あなたが真空はからっぽだと思っていても無理はない
現に空っぽな空間というのが真空の定義だからだ
そこにはなにもない
物が皆無なのだ。
物がなければわれわれや、
われわれの世界に
害を与えることもない、これでこの話は終わりだと思うと
間違っている
量子力学は、この世界について幾つもの奇妙な事を明らかにしてきたが、
なかでも奇異に思えるのがわれわれの空っぽな真空がじつは空っぽでない
という事だろう
この結論は不確定性原理から導かれたものである
たとえば光子や電子の様な量子粒子の正確な位置と速度を
同時に知ることは出来ないというもので
片方の数値を正確に知れば知るほど、もう片方は曖昧になる
不確定性原理を表現するもう一つの方法は、エネルギーと粒子の両面から
考えるというものだ。そうすると、ごく短い時間に限って
量子系のエネルギーは非常に不確定だと見なす事が可能になる
この系では、真空からエネルギーを借用してまったく新しい粒子を見なすことが
可能になる。これらの粒子はさほど長期間にわたって存在しない条件で
こうした仮想粒子はごく短い間ペアを作って登場し
(例えば電子とその反物質の陽電子とのペアなどの形で)
すぐにお互いを相殺する・・・おわかりになるだろうか?
量子力学において、真空はまったく空っぽではなく
ぱっと現れては消える仮想粒子のペアでごった返している
それはエネルギーのスープであり、それゆえ危険も内在する
真空が如何に危険かを理解するには、宇宙のスタート時まで
立ち返る必要がある
ビックバン直後宇宙は短期間で着実に拡張したのちに、信じられないスピードで
膨張を始めた。このインフレーションの時期
宇宙は10のマイナス35乗秒ごとに倍以上の大きさになってゆく
ビックバン直後から10のマイナス35乗でインフレーションのスイッチは切れるが
その時点でこの現象は100回発生している
それを具体的にイメージするには、1センチのサイズで始まった宇宙を想像してほしい
10マイナス32乗秒後、インフレーションが1目盛り進んだ段階で
宇宙は幅2.7㎝になる2目盛り進むと7.4㎝3目盛りだと20㎝
20目盛りの時点で宇宙の幅は4850キロ、そして50目盛り過ぎると
5480光年になる・・・
こうしたすべてが10マイナス34乗秒に起こるのである
インフレーションが100目盛りで完了すると
宇宙は10の43乗倍になっているこの理論は極めて保守的で
ある見方によるとインフレーションの拡張の度合いは10の1兆条倍になる
この急速な拡張を引き起こすのは
偽の真空と呼ばれる物質の形態から放出されるエネルギーだった
これが崩壊し真の真空に移行するにわたり、周囲の空間に反重力を行使する
これは地球をくっつけ地球を太陽の周りで公転させるタイプの
重力とは逆の働きをする変種だ・・・
soop「真空と言う名の物質」