むらくも

四国の山歩き

兵庫山・大登岐山(高知県)…3/28

2010-03-31 | 石鎚山脈

兵庫山・大登岐山    ひょうごやま・おおときやま


標高          1303.1m、1477m
登山口         本山町桑ノ川林道
駐車場         なし
トイレ         なし
水場          林道終点沢筋

登山者         つむじかぜさん&HANA、ピオーネとむらくも




次回の山行きは新居浜側から東赤石山に登ろうと計画していた。
ところがつむじかぜさんの情報では林道が崩壊などして閉鎖されているのではないかという。
なので比較的近くの銅山川を挟んで東側にある大登岐山へ行こうと思い立った。
この山域は分県ガイドブックには載っていない。
あれやこれやと本を引っ張り出したり、ネット検索して調べてみた。

以前から興味のある山でしたが、どうやらあまり人が入っていないヤブっぽい山であることだけは分かりました。
愛媛側から登るかそれとも高知側から登るか、紆余曲折あ~でもない、こ~でもない。
結果、初めての山域・藪山を考慮して、比較的歩きよい高知側から兵庫山~大登岐山間の稜線歩き、そして下山路に登岐山~1263m峰を加えて計画した。

林道登山口-(60分)-稜線分岐-(40分)-兵庫山-(30分)-
大登岐山-(15分)-登岐山-(1時間20分)-1263m峰
-(25分)-林道下山口-(30分)-駐車地点(登山口)

歩行時間4時間40分

ところがどうですかこの計画、おかげで四苦八苦、同行者のお二人&HANA(ワン)ちゃんに大迷惑を掛けてしまい、頭??マークだらけで下山した。
後日に「歩行時間4時間40分?」、ダーレがじゃ、あんたはウルトラ・トレイルランナーか?

つむじかぜさんに、大登岐山と兵庫山の中間点にある稜線分岐から兵庫山まで40分かかるのに、計画では兵庫山から大登岐山まで30分となってるがこれはドーシテじゃ、と責められた。
もう一度見直してみた。

林道登山口-稜線分岐までは2時間が正当、兵庫山-大登岐山間は1時間30分が正当。

総歩行時間6時間40分+休憩等1時間の7時間40分が正当…なのかな?
あ~、もう自信がない。
取り敢えず2時間の誤差は致命傷となった。

当然、エスケープルートなど考えてもいません。
行って駄目ならさっさと諦めて引き返そうくらいの「ところ」でした。

ところさんのジョージは頭いいけど、ところてんほどにもないヤワなノンコ。
とうとう本物の老人性痴呆症になってしまいました。
ここまで進行すると、もう駄目だわ。
ダジャレを言ってる場合じゃないことは分かってるけど、反省しようがない。



というわけで、やってしまいました。すわっ!初ビバークか?

そんなこととは露知らずに、午前5時起床、のんびりわんちゃんの散歩を済ませて、6時20分自宅を出発。
7時、四国中央市にある具定展望台にてつむじかぜさん&HANA一行と待ち合わせ。
法皇トンネルを抜け平野橋で右折、6号線・銅山川を遡り、しばらくのところで126号線の上猿田三島線を走り、白髪トンネルを越える。
しばらく汗見川を沿って高知側へと下り、途中桑ノ川林道へと右折する。
舗装された道を最終民家まで走ると、少し先からは走りよいダート道。


林道沿いにはたくさんのシロバナショウジョウバカマ、もうすでに終わりかけ。
そして赤滝。




途中、三差路もあるが左にとり、道なりに進むとやがてヘヤピンカーブ。
二つ目の三差路の広い路肩で駐車。
因みに切り通しの道を左へと進むとおおよそ2kmほどのところにトキ山と書かれた小さな登山口標識があるらしい。
先ずは兵庫山へと登るので、右への林道(荒れていて車は入れない)へここから歩いていくことにする。
今日も元気のいいHANAを先頭に8:52出発。
林道には雪が残っていて、覆う木々にはビロードに芽吹いている。




20分余りで排水溝のある沢に行き着く。
綺麗な水の流れる沢の辺りには、マンサクの黄色い花が早春の彩りを副えている。




沢の右岸へと入っていく。
(因みにここは左岸にあるカヤの茂った林道を上っていくのが正解です。)
しばらく歩いても左は急斜面なので、仕方なく左岸へ渡り、斜面をよじ上がって、林道へ。




林道終点の木の幹には二段巻の赤テープ。
右の斜面から取り付き登り出す。
直ぐに足元に鹿の角の着いたシャレコウベ。
妻は驚くのかと思ったが、つむじかぜさんに、顎に歯が綺麗に全部残ってるわ、などと解説していた。
ヤブに突入。
しばらく登って、方向も地形も変だなと気づいたが尾根の延長線上は兵庫山山頂だったので、元へ帰らずにそのまま登ることにした。
(二段巻テープのところで沢へ降りて行くのが正解だったようです?)




やがて、尾根の肩っぽいところに出る。
わたしはそのまま素通りしたが、下山後二人の話ではここに鹿のベッドがあったとのこと。
直径1mの笹などが敷き詰められた素晴らしいベッドだったらしいが、それに気づかずに通り過ぎる人のセンスと感覚を疑う、何を考えて登ってるんやろかと、二人に責められた。
わたし、何か悪いことしたんやろか?と、この時点ではまだ今回の山登りの難行苦行の責任が自分にあるとは思ってもいなかった。




やがて、稜線分岐からと思われる水平な巻道に合流した。
一服して、右へと進む。
そのまましばらく歩いていると、途中でつむじかぜさんに呼び止められる。
兵庫山はこの上だという。
斜面を見ると踏み跡があり、赤テープが巻かれていた。




11時37分、兵庫山山頂に到着。
シャクナゲの幹にはさぬき山好会の方たちの登頂記念標識とピンクのテープ。
写真を撮ったあと、大登岐山へと向かう。




東方向に白髪山だろうか、おむすび山が頭を覗かせている。南にはこれから行く大登岐山などが降りだした雪に霞んで見えている。




元の巻道には戻らずに県境の稜線を歩く。




やがて赤い頭の杭のある鞍部に着く。周りの幹には太い赤テープが巻かれている。
どうやらここが当初登山口から目標にしていた稜線分岐のようでした。
西下へと歩き良さそうな踏み跡が続いていた。
時刻は12時を越えている。
腹が減っては戦が出来ぬ、HANAも朝から走り回ってることだし、休憩することにした。




雪が酷く降ってきた。ジッと眺めてると、桜の花吹雪のように見えて綺麗だが寒い。カッパを着る。妻も500円のウィンドブレーカーからカッパに換える。つむじかぜさんはすでにポンチョを着てる。HANAは当初から毛皮のコート。
やがてシャクナゲの尾根に。




苔むした岩にはつらら。
足元には兵庫山への登りからすでにアイゼンを着用している。




景色はなんもみ見えん。急登が続く。




尖った岩場にきた。もうすぐ山頂の気配がする。
晴れていればかなり景色のいいとこだろうと思う岩場だ。
妻が赤ペンキの塗られた岩の上で記念撮影。
(ここが黒岩山・野地峰への分岐らしい、かなりな急勾配だ。大登岐山と云われる所以かも知れない。)




一旦、左下へ巻いて登り返す。




苔の花?だろうか?以前にも黒沢湿原で見たことがあるが、名前は忘れた。
工石山方面、眼下には早明浦ダムの上流が見えている。





南東直下には登岐山。西には黒岩山への稜線がガスの合間にチラホラ。




初めて見る山頂。
しばし、感動の眺望を俯瞰。




いざ、登岐山へ。
しかし、降り口が分からない。
踏み跡はないように思えたが、スズタケの藪に隠れてしまっていたのだろうか。




降りしきる雪。
つむじかぜさんから時刻はすでに14時50分だと告げられる。
残念だが仕方がない、下山しよう。
ルートは朝に登りだした沢登山口を目指して、北東尾根を下ることにした。
GPSを下山口へセット。




下る下る下る~。しかし、勾配がきつく、北へ向かってしまった。
向きを東に振る。
やがて思わぬ急斜面。
妻が絶叫。
HANAが恐怖で動けずにキューンと鳴く。
しかし、つむじかぜさんは慌てず騒がず、ロープ、スリング、カラビナを取り出し、妻にHANAにセットし巧みなロープ裁きで降ろしていく。
HANAは暴れて逃げようともがく。
わたしがHANAをハーネス毎掴まえて落ちないように確保していたところ、いきなり「ウ-ッ!」と恐ろしいうなり声。
気にいらなかったみたい。

妻は落ち着いて降りてた様子だったが、実はそうでもなかったようで下山中には足に痙攣が起きてたと帰宅して告白した。




沢の急激な斜面にはバイケイソウだろうか、芽が出てた。これは妻が撮った写真、どんなときも、写真だけはきちんと撮る。撮った写真の評価は置いといて、根性はプロ並だ。
過激な斜面を横切り、若干尾根へと這い登るが、ますます地形はハードになるばかり。
気が焦りだした。
遅々として進まない。
随分と長い時間が経過したように感じる。
冗談口にもビバークを示唆する言葉が出てきだした。
途中、少し揺るやかなところで、妻が喉から声を絞り出すようにして、5分だけ休ませてと告げた。
気が焦っているだけに精一杯の言葉だと感じた。
時刻は17時。
危険かもしれないが、時間切れだ。
地形からもGPSの位置からも朝の登り口が近いことが確認されたので
歩きよい安全なルートは諦めて、崖や滝がないことを願いつつ、
一気に沢へ下ることにした。




水量の豊富な沢を滑らないように下る。
すると突然前方が開け、湿原のような明るい場所に飛び出る。
お~っ!
つむじかぜさんが前方の林道の上で、余裕でこちらにカメラを向けているではないか。
駆け上がると、そこは林道の終点で、二段巻の赤テープが施された見覚えのある場所。
思わず三人と一匹が喜びの握手。




林道を下りながら妻に、会社へ休みの電話を入れなくて済んだな、と冗談のような本音のようなホッとした会話。




しかし、この後、なんとなく二人から責められてるような気がしたのは、後日、気のせいではなかったことが分かった。
会話の中で妻とつむじかぜさんの二人は偶然にも同じ血液型。
強固な同盟が組まれた。
わたしへの攻撃がじわりっと強まる…ような気が…。
あな恐ろしや。くわばらくわばら。

帰路、暗くなった白髪トンネルまでの車道ではライトに照らし出された鹿の白いお尻が妖艶に何度も浮かび上がった。


どうもです、済みませんでした、原因の発端はむらくもにあります。m(_ _)m


憑いてないな~、林道では大きな岩が見えずに、車に当てて傷がつくし、つむじかぜさんはクイックドローセット(カラビナ+エクスプレススリング+カラビナ)を落としたと言うし、妻は痙攣した足と、腕がいまだ痛いというし、元気なのはHANAだけかな。




三差路駐車地点8:52-排水溝のある沢9:14-林道終点登山口9:50-巻道合流10:43-兵庫山登り口11:04-11:37兵庫山山頂11:45-稜線分岐12:09-12:22休憩12:47-下川峠分岐13:50-13:56大登岐山山頂14:11-林道終点登山口17:09-18:00三差路駐車地点


(注意)このルートには稜線及び兵庫山への巻道以外の上り下りともに踏み跡はありません。特に大登岐山からの下山ルート上にはおおよそ60~70°の急斜面がありロープ(カラビナ・スリングもあればより安全)が必要です。