街へ出かけた帰りに、いつもお世話になっている美容室へ立ち寄ると、二人の中学3年生が店主と何やら打合せをしていた。
「じゃあ、切るよ。」
「はい、お願いします。」
覚悟を決めたやりとりの後、軽快な音とともに、中学生の頭は丸く、短くなった。
「似合うよ。」
周りにいた数人の大人たちが口をそろえると、中学生は少しホッとしたようにも見えた。
続いて、二人目の中学生も切り始めた。やはり、同じように丸く、短くなった。
本人は少し謙そんしていたが、とても似合っていた。
「明日、一緒に学校へ行こうな。」
髪を切り終えた二人は、恥ずかしそうに、微笑みながら言葉を交わした。
そして二人は、別れ際に握手をしながら、再び言葉を交わした。
「総体、頑張ろうな。」
美しい友情を久しぶりに見た気がした。