市民会館の跡地利用について

■市民会館の跡地利用にご意見を
　市民会館の大ホール（１０００席）は、１９７９年の開館以来市民の文化・芸術活動の場として、多くの市民の皆さんに利用されてきました。
市民会館のほかに客席数の多いホールを持つ施設には、けやきプラザ（５５１席）や湖北地区公民館（２５０席）などがあります。市では、１０００席規模のホールの再整備も含めて、市民の文化・芸術活動の場として引き続き活用することを検討しています。跡地利用の基本方針を策定に向けて、跡地の利用や大規模ホールの建設の是非について、市民の皆さんからのご意見を募集します。お寄せいただいたご意見は、分類し、市の考え方とあわせて公表します。
提出方法 ：郵送、ファックス、Ｅメールのいずれかで、住所、氏名、意見（書式は自由）を明記し、８月３１日（木）必着で
〒２７０‐１１９２市役所総務課（住所省略可）

*************************************************************************************************
と、言う事で締め切りギリギリ総務課へメールしておきました。
ちょっと前の記事と表現カブるけど、（笑）
以下、私の意見です。

市民会館の跡地利用について

私は我孫子市に越して来て5年になります。
それまでは東京、横浜、ニューヨークと各地で生活し、それぞれの場所で音楽家として、音響技術者として数々のホールで仕事をしてきました。

特に修業時代を過ごしたニューヨークではカーネギーホール、リンカーンセンター、ラジオシティミュージックホールなど世界的な名ホールでのコンサートやブロードウェイのミュージカルを体験してきました。（これは観客としてです。）
また、オフ・ブロードウェイではサウンド・デザインや演奏、そしてキャストとして実際に舞台出演も果たしております。

帰国後は横浜市民会館（関内ホール）、横浜市福祉会館ホール、TVKテレビなどで音響技術者として勤務。
音楽家として独立後は東京芸術劇場、天王洲アートスフィア、恵比寿ガーデンホール、アサヒスーパードライホールなどなど数々のホールで舞台の音楽監督、作曲、演奏などを行ってきました。

さて、そんな私がこの我孫子に越してきて驚いたのが、我孫子市民の文化的なレベルの高さと熱心さです。
確かにニューヨーク、東京、横浜と比べれば、行われる舞台の量も質も全然違います。
しかし、市民１人1人が文化に接する割合は、他の大都市を簡単に圧倒してしまうのではないでしょうか？。
シーズンともなれば毎週どこかで必ず何らかの催しがあり、市民や子供達が当たり前のように「文化イベントのハシゴ」をしています。
これは外から来た人間には驚くべき事です。

そんな土地柄か、各地区毎に何らかの小さなホールがあり、皆さん文化活動を楽しんでいますが、一番ショックだったのがその中核となるべき「市民会館」のお粗末さでした。
床はモロ鉄板構造です、子供が走っただけで揺れます、いや～な共振もたっぷりあります、「うわぁぉぉぉぉぉん～」とオカルトチックな残響音が止めども無く残ります、音、濁りきってます、座席の背もたれビニールかかってます、私の経験した中では間違いなく最低のホールです。
「なぜ、こんなにも文化レベルの高い街の市民会館がコレなんだ？。」
これが（外から来た）私の率直な疑問でした。

また、市民会館が閉鎖になるのにあたり、「けやきプラザのホール（551席）で一定の代替が可能になった」との説明がありますが、決してそんな事は無いと思っています。
「けやきプラザのホール」とはあくまで街の「中規模多目的ホール」という設計コンセプト以上でも以下でもないホールです。
客席数、舞台設備、環境等どれにおいても、街の中核ホールとしての機能は持っていません。
もし、最初からそのつもりがあったのならば、決してこのような設計にならなかったでしょう。
ですから、「けやきプラザのホール」と「市民会館」とではそもそも比べる事の出来る土俵上には無いのです。
「けやきプラザのホール」で代替え出来る催し物はかなり限定される事になるでしょう。

そして、今回の市民会館閉鎖で最も私が懸念するのが子供達への影響と責任です。
市民会館が閉鎖になると、内外の一流アーティストのコンサートや公演が難しくなります。
一生のうちで一番感受性が高い子供達。
結果的にその子供達が舞台を生で観賞出来る機会を奪う事になってしまいます。
また、全校生徒参加による音楽祭や、演奏会など大きな舞台でしか経験出来ない貴重な機会も失われます。
果たして我々大人達が行政上の都合だけで取り上げてしまって良いのでしょうか？。
それは、やがて我孫子の文化の衰退と言う形で跳ね返ってくる事にならないでしょうか？。

ホールは単に舞台の公演が行われる場所ではありません。
そこに人は「文化」という無形の財産を人から人へ、心から心へ伝える大切な場所であるからです。
我孫子市は日本でも稀な文化都市だと思っています。
その街に中核となるべき大ホールが無いと言う事は、とても悲しい。
この機会に、ぜひ我孫子の文化レベルに見合った大ホールを建てていただきたいと切に思います。
子供達の心に「文化」と言う我孫子の誇るべき宝物を生み育むためにも。

以上、よろしくお願い致します。