景に庶民を主人公にした短編集

 海を渡って医学を修めようと希望に燃える旅の青年を
村の老人が一夜家に泊め、その情熱に自分も満たされた気持ちをもつのですが…という表題作。
 食べることでも精一杯な時代。
 天変地異に翻弄される様子や、伝道されたばかりの仏教を頼りに救いを見出す兄弟の話などにじんわりと泣きました。
 時代物の醍醐味を堪能させてもらえた短編集です。

 本当、この人のお話、やっぱり面白いなぁ。
 もっといっぱい読みたい!
 と思いました。

 最後の短編
 崖でお兄さんがぶら下がった綱を弟が切って、兄嫁と再婚するお話なんですが、
 杉本苑子さん、他の短編集で、姉妹ですっかり同じシュチュエーションのものがありました。
 そのお話では、綱を切る前に姉が自殺しちゃって、妹はホホホと笑って
 義理の兄の下に帰っていく…という悪魔的な終わりだったんですが、このお話は違ってました。
 どうして、同じシュチュエーションの話を再び書いたのかな。
 と、ちょっと思いました。

 いつまでも元気で居て、まだまだ書いて欲しい作家さんです。
 


一夜の客




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