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定期借家契約に貸主の事前説明書は不可欠

2013年01月15日 11時01分16秒 | 定期借家契約

 貸主の事前説明書は欠かせない(借地借家法38条2項)

定期借家契約しても事前説明書交付がなければ普通借家契約になる

賃貸借契約は口頭の約束でも成立しますが、定期借家契約では公正証書(普通の契約書でも可)の書面による契約が必要になっています。

また、宅建業者が媒介する場合は、その他に法定の「重要事項説明書による説明」が必要になります。

 ここがポイント

定期借家契約では貸主が事前説明書で定期借家契約であることを説明する必要があり、これがなければこの契約は定期借家契約ではなく、普通借家契約になってしまいます。

定期借家契約が公正証書で締結されたものであっても、また、媒介する宅建業者が重要事項説明書面で説明していても、貸主による事前説明書での説明は欠かせないので注意が大切です。

 最高裁が定期借家を認めない判決(①平成2276日、②平成24913日)

事前説明書の無い2つの定期借家契約について、いずれも第一審では

①    のケース

公正証書で定期借家契約を締結し、公証人が期間満了したら契約は終了する旨を説明しているので事前説明がなされていると認定してこの定期借家契約は有効と判決。

②    のケース

契約締結の事前に契約書案を渡し、十分に検討させているので、その上に別個の事前説明書面を交付されたとしても借主が定期借家契約であることに関して認識が変わることがなく、別個独立の書面を交付する必要性は極めて低く、事前説明書が交付されていないことのみが理由で本件定期借家条項を無効にすることは適当ではないと判決。

 この判決に対して、いずれも最高裁の判決は

「法38条2項の規定は、定期借家契約においては契約書とは別個に、賃貸人が契約の更新がなく期間の満了により終了することについて記載した書面を交付した上でその旨を説明すべきものとしてことが明らかである」

「上記書面の交付を要するか否かについては、契約の締結に至る経緯、契約の内容について賃借人の認識の有無及び程度といった個別具体的事情を考慮することなく、形式的、画一的に取り扱うのが相当である」 

「法38条2項所定の書面は、賃借人が契約の更新がなく、期間満了により終了すると認識しているか否かにかかわらず、契約書とは別個独立の書面であることを要する」 

「別個独立の事前書面による説明がないものは定期建物賃貸借に当たらず、約定期間の経過後、期間の定めのない賃貸借として更新されることとなる」 

と判示し原判決を破棄し、訴訟の総費用は被上告人(貸主)の負担とする判決を下しています。

 定期建物賃貸借契約(通称:定期借家契約)では

* 契約期間が満了したときは自動的に借家契約が終了します。そして、更新ということ自体がありませんが、貸主と借主が合意して再契約することは可能です。再契約は新しい契約ですので賃貸借の条件は改めて取り決めすることになりますが、もちろん前回と同じでも構いません。

*  再契約において、宅建業者が媒介するときは新たな契約ですので宅建業法の適用があり、重要事項説明その他の法定作業が義務付けられますし、媒介手数料を請求することもできます。

* 貸主の委任を受けて、媒介業者が代理として事前説明書面により説明することは有効です。

 公認不動産コンサルティングマスター 小山 茂雄



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