寒い朝でした
通学路を歩いていると
女の人がロールパンをかじりながら
本気走りで私を追い抜いて行きました
海辺の街でのお話です
その小さな兄弟は、小さい間はサンタクロースを本気で信じていました
彼らは12月に入るとサンタクロース宛に手紙を書きます
「サンタさんへ 今年は何々をお願いします」
子供らしい字で書かれたピュアな手紙に
毎年大人たちは誠実に応えようとしました
手紙に書かれたプレゼントだけは、サンタクロースが
イブの夜に運んできたことにしようと大人たちは
工夫をしたものです
クリスマスの朝、小さな兄弟の父親は暗いうちに起きて
サンタさんに取っておいた昨夜のケーキの残りを平らげ
サンタさんが来たことの証としました
ある年、自転車がサンタさんからのプレゼントになりました
クリスマスの朝まで隠しておくのに私も協力させてもらって
本当に楽しかったことを思い出しています
冬の夜の静けさが運んできたのは
電車の音だけではありませんでした
火の用心 カン カン
マッチいっぽん火事のもと カン カン
引き締まった冷気を渡って来る拍子木の音は
火の用心を呼びかけているわけですが
私には厳冬をのどかに謳っているように
どこか聞こえてしまう風物詩でありました