
「唐伯虎点秋香」
監督:李力特
出演:鞏俐(コン・リー)、周星馳(チャウ・シンチー)
1993年作品
<あらすじ>
蘇州「四大賢士」の一人、唐伯虎(チャウ・シンチー)は抜群の絵画と詩歌の才能をもっていた。ある日、彼は華家の華夫人に仕える秋香(コン・リー)に出会い、秋香のやさしさと美しさに一目ぼれ。だが華家と唐家はお互いを仇とする家柄だった。どうしても秋香に近づきたい唐伯虎は華家に使用人となって潜り込み、何とか自分に興味を持ってもらおうと悪戦苦闘する。
「食神」、「少年サッカー」等、香港のナンセンスギャグコメディの大ヒットメーカー、李力特監督と俳優周星馳(チャウ・シンチー)のゴールデンコンビのドタバタコメディ。
6年くらい前にこの作品を観たとき、台詞の難しさ(時代背景上古語多用)と、例えば人間の生死をネタにするギャグセンスについていけなくて途中で挫折し、今回は日本語字幕付を入手しての再挑戦でした。
劇中の詩歌の掛け合いなどは、中国の成語を捩ったり、韻を踏んでいるので、原語の方が面白く(というか、日本語訳は不可能)、何度も字幕言語を切り替えながら鑑賞。
中国での生活が長くなるにつれて、語学が上達したからじゃなくて、自分の感性が相当現地化されていることを改めて確認。
昔は「くだらない」と一蹴していた作品の良さがわかるようになるなんてね。
以前は苦手だった中国食材や料理が、今や大好物となってしまったように。
「昔は大丈夫だったのに…」と、受付けられないものや嫌いなものが増えてくると、何だか人生の幅が狭まったようで、つまらなく感じるのですが、その逆はいいと思う。
中国のこの手のコメディは、人の生死や不幸などをネタに笑いにしたりしているので、「んまっ」と眉を顰める日本人は多いかもしれない。
でもそれは、彼らが生死や不幸を軽んじているからではなくて、ごくごく近い歴史とか、実生活のなかにこれらのものが極めて身近に存在しているからで、そういう人の力でどうしようもないことを、笑いに昇華することで、前向きに、楽しく生きようとしているからではないかと思う。
ま、そんな硬いみかたで語るのもダサいですね。単純に面白いです、これは。
上映当時も記録的大ヒットだったらしいのですが、最近の若者でも知らない人はいないというほど知名度が高い作品なので、一般常識としても。
個人的なみどころは、かなり下品なギャグ(大陸でのテレビ放映時にはカットされるらしい)と、周星馳のかっこよさ。
ハンサムじゃないのにとっても魅力的なのは、目がキラキラしてるから。
最近こんなに目に力がある人っていないよな~と思いました。姿形よりやっぱり大切です内面は。
今日の毒舌度:0